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AI Modeが月間10億MAU、ChatGPTのシェアは78%から56%へ――Kevin Indig氏が2026年上半期のAIを総括【2026年7月】

AI Modeが月間10億MAU、ChatGPTのシェアは78%から56%へ――Kevin Indig氏が2026年上半期のAIを総括【2026年7月】

Search Engine Landが2026年7月29日、Kevin Indig氏による寄稿「AI halftime report: H1 2026(AIハーフタイムレポート:2026年上半期)」を公開しました。VIP Contributor枠の12分の読み物で、2026年1月から6月までのAIと検索の動きを6つの領域に整理したものです。記事が中心に置くテーマは「AIの経済的インパクトは、私たちがそれを帰属させられる速度よりも速く拡大している(“AI’s economic impact is expanding faster than we can attribute it.”)」という一文です。GoogleのAI Mode(AIモード)が月間アクティブユーザー10億に到達した一方で、Google検索の68%がクリックなしで終わり、パブリッシャーの提訴と規制当局の命令が同時に走る。上半期に何が確定した事実として積み上がったのかを、数字の出どころとあわせて確認しておきます。

何が起きたか:Kevin Indig氏による2026年上半期の総括

Search Engine Landは2026年7月29日、Kevin Indig氏の署名記事「AI halftime report: H1 2026」を掲載しました。同誌のVIP Contributor(寄稿者)枠の記事で、読了目安は12分と表示されています。速報ではなく、2026年上半期の6か月間に起きたAIと検索まわりの動きを後から振り返るレビュー記事です。

記事が全体を貫くテーマとして掲げているのが、「AIの経済的インパクトは、私たちがそれを帰属させられる速度よりも速く拡大している(“AI’s economic impact is expanding faster than we can attribute it.”)」という指摘です。AIが売上や生産性、あるいは雇用にどう効いたのかを測る手立てが、実際の広がりに追いついていない、という問題意識が各トピックに通底しています。

扱われている領域は、AI検索の成長、トークン支出の急増、SaaS市場の急落、雇用、エージェント市場、パブリッシャーとの対立の6つです。以下、記事に出てくる数字と発言をそのまま拾いながら整理します。

AI検索の拡大とユーザー行動:AI Modeが月間10億MAU、首位選択は約75%

記事によれば、GoogleのAI Modeは月間アクティブユーザー(MAU)10億に到達し、そこで入力されるクエリの平均的な長さは、従来型の検索(classic search)の3倍に達しているとされています。Google自身はAI Modeを「25年間で最大の検索ボックスのアップグレード(“the biggest search box upgrade in 25 years”)」と表現したと記事は伝えています。

導線の面でも、AI Modeは通常の検索結果からわずか2クリックの距離に置かれている、と記事は指摘しています。トラフィックへの影響については、Nick Fox氏の「GoogleのAI Modeはオープンウェブに何十億ものクリックを送り出している(“Google’s AI Mode sends out billions of clicks to the open web.”)」という発言が引かれています。

さらに記事は、ユーザー行動の調査から得られた重要な発見として次の4点を挙げています。ひとつめは、AIの回答の中でのブランド言及(brand mentions)が、引用(citations)よりも大きな影響力を持つと分かったこと。ふたつめは、AIが提示するショートリストにおいて、消費者のほぼ75%が最上位の結果を選んでいること。ただし信頼されているブランドはこのパターンを覆す、と条件が付けられています。3つめは、88%のユーザーがAI Modeの商品推奨を「これが最良のものだ(“best there is”)」として受け入れたこと。4つめは、文体(writing style)やトークン効率(token efficiency)、そして技術的な要因が、AI上での可視性に大きく影響するという点です。

これらは「AI回答の中でどう選ばれているか」を測った調査の数字であり、自社サイトの実際の検索順位やセッション数とは別の指標です。記事も、どの調査をどこまでの母数で行ったかまでは示していません。

