何が起きたか:Google Adsが「Lead Journey Mapping」の詳細を公開
Search Engine Roundtableは、Google Adsが「Lead Journey Mapping」と呼ぶ新機能について詳細を掲載した、と報じています。今回の一次情報はGoogle Adsのヘルプ記事(help document)で、これはPPC News FeedのHana Kobzová氏によって見つけられたものだと説明されています。つまり、X(旧Twitter)上で目撃されたUIテストの類ではなく、Google自身がヘルプに文章として書いた内容が起点になっている点が今回の特徴です。
ヘルプ記事の定義部分は、次のように引用されています。「Lead Journey Mappingは、Google Ads内の直感的でビジュアルなドラッグ&ドロップ式のツールで、リード獲得型の広告主が自社固有のエンドツーエンドの顧客ジャーニーをマッピングできるようにするものです。接点を可視化し、キャンペーンの入札をファネル下部のビジネス目標に整合させるのに役立ちます(“Lead Journey Mapping is an intuitive, visual drag-and-drop tool within Google Ads that allows lead generation advertisers to map their unique end-to-end customer journey. It helps you visualize touchpoints and align campaign bidding with deep-funnel business goals.”)」。
あわせて記事の筆者は、このツールのスクリーンショットを別のページで見つけたと述べたうえで、そのページ自体は少なくとも6月9日から公開されていた(“that page has been live since at least June 9th”)と注記しています。
詳細:画面の文言と、組み立てられるジャーニーの段階
記事が示したスクリーンショットには、「より明確なインサイトと、より良い入札のガイダンスを得て、ビジネスのパフォーマンスを高めるために、顧客ジャーニーを確認し、完成させてください(“Review and complete your customer journey for clearer insights and better bidding guidance to drive more performance for your business.”)」という案内文が表示されているとされています。
そのうえで、このツールでは顧客ジャーニーのさまざまな段階(stages)を作成できると説明されています。記事が具体例として挙げているのは、自社サイトの閲覧(ページビュー)から、問い合わせフォームの送信または電話をかけること、さらに見込み度合いを確認する電話(qualification call)、そして案件(job)の完了までという流れです。Webサイト上で完結する行動から、営業の電話や実際の作業完了といったオフラインの結果までを、同じ図の上に並べられる点がポイントです。
Googleは使い方についても説明しています。Lead Journey Mappingは、顧客ジャーニーの主要な段階をすべて定義し可視化するために使うべきもので、最初のリード獲得から最終的な販売に至るまでの、オンラインとオフライン双方の接点を対象に含めるとされています。最適な使いどころは、リード獲得キャンペーンを設計するとき、あるいは見直すときで、Google Adsで計測しているコンバージョンが現実のビジネス目標と整合しているかを確認する場面だと位置づけられています。さらに、最良の結果を得るには、このビジュアルマップで計測の抜け(tracking gaps)を特定し、オフラインコンバージョンデータのインポートによって計測の全体像を補える箇所を計画するとよい、とされています。
Googleが挙げるメリットと「知っておくべきこと」
記事は、Googleが示したこのツールのメリットを3点にまとめて紹介しています。
| 項目 | Googleの説明 |
|---|---|
| ビジュアルなジャーニーマッピング(Visual journey mapping) | 具体的な販売段階を簡単に構築し定義できる。これによりリードが顧客になるまでの経路が明確になる |
| データに基づくインサイト(Data-driven insights) | コンバージョンの遅延、指標、オフラインイベントを取り込む。販売の成果と広告キャンペーンの間に、透明性のあるフィードバックループを構築できる |
| 実行可能なフィードバック(Actionable feedback) | 販売ファネル内のボトルネック、離脱、重要なコンバージョンポイントを特定できる |
