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AIは96%のブランドを正確に説明できるのに89%は回答に出てこない――Victorious調査が示す「認識」と「言及」の断層【2026年7月】

AIは96%のブランドを正確に説明できるのに89%は回答に出てこない――Victorious調査が示す「認識」と「言及」の断層【2026年7月】

AIはあなたの会社の名前を知っています。ただし、その名前を回答の中で口にしてくれるとは限りません――そんな調査結果を、Search Engine Journal(Michael Transon氏、2026年7月29日付)が「AI Recognizes 96% Of Brands But Mentions Almost None, New Study Finds(AIは96%のブランドを認識しているが、ほとんど言及しない――新調査)」と題して伝えています。調査を実施したのは米国のSEO会社Victoriousで、記事を執筆したTranson氏は同社の創業者兼CEOです。5業種175ブランドを対象に、ChatGPTやGemini、Perplexityなど8つのAIプラットフォームで「AIがブランドを認識しているか」と「AIが回答の中でブランドに言及するか」を別々に測定したところ、直接尋ねれば96%が正確に説明される一方、購買比較の質問への回答では89%が一度も名前を出してもらえないという大きな断層が確認されました。GEO(Generative Engine Optimization/生成エンジン最適化)を考えるうえで、認知度と引用可能性はまったく別の指標であることを数字で突きつける内容です。

何が起きたか:「96%が正確に説明される」と「89%が回答に出てこない」の同居

Search Engine Journalに掲載されたVictoriousの調査記事は、AI検索におけるブランドの可視性を、大きく2つの指標に分けて測定しています。ひとつはAIがそのブランドを知っているかどうかを問う「認識(recognition)」、もうひとつはユーザーの質問に対してAIが生成した回答の中に実際に名前が登場するかどうかを問う「言及(mention)」です。

結果は対照的でした。記事は「私たちがテストしたブランドのうち96パーセントは、直接尋ねたときに正確に説明された(“96 percent of the brands we tested were described accurately when we asked about them directly”)」と述べる一方で、「私たちが計測したブランドのうち89パーセントは、カテゴリ調査の質問に対するAI生成回答に一度も登場しなかった(“89 percent of the brands we measured never appeared in AI-generated answers to category research questions”)」としています。

つまり、AIの内部にはブランドの知識が確かに存在しているにもかかわらず、ユーザーが「この課題を解決できるサービスを比較して」と尋ねたときの回答リストには、その9割近くが選ばれていないということです。記事はこの結果について、可視性は認識そのものではなく、購買ジャーニーの各段階でAIが信頼するソースの中に自社が存在しているかどうかに依存する、と結論づけています。

調査の詳細①:175ブランド・5業種・8プラットフォームという設計

調査の規模と対象は次のとおりです。テストされたのは5つの業種(legal/法務、healthcare/ヘルスケア、SaaS、financial services/金融サービス、ecommerce and retail/EC・小売)にまたがる175ブランドで、このうち認識の分析対象として評価可能な回答が得られたのが140ブランド、言及率を測る対象コホートとなったのが150ブランドでした。

対象としたAIプラットフォームは8つです。ChatGPT、Claude、Gemini、Copilot、Perplexity、Google AI Overviews(AIによる概要)、Google AI Mode(AIモード)、そしてMeta AIが並びます。記事は認識の測り方について、「8つのAIプラットフォーム(ChatGPT、Claude、Gemini、Copilot、Perplexity、Google AI Overviews、Google AI Mode、Meta AI)に、コホート内のすべてのブランドを説明するよう依頼し、それぞれの回答をブランド自身のウェブサイトと照らして採点し、correct(正確)、vague(曖昧)、outdated(情報が古い)、wrong(誤り)、not recognized(認識されず)のいずれかのラベルを割り当てた(“We asked eight AI platforms … to describe every brand in our cohort, then graded each response against the brand’s own website and assigned that response a label of correct, vague, outdated, wrong, or not recognized.”)」と説明しています。

