何が起きたか:AI判定で「真っ黒」でも上位10位に残っている
Search Engine Journalの記事は、Ahrefsが公開したAI検出ツールによる大規模調査の結果を紹介しています。冒頭で示されているのは、AI検出スコアが高いページほどGoogleの上位10位の中で下の方に位置し、かつ検索インデックスに収録されている割合も低い一方で、強くAI判定されたページも上位10位の全域にわたって順位を獲得している、という構図です。
数字で最も目を引くのは、Google検索の上位3位に入ったページのうち、AI生成と判定された割合が20%未満のページが54.7%を占めたという点です。記事はこれを「Googleの上位3件の検索結果に入ったページの半数以上(54.7%)が、AI生成コンテンツの割合が20%未満である(“More than half of the pages in Google’s top three search results (54.7%) have less than 20% AI-generated content.”)」と紹介しています。つまり上位表示の主流は依然として人間が書いた文章が中心のページですが、それは「AI生成ページが上位に入れない」という意味ではありません。同じ上位3位の中に、AIスコアが100%(全文がAIによって書かれたと読める)と判定されたページも5.3%含まれていました。
調査の対象は、2026年6月に実施された10万件の検索から抽出した、上位10位のページ約15万件です。いずれも350語以上の分量があるページに限定されています。ここで言うスコアは、あくまで「そのページの文章の何%がAIによって書かれたように読めるか」を推定した値であり、実際に誰が書いたかを記録したものではない点に注意が必要です。
調査データ①:順位別のAIスコアは1位27.1%、10位30.9%
順位ごとに平均AIスコアを見ると、1位の27.1%から10位の30.9%へと上昇していました。ただしこの上昇は直線的ではなく、9位のスコアは10位より高かったとされています。上位ほどAI判定が低く、下位ほどAI判定が高いという大まかな傾向はあるものの、順位が1つ下がるごとにきれいに悪化するような関係ではないということです。
AIスコアが80%以上の「強くAI判定されたページ」に絞ると、1位を占めたページのうち8.4%、10位を占めたページのうち11.7%がこの層に該当していました。1位と10位で3.3ポイントの差はありますが、裏を返せば、1位に表示されているページの12件に1件程度は、検出ツールが「大半がAIによって書かれている」と判定するページだということになります。
また、AIスコアが50%未満のページは上位3位の82.2%を占めていました。20%未満が54.7%、50%未満が82.2%という数字の重なりからは、上位に入るページの分布が「AIらしさが低い側」に寄っている一方で、右側の裾(AI判定が高い層)もはっきり残っていることが読み取れます。報告書の著者らは、この順位差について「意味のある差ではあるが、失格に値するにはほど遠い(“meaningful but far from disqualifying”)」と表現しています。
調査データ②:インデックス収録率はAIスコアが上がるほど下がる
Ahrefsはもう1つ別のサンプルを使い、AIスコアとGoogleのインデックス収録状況の関係も調べています。こちらは1ドメインにつき1ページずつ、約10万ページを対象としたものです。
結果は、AI判定の割合が最も低い層(20%未満)では49.28%がGoogleのインデックスに存在していたのに対し、20〜50%の層では43.38%、50〜80%の層では40.72%、80%以上の層では40.35%と、AIスコアが上がるにつれて収録率が下がる形になりました。最も低い層と最も高い層の差はおよそ9ポイントです。
ここで重要なのは、この「インデックスされているかどうか」の判定方法です。記事によれば、Ahrefsは対象ページについて、少なくとも1つのキーワードで順位が付いていること、2026年1月以降にSearch Consoleでの表示回数(impressions)が記録されていること、site:検索で表示されること、という3つの基準のいずれかを満たすかどうかで判定しています。1つでも満たせばインデックスされている可能性が高いと見なす一方、どれも満たさないページが実際にはインデックスされている場合もあり得るため、これらの数値は最低限の見積もりだとされています。収録率の絶対値そのものより、層ごとの相対的な差を読む数字だと理解しておくのが安全です。
背景:2025年の「相関ほぼゼロ」から何が変わったのか
Ahrefsは2025年にも同種の調査を行っており、そのときは上位20位に入った60万ページを分析し、AIスコアと掲載順位の相関係数(correlation coefficient)は0.011だったと報告していました。記事はこの値を「事実上ゼロ(“effectively zero”)」と表現し、両者の間に明確な関係は見られなかったとしています。
今回のデータでは、AIの利用度合いが高いほど順位が低いという方向性が見えるようになりました。ただし記事は、その差を「穏やか(gentle)」と特徴づけており、今回の報告では相関係数そのものは示されていないとしています。前回は「関係が見当たらない」、今回は「弱い方向性は見えるが決定打ではない」という位置づけの変化であり、「AI生成であることが順位を落とす原因である」と証明されたわけではない、という点は押さえておく必要があります。