また、Googleは「知っておくべきこと(things to know)」として3点を挙げていると記事は伝えています。1点目はパフォーマンスへの影響で、短期的にはLead Journey Mappingを作っても直接キャンペーンのパフォーマンスが変わるわけではないとされています。ただし、いまコンバージョンの衛生状態(conversion hygiene)をきれいにしておくことで、アカウントは「Journey Aware Bidding(ジャーニーを踏まえた入札)」や将来の自動入札のガイダンスから恩恵を受けられる位置に立てる、という説明です。なお、このJourney Aware Bidding が何を指し、いつ提供されるのかについて記事に踏み込んだ説明はありません。
2点目はデータのプライバシーとセキュリティで、ジャーニーマップは既存のGoogle Adsのデータを使うものであり、マッピングされた段階や顧客の接点の構造はすべて、Googleの標準的なデータプライバシーおよびセキュリティのポリシーの対象になるとされています。
3点目がオフラインコンバージョンの欠落(offline conversion gaps)です。オフラインの販売接点があるのに現状それが計測されていない場合、ジャーニーマップがその欠落を視覚的な空白として浮かび上がらせるとされています。そしてこの欠落を埋める手段として、リード向けの拡張コンバージョン(Enhanced Conversions for Leads)やオフラインコンバージョンのインポート(Offline Conversion Import)といったオフライン計測の設定が挙げられています。
現時点で分かっていないこと:段階と提供範囲の見極め
ここは事実関係を取り違えやすいところです。今回の情報は、X上で目撃されたUIのテスト報告ではなく、Google自身が公開したヘルプ記事の記述に基づくものです。その意味で、機能の存在と位置づけには公式な文章という根拠があります。
一方で記事には、この機能がすべての広告アカウントで使えるのか一部に限られるのか、対象となる国や言語、日本語UIでの提供有無、正式な提供開始日、今後の拡張予定といった情報は書かれていません。現時点では「Google Adsのヘルプに、リードジャーニーを可視化するドラッグ&ドロップ式ツールの説明が掲載された」という事実までを確定的なものとして扱い、自社アカウントで使えるかどうかは管理画面で確認する、という切り分けが安全です。
実務への影響:リード獲得型の広告運用のどこに効くか
※ここから先には、記事の内容を土台にしたScale Basics編集部の解釈・補足が含まれます。
記事の記述から素直に読み取れるのは、このツールが「新しい配信面」でも「新しい入札戦略」でもなく、計測設計を見直すための可視化ツールだという点です。Google自身が、短期的にはパフォーマンスを直接変えるものではないと明言しています。効いてくるのは、そこで見つかった計測の抜けを実際に埋めたときです。
編集部の補足になりますが、リード獲得型の運用では最適化対象のコンバージョンが「フォーム送信」や「電話発信」で止まっている一方、事業側のKPIは商談化件数や受注金額であることがほとんどです。この二つがつながっていなければ、自動入札はフォーム送信を増やす方向にしか働きません。記事が挙げるジャーニーの例が、ページビュー、フォーム送信または電話、見込み度合いの確認電話、案件完了という順序で並ぶのは、このつながりを一枚の図で意識させるためだと読めます。
また、記事が名指ししたリード向けの拡張コンバージョンとオフラインコンバージョンのインポートは、いずれも広告側だけで完結せず、フォームやCRM(顧客管理システム)側の協力が要る施策です。誰がどのデータを持ち、どの粒度で戻せるのかを先に整理しておかないと、ツール上で欠落が見えても手が打てません。
今日からできる確認手順
※以下はScale Basics編集部による一般的な実務上の補足です。記事にチェックリスト形式の推奨事項は書かれていません。
- Google Adsの管理画面で、自社アカウントにLead Journey Mappingに相当するメニューが出ているかを確認する。無ければ現時点では対象外の可能性を前提に、以下の準備だけ進める。
- いま計測しているコンバージョンアクションを一覧にし、それぞれが顧客ジャーニーのどの段階に当たるかを書き出す。
- 事業側のKPI(商談化、受注、受注金額など)を並べ、上の一覧とどこで断絶しているかを線でつなぐ。つながらない箇所が、記事の言う計測の抜けに相当する。
- 断絶している段階のデータをどのシステムが持っているかを、CRM、SFA、電話計測ツール、基幹システムなど保有者と担当部署をセットで特定する。
- リード向けの拡張コンバージョンやオフラインコンバージョンのインポートに必要な、リード情報とクリック情報の紐づけ(GCLIDの保存など)がフォームやCRM側で行われているかを確認する。ここが未整備だと後からデータを戻せない。
- コンバージョン発生までの日数(記事の言う「コンバージョンの遅延」)を段階ごとに把握する。受注までが長い商材ほど入札の学習に効くまでの時間も変わるため、社内で共有しておく。
所感
ここからは記事本文にはない、Scale Basics編集部の見解です。今回のヘルプ公開で興味深いのは、Googleが「短期的にはパフォーマンスは変わらない」と先に明言している点です。広告プラットフォームの新機能案内としてはやや珍しい書き方で、獲得効率を直接改善する機能ではなく、後続の入札機能に備える土台づくりだと位置づけていることが読み取れます。裏を返せば、リード獲得型広告主のデータ品質を、これから先の自動入札の前提条件として重視しているということでもあります。