トークン支出の急増、SaaS市場の急落、そして雇用の物語

2つめの領域はAI利用のコストです。記事は、Metaのエンジニアが社内のリーダーボード(leaderboard、社内ランキング)を通じて、30日間で73.7兆トークンを消費したと伝えています。Jensen Huang氏は、エンジニアは年間で「25万ドル相当のトークン(“$250,000 worth of tokens”)」を燃やすべきだと示唆したとされます。一方で、4月までにCFO(最高財務責任者)たちが過剰な支出を止めに入ったとも記事は書いています。理由は、年間で組んだトークン予算が4か月で使い切られていたことが判明したためです。

3つめはSaaS市場です。2026年2月に、ソフトウェア業界に深刻な下落が起き、数千億ドル規模の時価総額が消えたと記事は説明しています。高成長ソフトウェアのバリュエーション(企業価値評価)は、パンデミック期のピークと比べて崩壊した一方で、上位四分位(top-quartile)のソフトウェア銘柄は市場をアウトパフォームしたとも記されています。そして記事は、バリュエーションの下落幅が実際の業績ではなく、「AIによって破壊されるリスクがどう認識されているか」と相関していたと指摘しています。

4つめは雇用です。Challenger, Gray & Christmas社の集計として、2026年5月までにAIが理由として挙げられた人員削減は87,714件に上り、これは発表されたレイオフ全体の22%に当たると記事は伝えています。ただし著者のKevin Indig氏は、AIが人間を置き換えたという説明はまだ証明されていないという立場です。記事は「AIによる明確な生産性向上があるにもかかわらず、最近のレイオフの波は、AIが根本原因であることを示す兆候をまったく示していない(“Despite clear productivity gains from AI, recent layoff waves show no indication of AI being the underlying cause.”)」と述べています。冒頭の「帰属が追いついていない」というテーマが、最も端的に表れている箇所です。

エージェント市場の分散:ChatGPTのシェアは78%から56%へ

5つめの領域は、AIアシスタント/エージェント市場の勢力図です。記事によれば、ChatGPTの市場シェアは2025年7月の78%から、2026年7月には56%へ低下しました。同じ期間にGeminiは15%から30%へ、Claudeは2%から10%へ上昇しています。1強からの分散が数字として現れた、というのが上半期の変化です。

OpenAIについては、エンタープライズ(法人向け)へ軸足を移し、売上の40%が法人からで、50%へ向かっているとされています。あわせてIPO(新規株式公開)を計画しているとも記事は伝えています。ただし著者は収支の厳しさにも触れており、OpenAIは「11億ドルを稼ぐために毎月28億ドルを支出している(“$2.8 billion USD every month to make $1.1B”)」と指摘しています。

SEO・GEO(生成エンジン最適化)の実務にとっては、可視性の計測対象がChatGPT一本では足りなくなったことを意味します。ただしシェアは市場全体の数字であり、自社の顧客がどのアシスタントを使っているかとは別問題です。

パブリッシャーとの対立:ノークリック68%、司法と規制が同時に動いた

6つめは、パブリッシャー(メディア事業者)との衝突です。記事は、Google検索の68%がクリックなしで終わるようになったと伝えています。いわゆるゼロクリック検索の水準を示す数字です。

これに対する反応として、USA TodayのCEOの「私たちは今、Googleをブロックすることになる地点に近づきつつある(“We’re getting close now to the point where we’ll block Google.”)」という発言が引かれています。検索エンジンからのトラフィックとコンテンツ提供のバランスが、大手メディアの側で見直され始めているという文脈です。

法務・規制の面では、上半期に3つの動きが挙げられています。ミュンヘンの裁判所が、AI Overviews(AIによる概要)による虚偽の記述についてGoogleに責任があると判断したこと。400紙の新聞がOpenAIとMicrosoftを提訴したこと。そして英国のCMA(競争・市場庁)が、AIによるコンテンツ利用について、パブリッシャーにより大きなコントロールと透明性を提供するようGoogleに命じたことです。記事はこれらの判決・命令の詳細な条件や履行期限までは記していません。