Googleの公式スタンスにも変化はありません。記事は、Googleが2023年以降一貫して、ページがどのように作られたかにかかわらず品質を評価するのであり、主に検索順位の操作を狙った自動生成はスパムにあたる(“it rewards quality no matter how a page was made, and that automation aimed mainly at gaming rankings counts as spam”)と述べてきたことを確認しています。評価軸は「AIを使ったかどうか」ではなく「そのページが有用かどうか」「順位操作を目的としていないか」という点にある、という整理です。
判定ツールの限界:スコアは「AIらしさ」であって「誰が書いたか」ではない
この調査を実務に持ち込むうえで、記事が繰り返し注意を促しているのが検出ツールの性質です。Ahrefs自身、ツールは完璧ではなく、Googleが使っているかもしれない仕組みと同じように動作するものでもない(“It says the tool isn’t perfect and doesn’t work the same way as anything Google might use.”)と述べています。記事は「ここで扱われている数字はいずれも、そのページがどの程度AIによって書かれたように読めるかの推定値であって、誰が書いたかの記録ではない(“Every number here is an estimate of how much of a page reads as AI-written, not a record of who wrote it.”)」と付け加えています。
記事の「Why This Matters(なぜ重要か)」の項では、次のように整理されています。Googleが出力を見抜いて順位を落とすことを恐れてAIの支援を控えることを裏づける材料は、この調査には何もない。検出ツールが100%と判定したページも、このサンプルの中で上位3位を占めていた。スコアが高いほど順位が低いという関係が一方のサンプルで、インデックス収録ページが少ないという関係がもう一方のサンプルで見られた。報告書の共著者であるRyan Law氏は、これをAIの利用が増えるにつれて品質が低下していること(“quality declining as AI use rises”)の表れだと読んでいる。ただし今回のサンプルでは、コンテンツの深さ、内部リンク、独自性、事実の正確性といった要素は評価されていない。そのうえで記事は「高いスコアは、そのページを点検する理由にはなる。しかしそのページが弱いことの証明でも、Googleがそのページに何かをしたことの証明でもない(“A high score is a reason to look at a page. It isn’t proof the page is weak, or that Google did anything to it.”)」と結んでいます。
実務への影響:SEO・GEO運用でAI下書きをどう設計するか
まず押さえたいのは、AI検出ツールのスコアを「合否判定」として使わないことです。今回のデータは、スコアが高いページでも上位3位に入り得ることと、スコアが低いページが上位に多いことを同時に示しています。したがってスコアは、公開可否を決める基準ではなく、社内でどのページから内容の点検に着手するかを決める優先順位づけの材料として扱うのが実態に合っています。記事が言うとおり、高スコアは「点検する理由」であって「品質が低い証拠」ではありません。
次に、今回のサンプルが評価していない要素、すなわちコンテンツの深さ、内部リンク、独自性、事実の正確性こそが、AI下書きを使う運用で人間が担保すべき領域になります。AIに書かせた原稿をそのまま公開するのではなく、一次情報の確認、独自データや事例の追加、関連ページからの内部リンク設計といった工程を編集フローに固定できるかどうかが、順位を左右する実質的な差になります。検出スコアを下げるための言い換え作業に工数を割くよりも、この4点に工数を配分するほうが、調査の内容とも整合的です。
記事の「Looking Ahead(今後の展望)」では、さらに先の論点が提示されています。この種の調査が測っているのは、あくまでページがどの程度機械によって書かれたように読めるかであり、AIの支援が日常的な執筆ツールの中に入り込んでいく以上、それが広がるほど検出スコアからページの実際の作られ方を読み取れる度合いは下がっていく、という指摘です。そして記事は、より大きな問いはSEJの寄稿者であるDan Taylor氏が問い続けてきた論点、つまり大量公開(publishing at scale)をめぐる問題であり、スケールさせたAIコンテンツがそれによって消費するクロールバジェット(crawl budget、Googleがサイトをクロールするために割り当てる予算)に見合うのかという点にあるとしています。1本ごとの「AIらしさ」より、サイト全体で何本を公開し、その総体がクロールとインデックスの資源に見合っているかという設計の問題に論点が移りつつある、という見立てです。
所感