日本市場に引き付けると、この種の準備が進みにくい理由は技術ではなく体制にあると感じます。広告運用は代理店、フォームはWeb制作会社、顧客データは営業部門のCRM、受注実績は基幹システムというように、ひとつのリードの一生が複数の組織にまたがって分断されているのは珍しくありません。今回のツールの本当の価値は、その分断を可視化して社内の会話のきっかけにする点にあると考えています。
推奨したいのは、機能が使えるようになるのを待たず、いまの計測設計を段階ごとに棚卸ししておくことです。特に、リードとクリックを紐づける識別子が保存されているか、商談化や受注のステータスがいつ・どの粒度で分かるかは、後から遡って整えるのが難しい部分です。Journey Aware Bidding のような将来の機能が実際に提供されるかは分かりませんが、コンバージョンデータが事業成果と地続きになっている状態は、どの媒体でも同じように効き続けます。
まとめ
・Google Adsが「Lead Journey Mapping」と呼ぶ新機能の詳細を公開したと、Search Engine Roundtable(2026年7月29日付)が報じた。情報源は新しいヘルプ記事で、PPC News FeedのHana Kobzová氏が見つけたものとされている
・ヘルプによれば、Google Ads内のドラッグ&ドロップ式ビジュアルツールで、リード獲得型の広告主がエンドツーエンドの顧客ジャーニーをマッピングし、接点の可視化とファネル下部のビジネス目標への入札整合を助けるもの
・ページビューからフォーム送信または電話、見込み度合いの確認電話、案件の完了までといった段階を作成でき、最初のリード獲得から最終的な販売までのオンライン・オフライン双方の接点を対象にすると説明されている
・Googleは短期的にはパフォーマンスを直接変えないとしたうえで、いまコンバージョンの衛生状態を整えることで Journey Aware Bidding や将来の自動入札のガイダンスの恩恵を受けられる位置に立てるとしている
・オフラインの計測欠落はジャーニーマップ上で視覚的な空白として現れ、リード向けの拡張コンバージョンやオフラインコンバージョンのインポートで埋められるとされる。一方、提供範囲や対象国、提供開始日は記事に書かれていない
よくある質問
Q1: Lead Journey Mappingはテスト段階の機能なのですか?
記事の記述に沿って正確に言うと、今回の情報はX上で目撃されたUIテストの報告ではなく、Google Adsの新しいヘルプ記事に書かれた内容が起点です。ヘルプ記事はPPC News FeedのHana Kobzová氏が見つけたものとされ、機能の定義、使い方、メリット、注意点までがGoogle自身の文章として記載されています。ただし記事には、すべての広告アカウントで使えるのか一部に限られるのか、対象国や言語、正式な提供開始日についての記載はありません。なお、ツールのスクリーンショットが載っていたページは少なくとも6月9日から公開されていた、と筆者は注記しています。
Q2: このツールを設定すると広告の成果は上がるのですか?
Googleは「知っておくべきこと」の1点目で、短期的にはLead Journey Mappingが直接キャンペーンのパフォーマンスを変えるわけではない、と説明しています。そのうえで、いまコンバージョンの衛生状態を整えておくことで、アカウントは Journey Aware Bidding や将来の自動入札のガイダンスから恩恵を受けられる位置に立てるとしています。つまり、この機能そのものが獲得効率を改善する仕組みではなく、計測の抜けを見つけて埋めるための可視化ツールという位置づけです。なお、Journey Aware Bidding が具体的に何を指し、いつ提供されるのかについて記事に踏み込んだ説明はありません。
Q3: リード獲得型の広告運用者は今から何を準備しておけばよいですか?
記事に手順の形での推奨事項は書かれていないため、以下はScale Basics編集部による一般的な実務上の補足です。まず、Google Adsで現在計測しているコンバージョンアクションを一覧化し、それぞれが顧客ジャーニーのどの段階に当たるかを書き出します。次に、商談化や受注といった事業側のKPIを並べ、どこで計測が途切れているかを特定し、その段階のデータをどのシステムが保有しているかを担当部署とあわせて整理します。オフラインのデータを広告側へ戻すには、リード情報とクリック情報の紐づけがフォームやCRM側で保存されている必要があるため、この点は早めに確認しておくと後の作業が楽になります。記事も、オフライン計測の手段としてリード向けの拡張コンバージョンとオフラインコンバージョンのインポートを挙げています。
出典:Google Ads Lead Journey Mapping Feature(Search Engine Roundtable、2026年7月29日)https://www.seroundtable.com/google-ads-lead-journey-mapping-41782.html