認識率にはプラットフォームごとの差もありました。Google AI Mode、Gemini、ChatGPT、Google AI Overviews、Copilotの5つは認識率が83%を超えた一方、PerplexityはSaaSとEC分野のブランドのうち55%未満しか認識せず、Meta AIに至ってはSaaSブランドの46%しか認識しなかったとされています。ブランド側から見れば、どのAIに評価されるかによって「知られている度合い」そのものが変わることになります。

調査の詳細②:引用の99.99%は第三者サイト、自社ドメインが引用されたのは150社中4社

言及の測り方も、購買ジャーニーの段階で分けられています。記事は「それらのブランドが、標準化されたカテゴリ調査プロンプト(見込み客がソリューションを比較するときに尋ねる購買調査の質問)へのAI生成回答にどれくらいの頻度で登場するかを計測した。あわせて、別途、課題認知プロンプト(買い手がどんな種類のソリューションが必要かを知る前に尋ねる、ジャーニー初期の質問)のセットも実行した(“We measured how often those brands appeared in AI-generated answers to standardized category research prompts … We also ran a separate set of problem awareness prompts …”)」としています。

そして、この調査でもっとも数字が際立つのが引用元の内訳です。記事は「私たちが分析した49,391件の引用のうち99.99パーセントは、ブランド自身のドメインではなく第三者のウェブサイトを指していた。言及コホートの150ブランドのうち、自社ウェブサイトへの引用を獲得したのはわずか4社だった(“99.99 percent of the 49,391 citations we analyzed pointed to third-party websites rather than the brand’s own domain. Only 4 of the 150 brands in our mention cohort earned a citation to their own website.”)」と報告しています。

自社サイトをどれだけ磨いても、AIが答えを組み立てるときに参照しているのはほぼ全面的に他社のページである、という構図です。ここが、従来の検索順位を軸にしたSEOと、AI回答内での可視性を軸にしたGEOの決定的な違いになります。

背景:AIが信頼するソースは購買ジャーニーの段階で入れ替わる

記事は、AIが引用するソースの性質が、ユーザーの質問の段階によって大きく変わることを指摘しています。ジャーニー初期の質問、すなわち課題認知プロンプトでは、動画や政府系サイト、専門家コミュニティといった教育的なソースから引用が集まりました。この段階で具体的なブランド名が挙がるのは、回答全体のわずか0.10パーセント(“0.10 percent of those answers”)にとどまります。

一方、比較検討の段階に入ってカテゴリ調査プロンプトになると、引用先はディレクトリや比較サイトへと移り、ブランド名が登場する頻度は課題認知段階の「12倍以上(“more than twelve times as often”)」に跳ね上がります。買い手が「どんな解決策があるのか」を探している間はブランドが出てこず、「どの会社を選ぶか」を探し始めた瞬間に第三者の比較情報が引き合いに出される、という順序です。

では、AIに言及されるブランドとされないブランドは何が違うのか。記事が挙げているのは、自社サイトの外側にある指標です。第三者のウェブ上でのブランド言及(third-party web mentions)はAIによる言及と0.45、被リンク元ドメイン(referring domains)は0.49という、中程度の相関(correlation/相関係数)を示しました。さらに、そのブランドに言及しているインデックス済みウェブページが2,000ページ未満のブランドは、AIの回答に登場する確率がわずか3パーセントだったとしています。

加えて、AIが依拠するソースの分布は業種によっても大きく異なりました。記事は「AIが依拠するソースも業界によって大きく異なる。法務サービスの引用は少数の権威あるディレクトリに集中していた一方、SaaSの引用は10,000を超えるユニークドメインに分散していた(“The sources AI relies on also differ sharply by industry. Legal services citations were concentrated in a handful of prestige directories, while SaaS citations were scattered across more than 10,000 unique domains.”)」と述べています。