ここからは記事本文にはない、Scale Basics編集部の見解です。今回のデータで日本の実務担当者が最も使いやすいのは、社内説明の材料としての側面だと考えています。「AIで書いた記事は検出されて順位が下がるのではないか」という懸念は、事業会社の決裁ラインでも代理店との打ち合わせでも繰り返し出てきますが、それに対して「上位3位のページのうち5.3%は検出ツールで100%と判定されている」「1位のページの8.4%はスコア80%以上である」と具体的な数字で応じられるようになった意味は小さくありません。逆に「AIを使えば安く量産できる」という主張に対しても、インデックス収録率が層ごとに9ポイント下がっているという数字が、量産一辺倒の運用に対する現実的な牽制になります。
日本ではインハウス担当者と外部の制作会社・代理店が分業する体制が一般的で、AIの利用可否や利用範囲が両者の間で曖昧なまま進むケースが目立ちます。今回の調査を踏まえるなら、契約や発注仕様で決めるべきはAIの使用禁止ではなく、深さ・内部リンク・独自性・事実の正確性という、まさに今回のサンプルが評価していない4点を誰がどの工程で担保するかの取り決めです。検出ツールのスコアを納品基準に書き込む運用は、Ahrefs自身がツールの限界を明言している以上、そのまま採用するには根拠が弱いと考えます。
もう1点、公開本数の設計は今のうちに見直しておく価値があります。AIによって月あたりの公開本数を数倍に増やした結果、インデックスされないページが積み上がるという事態は、記事が触れているクロールバジェットの論点そのものです。まずSearch Consoleでインデックス未登録のページ数の推移を確認し、増えているようであれば本数を増やす前に既存ページの統廃合に着手する、という順序を推奨します。
まとめ
・Ahrefsが2026年6月の10万件の検索から抽出した上位10位の約15万ページ(350語以上)を分析したところ、Google上位3位のページのうち54.7%はAI判定20%未満、82.2%は50%未満だった一方、AIスコア100%のページも5.3%含まれていた
・平均AIスコアは1位の27.1%から10位の30.9%へと上昇し、AIスコア80%以上のページは1位の8.4%、10位の11.7%を占めた(9位は10位より高く、上昇は直線的ではない)
・別サンプル(1ドメイン1ページ、約10万ページ)でのインデックス収録率は、AI判定20%未満で49.28%、20〜50%で43.38%、50〜80%で40.72%、80%以上で40.35%と、スコアが上がるほど低下した
・2025年の調査(上位20位・60万ページ)ではAIスコアと順位の相関係数が0.011で「事実上ゼロ」とされていたが、今回は弱い方向性が見えるようになった。ただし記事はその差を「穏やか」と表現し、相関係数は示していない
・Ahrefsはツールが完璧ではなくGoogleの仕組みとも異なると明言しており、記事は高スコアを「ページを点検する理由」ではあっても「品質が低い証拠」ではないと結論づけている
よくある質問
Q1: AI検出ツールで高いスコアが出ると、Googleの上位に表示されなくなるのですか?
今回のAhrefsの調査データからは、そこまでは言えません。Google検索の上位3位に入ったページのうち、AI生成率100%と判定されたページが5.3%あり、AIスコア80%以上のページは1位を占めたページの8.4%を占めていました。平均AIスコアが1位の27.1%から10位の30.9%へ上昇するなど、スコアが高いほど順位が低い傾向は確認されていますが、報告書の著者らはこの差を「意味のある差ではあるが、失格に値するにはほど遠い」と表現しています。記事も、高いスコアはそのページを点検する理由にはなるが、ページが弱いことの証明でもGoogleが何かをしたことの証明でもないとしています。
Q2: 今回の調査はどのような方法で行われたのですか?
2つのサンプルが使われています。順位の分析では、2026年6月に実施された10万件の検索の上位10位から、350語以上のページ約15万件を抽出しています。インデックス収録の分析では、1ドメインにつき1ページずつ約10万ページを対象とし、少なくとも1つのキーワードで順位が付いていること、2026年1月以降にSearch Consoleでの表示回数があること、site:検索で表示されること、という3つの基準のいずれかを満たすかどうかで判定しました。どれも満たさないページが実際にはインデックスされている場合もあり得るため、収録率の数値は最低限の見積もりだとされています。
Q3: この調査を踏まえて、AIを使った記事制作で何に注意すべきですか?
記事は、今回のサンプルではコンテンツの深さ、内部リンク、独自性、事実の正確性といった要素が評価されていないと明記しています。またAhrefs自身が、検出ツールは完璧ではなくGoogleが使っているかもしれない仕組みと同じようには動作しないとし、数値はそのページがどの程度AIによって書かれたように読めるかの推定値であって誰が書いたかの記録ではないと述べています。Googleは2023年以降、ページがどのように作られたかにかかわらず品質を評価し、主に順位操作を狙った自動生成をスパムとして扱うという立場を示しています。記事の今後の展望では、大量公開とクロールバジェットに見合うかどうかがより大きな問いだとされています。
出典:Heavily AI-Flagged Pages Still Rank Across Google’s Top 10(Search Engine Journal、Matt G. Southern氏、2026年7月28日)https://www.searchenginejournal.com/heavily-ai-flagged-pages-still-rank-across-googles-top-10/583983/