実務への影響と今日からできる確認手順

ここから先は記事本文にはない、Scale Basics編集部による一般的な実務上の整理です。記事は米国と欧州の動きを中心に扱っており、日本市場での適用可否や時期には触れていません。確定した見通しとして扱わないでください。

論点は3つに絞れます。第1に、AI回答の中で「引用されること」より「言及されること」の重みが示された点です。被リンクや引用リンクの獲得だけを指標にしていたなら、自社名やサービス名がどういう文脈で言及されているかを測る枠を、レポートに足す価値があります。

第2に、AIショートリストで約75%が首位を選び、88%がAI Modeの商品推奨を受け入れたという数字は、AI面での露出が「上位に入れるかどうか」でほぼ決着することを示唆します。ただし記事は信頼されているブランドがこれを覆すとも書いており、ブランド想起の強化がAI面の対策と同じ方向を向く可能性があります。

第3に、ノークリック68%と、ミュンヘン裁判所・400紙の提訴・英国CMAの命令という組み合わせです。トラフィックの目減りが進む一方で、パブリッシャー側の交渉材料が司法と規制の両面から増えています。日本のメディア運営者にとっても、AIクローラーの許可・拒否をどう設計するかという判断材料が増えている局面です。

今日からできる確認として、次の手順を挙げておきます。

  1. Search Consoleで直近6か月の表示回数とクリック数の推移を、指名/非指名のクエリ別に確認する。クリック率だけが下がっている群があれば、AI面に要約されている可能性を疑う候補として控えておく。
  2. ChatGPT、Gemini、Claudeの3つに主要商材の質問を同じ文面で投げ、自社名が出るか、どんな文脈で言及されるかを記録する。シェアが分散した以上、1つだけの確認では判断材料が足りません。
  3. robots.txtとサーバーログで、AI関連クローラーのアクセス状況と現在の許可設定を確認する。すぐ変更する必要はありませんが、現状を把握していないと方針の議論が始められません。
  4. 社内の生成AIのトークン支出があるなら、月次の消費量と年間予算の消化ペースを照合する。記事が伝えた「年間予算が4か月で枯渇した」という事例は、自社でも起こり得ます。

所感

ここからは記事本文にはない、Scale Basics編集部の見解です。今回の総括で最も実務に効くのは、個々の大きな数字よりも、著者が全体に置いた「帰属が追いついていない」という枠組みのほうだと考えます。AIが理由として挙げられたレイオフが87,714件で全体の22%を占める一方、著者はそれをAIが根本原因である証拠とは見なしていません。同じ姿勢は、検索の数字を読むときにもそのまま必要になります。

この半年、流入が減った理由をAI Overviewsに求める説明が増えました。しかし表示回数とクリック率の推移、競合の順位変動、季節性、サイト側の改修履歴を分離しないまま「AIのせい」と結論づけると、次に打つ手が決まりません。ノークリック68%は市場全体の傾向であって、自社の特定クエリで何が起きたかの答えではない、という切り分けを保ちたいところです。

下半期に見ておくべき点を挙げるなら、記事が扱った領域のうち判断が未確定のまま残っているものです。ミュンヘン裁判所の判断と英国CMAの命令がどう履行されるか、400紙の訴訟がどう進むか、そして毎月28億ドルの支出と11億ドルの売上という差が、法人向けへの軸足移動とIPO計画でどう変わるか。いずれも記事は結論を書いておらず、当編集部としても予測は控えます。ただ、これらが動けば検索面とAI面の両方に波及する論点であることは確かです。

まとめ

・Search Engine Landが2026年7月29日にKevin Indig氏の総括記事「AI halftime report: H1 2026」を公開し、上半期のテーマを「AIの経済的インパクトは、私たちがそれを帰属させられる速度よりも速く拡大している」と整理した