実務への影響:SEO・PPC・GEO運用のどこに効くか

この調査結果を日本のマーケティング実務に引き寄せると、まず見直すべきは「AI検索対策」の測り方です。自社名でChatGPTに聞いて正しい説明が返ってきたことをもって「うちはAIに認識されている」と安心してしまうのは、この調査でいえば96%側の話にすぎません。評価すべきは、自社名を出さない指名なしの質問――たとえば「東京 中小企業向け 勤怠管理システム 比較」に相当するカテゴリ調査プロンプト――を投げたときに、回答リストに自社が入るかどうかです。指名検索とそれ以外を分けて計測するのと同じ発想で、プロンプトも指名あり・なしで分けて定点観測する必要があります。

次に、施策の重心の置き方です。引用の99.99%が第三者サイトを指していた以上、自社サイトのページを増やすだけではAI回答内の可視性は伸びにくいと考えるのが妥当です。比較サイト、業界ディレクトリ、業界メディアの導入事例、レビュープラットフォームといった、第三者ドメイン上に自社の情報を正しく置く活動が、GEO文脈ではリンク獲得と同等かそれ以上の意味を持ちます。被リンク元ドメイン数が0.49という相関を示した点も、従来のリンクビルディングがそのままAI可視性の下支えになり得ることを示唆しています。

そして、コンテンツの役割分担です。記事の結論部分では「あなた自身の教育的コンテンツは、買い手がまだ自分の課題を理解しようとしている段階で引用を獲得できるが、彼らが検討段階に達すると、ほぼすべての重みは第三者のソースが担う(“Your own educational content can earn citations while buyers are still working to understand their problem, and third-party sources carry nearly all the weight once they reach the consideration stage.”)」とされています。自社オウンドメディアの解説記事は課題認知段階での引用を狙い、比較検討段階は第三者掲載の露出で取りにいく、という二段構えが現実的な設計になります。

広告運用への含意もあります。比較検討段階でAIが挙げるブランドに自社が入っていない場合、その空白を短期的に埋める手段はリスティングやディスプレイなどの有料チャネルしかありません。GEOの成果が出るまでの期間をPPCで買い支える、という予算配分の判断材料としても、この「89%は回答に出てこない」という数字は使えます。なお、自社がAI側からどう認識されているかの棚卸し手順そのものについては、当サイトのAIエンティティ・フットプリント監査の記事で扱っています。今回の記事は、その前提となる「認識と言及のギャップがどれくらいあるのか」を定量データで示したもの、という位置づけです。

所感

Scale Basics編集部としては、今回の調査でもっとも実務的な価値があるのは96%や89%という見出しの数字よりも、「引用の99.99%が第三者サイトだった」「自社サイトへの引用を得たのは150社中4社」という内訳だと考えています。ここからは記事本文にはない、Scale Basics編集部の見解です。日本の事業会社では、AI検索対策の予算がまずオウンドメディアの記事制作に振られる傾向がありますが、この数字を素直に読むなら、同じ予算の一部は業界ディレクトリへの掲載、比較メディアへの情報提供、レビュー獲得といった「自社ドメインの外」に配分したほうが、AI回答内の露出という一点では効きやすいことになります。

もうひとつ、日本特有の事情として押さえておきたいのが、インハウス担当と代理店の分業の境目です。オウンドメディアの記事はインハウス、リンク獲得や外部掲載は代理店、という切り分けをしている組織では、今回の調査が示す「課題認知段階は自社コンテンツ、比較検討段階は第三者ソース」という役割分担が、そのまま担当者の分業ラインと重なります。両者のKPIが別々に置かれていると、課題認知だけ強くて比較検討で名前が出ない、という今回の89%に近い状態が生まれやすくなります。プロンプト単位で「どの段階のどの質問に出たいのか」を先に決め、その段階の主戦場が自社サイトなのか第三者サイトなのかを見極めてから担当を割り振るほうが、実務としては噛み合うはずです。

もっとも、この調査記事の執筆者がVictoriousの創業者兼CEO本人であり、同社は自社サービスの文脈でこのデータを提示している点は、読み手として差し引いて受け止める必要があります。相関係数0.45や0.49は「中程度」であって因果関係を証明するものではなく、被リンクを増やせばAIに言及されるという単純な話でもありません。数字の絶対値をそのまま自社のKPIに転用するのではなく、業種によって引用元の集中度がまったく違うという指摘のほうを重く見て、まずは自社業種でAIが実際に引用しているドメインを一覧化するところから始めるのが安全です。

