問題の本質 — CROとSEOは目的が違う
Riemer氏の指摘の核心は、CRO(コンバージョン率最適化)とSEO(検索からの集客)は目的が異なるため、同じページで最大化しようとすると衝突しやすい、という点です。ブランド構築・SEO向けのページは「情報を届けて読者との関係を育てる」ことが役割で、コンバージョン向けのページは「購入・登録などの具体的な行動を促す」ことが役割です。
実際、CROの現場でよく行われる施策——動画の配置変更、コピー(文章量)の削減、デザインのA/Bテストなど——は、連携せずに実施するとSEOのパフォーマンスを損なうことがあります。たとえば検索で評価されている本文を大幅に削ってしまうと、そのページの検索流入が落ちる、といった具合です。逆に言えば、SEOからの流入がなければ、そもそもコンバージョンさせる相手(ユーザー)が存在しません。だからこそ、サイロ化しがちなCROチームとSEOチームは連携する必要がある、というのがRiemer氏の主張です。
もう1つのポイントは、すべてのページが検索で上位表示を狙う必要はない、という割り切りです。たとえば商品ページは必ずしも検索で上位を取る必要はなく、カテゴリページのほうが順位の安定性をもたらす、という整理が示されています。
衝突を防ぐ3つの仕組み
1. ページ種別ごとの「SEO必須要素ガイド」
ハウツー記事、カテゴリページ、ブログ記事など、ページの種類ごとに「これは必ず守る」というSEO上の必須要素を文書化しておく方法です。CRO担当がページを触るときも、この必須要素だけは崩さない、という共通ルールになります。
2. 「自由に編集してよい区画」を決めておく
検索順位を狙わないコンテンツ——会社のお知らせ、一時的なランディングページなど——は、robots.txtやmeta robotsのnoindexを使って検索対象から外し、その区画では自由に改変してよいというサイト構造にしておきます。こうすることで、CROの実験を検索評価への影響を気にせず回せる場所を確保できます。
3. よくあるCRO作業のための「技術SEOガイド」
CRO担当が日常的に行う作業について、簡単な参照ドキュメントを用意しておく方法です。記事内で挙げられていた具体例は次のとおりです。
| 作業 | 守るべきこと |
|---|---|
| ページのA/B(スプリット)テスト | テスト用ページはcanonicalリンクで本来のURLを指定する |
| カテゴリページの編集 | H1タグに主要な商品カテゴリ名を含める |
| JavaScriptツールの導入 | 公開前にSearch Consoleでテスト(レンダリング確認)する |
| 一時的なランディングページ | /test/ フォルダに置き、robots.txtでブロックする |
SEO担当者はどう活かすか
ポイントは「ルールで縛る」だけでなく「代替案をセットで示す」ことです。Riemer氏は、コンテンツの改変を制限するときは代わりの解決策を提示することで、他部署からの反発を防げると述べています。「これは触るな」だけでは現場は動きにくいので、「順位を狙わないこの区画なら自由にテストしてよい」という逃げ道を用意しておくわけです。まずは自社のページを「検索で評価されている(触ると危ない)ページ」と「自由に改変してよいページ」に仕分けし、後者をCRO実験の場として明確化するところから始めるとよいでしょう。
所感 — 「兼用」をやめると両方が伸びる
1枚のページにSEOもCROも背負わせると、片方を良くしようとした変更がもう片方を壊す、というジレンマに陥りがちです。役割を分けて「このページは集客、このページは転換」と定義し、種別ガイド・編集自由区画・技術ガイドの3点で運用ルールを可視化する——というのは、チームが大きくなるほど効いてくる実務的な設計です。Scale Basics編集部としては、特に「noindexの/test/区画をCRO実験場として確保する」考え方は、検索評価を守りながら改善サイクルを回すうえで再現性が高く、すぐ取り入れやすい打ち手だと考えます。
まとめ
・SEJ「Ask An SEO」(Adam Riemer氏、2026年7月16日)が「ページの役割は分けるべき」と回答した
・CRO施策(動画配置・コピー削減・デザインテスト)は連携なしだとSEOを損なうことがある
・すべてのページが上位表示を狙う必要はない(商品ページよりカテゴリページが順位の安定に寄与)
・衝突を防ぐ3つの仕組み=ページ種別ごとのSEO必須要素ガイド/編集自由な区画(noindex・robots.txt)/CRO作業の技術SEOガイド
・制限するときは代替案をセットで示すと他部署の反発を防げる
よくある質問
Q1: すべてのページを検索上位に最適化すべきですか?
いいえ。記事では、すべてのページが上位表示を狙う必要はなく、商品ページは必ずしも上位を取らなくてよい、カテゴリページのほうが順位の安定に寄与する、と整理されています。ページごとに役割(集客か転換か)を決めるのが現実的です。
Q2: CROの実験でSEOを壊さないための場所はどう作りますか?
順位を狙わないコンテンツ(お知らせ、一時的なLPなど)をnoindexやrobots.txtで検索対象から外し、その区画では自由に改変してよいと決めておく方法が紹介されています。一時的なLPは /test/ フォルダに置いてrobots.txtでブロックする例が挙げられています。
Q3: A/Bテストのページで注意することは?
スプリットテスト用のページは、canonicalリンクで本来のURLを指定することが推奨されています。これにより重複コンテンツとして扱われるのを避けられます。
Q4: CROチームとSEOチームはなぜ連携が必要ですか?
SEOからの流入がなければコンバージョンさせるユーザーがそもそも存在せず、逆にCROの変更がSEO評価を損なうこともあるためです。両チームはサイロ化しがちですが、共通ルールを文書化して連携することが求められます。
出典:Search Engine Journal「How Do I Split Pages Between Brand Building & Converting? – Ask An SEO」(Adam Riemer、2026年7月16日)https://www.searchenginejournal.com/ask-an-seo-how-do-i-balance-content-that-converts-with-content-that-builds-brand-authority/566261/