・GoogleのAI Modeは月間アクティブユーザー10億に到達し、クエリの平均長は従来型検索の3倍。Googleはこれを「25年間で最大の検索ボックスのアップグレード」と呼び、Nick Fox氏はAI Modeがオープンウェブに何十億ものクリックを送り出していると述べた

・ユーザー行動の調査では、AI回答内のブランド言及が引用より影響が大きいこと、AIショートリストでほぼ75%が首位を選ぶこと(信頼されるブランドは例外)、88%がAI Modeの商品推奨を「最良のもの」として受け入れたことが挙げられた

・Metaのエンジニアは30日で73.7兆トークンを消費し、Jensen Huang氏は年間25万ドル相当のトークンを燃やすべきだと示唆。一方4月までにCFOが支出を止め、2026年2月にはソフトウェア株が急落した。Challenger, Gray & Christmas社の集計ではAIを理由とする人員削減が87,714件・全体の22%に上るが、著者はAIが根本原因である兆候はないとしている

・ChatGPTのシェアは78%(2025年7月)から56%(2026年7月)へ低下し、Geminiは30%、Claudeは10%へ。OpenAIは11億ドルの売上に対し毎月28億ドルを支出。Google検索の68%がクリックなしで終わり、ミュンヘン裁判所の判断、400紙による提訴、英国CMAの命令が上半期に相次いだ

よくある質問

Q1: この総括はどこが出典で、誰が書いたものですか?

Search Engine Landが2026年7月29日に公開した、Kevin Indig氏による寄稿記事「AI halftime report: H1 2026」です。同誌のVIP Contributor枠の記事で、読了目安は12分と表示されています。2026年1月から6月までのAIと検索の動きを、AI検索の成長、トークン支出、SaaS市場、雇用、エージェント市場、パブリッシャーとの対立という6つの領域に分けて振り返る内容です。個々の数字については、Challenger, Gray & Christmas社の人員削減集計やNick Fox氏の発言のように出どころが示されているものと、調査の詳細までは記されていないものが混在しています。

Q2: AI Modeの10億MAUやシェアの数字は、そのまま自社の流入予測に使えますか?

使えません。記事が示しているのは市場全体の規模やシェアの推移であり、特定サイトの検索順位やセッション数を予測するための数字ではありません。たとえばGoogle検索の68%がクリックなしで終わるという数値は全体傾向であって、自社の特定クエリでクリック率がどう動いたかとは別の話です。AIショートリストで約75%が首位を選ぶという調査結果も、AI回答内での選ばれ方を測ったものであり、自社の実際の検索順位とは別の指標です。自社の状況は、Search Consoleの表示回数・クリック数の推移など自社データで確認する必要があります。

Q3: 上半期の総括を受けて、下半期に何を見ておくべきですか?

記事は下半期の見通しを示していないため、以下はScale Basics編集部による一般的な実務上の補足です。予測ではなく、記事の中で結論が出ていない論点を挙げます。第1に、AI Overviewsの虚偽記述についてGoogleの責任を認めたミュンヘン裁判所の判断と、パブリッシャーへのコントロールと透明性の提供をGoogleに命じた英国CMAの措置が、実際にどう履行されるか。第2に、400紙がOpenAIとMicrosoftに対して起こした訴訟の行方。第3に、11億ドルの売上に対し毎月28億ドルを支出しているとされるOpenAIが、法人向けへの軸足移動とIPO計画でこの構図をどう変えるかです。自社の運用面では、シェアが分散した以上、ChatGPT・Gemini・Claudeの複数で主要クエリを定点観測する体制を先に用意しておくことをおすすめします。

出典:AI halftime report: H1 2026(Search Engine Land、Kevin Indig氏、2026年7月29日)https://searchengineland.com/ai-halftime-report-h1-2026-483912

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監修

scale-basics編集部

SEO・AI検索最適化(AIO/LLMO/GEO)・Web制作の最前線で活動する専門チーム。テクニカルSEOからコンテンツ戦略、データ分析まで幅広い実務経験をもとに、最新のナレッジと実践的なノウハウを発信しています。

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