まとめ

・米国のSEO会社Victoriousが5業種175ブランド、8つのAIプラットフォームを対象に調べたところ、直接尋ねれば96%のブランドが正確に説明された一方、カテゴリ調査の質問への回答には89%が一度も登場しなかった

・対象プラットフォームはChatGPT、Claude、Gemini、Copilot、Perplexity、Google AI Overviews、Google AI Mode、Meta AIの8つで、認識分析は140ブランド、言及率の分析は150ブランドが対象

・分析した49,391件の引用のうち99.99%は第三者サイトを指しており、自社ウェブサイトへの引用を獲得したのは150ブランド中わずか4社だった

・課題認知段階の質問でブランド名が挙がるのは回答の0.10%にとどまり、比較検討段階のカテゴリ調査プロンプトでは12倍以上の頻度で名前が登場した

・AI言及との相関は第三者のウェブ上言及が0.45、被リンク元ドメインが0.49で、言及ページが2,000ページ未満のブランドがAI回答に登場する確率は3%にとどまった

よくある質問

Q1: 今回の調査で「AIがブランドを認識している」と「AIが回答でブランドに言及する」はどれくらい違ったのですか?

調査を行ったVictoriousによれば、8つのAIプラットフォームにブランドを直接説明させた場合、96%のブランドが正確に説明されました。しかし、見込み客が比較検討時に投げるようなカテゴリ調査プロンプトへのAI生成回答では、89%のブランドが一度も名前を出されませんでした。認識分析の対象は140ブランド、言及率の対象は150ブランドで、いずれも5業種175ブランドのコホートから抽出されています。AIに知られていることと、AIの回答で推奨されることは別問題だ、というのが調査の主旨です。

Q2: AIの回答に登場するブランドと登場しないブランドは何が違うのですか?

記事は、違いを分けているのは自社サイトの外側にある指標だとしています。AIによる言及との相関は、第三者のウェブ上でのブランド言及が0.45、被リンク元ドメインが0.49で、いずれも中程度の相関でした。また、そのブランドに言及しているインデックス済みページが2,000ページ未満のブランドは、AIの回答に登場する確率が3%にとどまり、しきい値が上がるにつれて言及率が大きく伸びたとされています。分析した49,391件の引用の99.99%が第三者サイトを指していたことも、この傾向を裏づけています。

Q3: この調査結果を踏まえて、GEO施策として最初に着手すべきことは何ですか?

記事の結論は、可視性は購買ジャーニーの各段階でAIが信頼するソースの中に存在することから生まれる、というものです。自社の教育的コンテンツは買い手が課題を理解しようとしている初期段階で引用を獲得でき、検討段階ではほぼすべての重みを第三者ソースが担うとされています。したがって、初期段階向けの解説コンテンツは自社サイトで整備しつつ、比較検討段階については業界ディレクトリや比較サイトなど第三者ドメイン上の露出を確保する、という二段構えが起点になります。引用元の集中度は業種によって大きく異なり、法務サービスは少数の権威あるディレクトリに集中する一方、SaaSは10,000を超えるユニークドメインに分散していたため、自社業種でAIが実際に引用しているドメインの把握から始めるのが実務的です。

出典:AI Recognizes 96% Of Brands But Mentions Almost None, New Study Finds(Search Engine Journal、Michael Transon氏、2026年7月29日)https://www.searchenginejournal.com/ai-brand-mention-study-victorious-spa/582765/

scale-basics編集部
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scale-basics編集部

SEO・AI検索最適化(AIO/LLMO/GEO)・Web制作の最前線で活動する専門チーム。テクニカルSEOからコンテンツ戦略、データ分析まで幅広い実務経験をもとに、最新のナレッジと実践的なノウハウを発信しています。

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