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検索マーケ職の自動化に道徳的な抵抗は薄い――Harvard調査で2.31【2026年9月】

検索マーケ職の自動化に道徳的な抵抗は薄い――Harvard調査で2.31【2026年9月】

検索マーケティングの仕事を機械に引き渡すことに、世間はほとんど道徳的な異議を持たない。Search Engine Journalは2026年9月7日、Greg Jarboe氏の記事でHarvardの数字をそう読み解きました。下敷きになっているのは、HBS Working Knowledgeが2026年2月にまとめたAI in 2026: From Adoption to Agenticという報告書で、日本語にすると「2026年のAI、導入からエージェント型へ」という内容です。中でもアシスタント・プロフェッサーのJames Riley氏の調査では、940の職業を機械に任せることの道徳的な受け入れがたさを1から7の尺度で採点させたところ、検索マーケティング戦略担当は2.31でした。同記事は、いまこの仕事を守っているのは世間の良心ではなく能力差だと整理しています。

何が起きたか

記事の原題はHarvard Found The Public Has Little Objection To AI Taking Search Marketers' Jobsで、日本語にすると「Harvardは、AIが検索マーケターの仕事を奪うことに世間がほとんど異議を持たないことを見いだした」という内容です。Harvardのアシスタント・プロフェッサーであるJames Riley氏が、940の職業について機械に引き渡すことの道徳的な受け入れがたさを1から7の尺度で米国の一般市民に採点させたところ、検索マーケティング戦略担当は2.31でした。

Jarboe氏は、Harvardが図表に示した10の職業のうちこれより低かったのはfile clerks、つまりファイル整理の事務職だけだと書いています。聖職者は5.91、保育の担い手は5.86でした。同氏は、いま自分たちの仕事と完全自動化との間に立っているものが何であれ、それは世間の良心ではないと述べています。

Harvard報告とRiley氏の調査が測ったもの

下敷きになった報告書は、過去に公開された5本の記事を束ねた総括記事です。そのうち実験を伴う2本にこそ本当のニュースがあるとJarboe氏は言います。1本はJames Riley氏の2025年10月の研究を引いた記事、もう1本はアシスタント・プロフェッサーのElisabeth Paulson氏がKirk Bansak氏と共同で行った2024年の研究を参照した記事で、原題はWho Should Approve Bank Loans: People or Algorithms?、日本語にすると「銀行の融資を承認すべきなのは誰か、人かアルゴリズムか」という内容です。

調査の規模と、支持が倍増する条件

Riley氏の職業採点調査は940の職業と2,357人の回答者を対象にしており、検索マーケティングの2.31というスコアは同氏が見つけたことの半分にすぎないとJarboe氏は書いています。AIの現在の能力を前提にすると、一般市民が完全な自動化を支持したのは、テストされた職業のおよそ30%でした。ところが同じ調査で、より低いコストで人間を上回るより高度なAIを想像するよう求めると、自動化への支持は58%へとほぼ倍増しました。

「道徳の床」はおよそ12%しかない

AIがどれだけうまくその仕事をこなせるかにかかわらず強い道徳的な抵抗を集めたのは、職業全体のおよそ12%だけでした。そこに含まれるのが聖職者、保育の担い手、そしてアスリートです。さらに42%は、人々を曖昧な態度のままにしました。Riley氏自身の結論は、自動化への抵抗は原理原則の話ではなく、技術がまだその仕事をこなせるかどうかの話がほとんどだというものです。検索マーケティングはすでにその道徳の床の底の近くにあり、Jarboe氏はこれをずっと心もとない防衛線だと書いています。

Paulson氏らの実験が示した「信念のギャップ」

Paulson氏の研究はRiley氏のものとは別の実験で、Riley氏のような「より高度なアルゴリズム」の条件を持たないため、実際に何が分かったのかを正確に扱う必要があるとJarboe氏は注意を促しています。Paulson氏と共著者のKirk Bansak氏(UC Berkeleyのアシスタント・プロフェッサー)は9,000人の参加者にコンジョイント実験を行い、融資を承認する、あるいは被告人の公判前の釈放を判断するにあたって、人間とアルゴリズムのどちらを選ぶかを問いました。平均すると、そして成績を統制したうえでも人々は人間に傾き、その差は融資で4.3ポイント、公判前の釈放で7.6ポイントでした(出典は融資側を percentage points と表記しています)。人種グループ間で等しく扱われることを意味する公平性は、どちらの意思決定者を判断するうえでも最も重要度の低い要素でした。

より興味深い数字は報告書の13ページの図表に埋もれているとJarboe氏は書きます。アルゴリズムが人間を上回るとすでに信じていた回答者では、公判前の釈放で56%、融資で54%がアルゴリズムを選びました。人間のほうが優れていると信じていた回答者では、それぞれ63%と59%が人間を選んでいます。Paulson氏は、他の指標を落とさずに実際の精度向上を証明できるならthat's probably sufficient、日本語にすると「それはおそらく十分だ」と述べています。人間への好みは固定した道徳的立場ではなく「いま誰がその仕事で優れているか」という信念の下流にある、というのがJarboe氏の整理です。

縮まる能力差と、記事が挙げた3つの備え

Procter & Gambleでの製品開発者の追跡

Raffaella Sadun氏、Karim Lakhani氏とその共著者は、Procter & Gambleの791人の製品開発者を追跡しました。単独で働く人、チームで働く人、社内のGPT-4ツールを使う人、使わない人が含まれます。品質で上位10%に入るアイデアは、AIの支援を受けたチームから生まれる可能性が、支援なしで単独で働く個人より3倍高かったと報告されています。AIを使った従業員は仕事への熱意とエネルギーが高く、不安や苛立ちは少なかったとも記されています。Jarboe氏は、これはまさに検索マーケターが報酬を得ているアイデア創出とコンテンツの仕事だと述べています。

エージェント型AIが向かう先

Tsedal Neeley氏とExpedia GroupのRitcha Ranjan氏によるテクニカルノートでは、エージェント型AIが参謀長、競合インテリジェンスのアナリスト、エグゼクティブコーチとして振る舞い、いったん設定が済めば人間の監督を最小限にして走ります。Neeley氏の助言は、より高い賭け金がかかるものを引き渡す前に、同氏がno-joyと呼ぶ仕事、つまり誰もやりたがらない反復的なタスクから始めることです。Jarboe氏はこれを妥当な入口としつつ、退屈な作業で技術が自らを証明したあとに自動化が上へ這い上がっていく典型でもあると書いています。

記事が挙げた3つの備え

・外部に出るものでAIが触れたものには、実在して検証できる人間の名前を付ける。汎用的なEditorial Teamのような署名ではなく、LinkedInのプロフィールや資格、読者やクローラーが他の仕事と突き合わせられる実績を持つ人物を立てる、という趣旨です。

・工程だけでなく実績を公開する。測定可能な成果が出ているなら、その裏づけを記事そのものに載せます。

・完全な自動化はno-joyのタスクに留める。記事は内部リンクの監査、メタディスクリプションの下書き、ログファイルの分類を例に挙げ、読者の信頼や顧客の資金に触れるものには記名の人間を残すよう求めています。

現場への意味(編集部の見解)

ここからは編集部の整理です。ここまでの事実とは切り離してお読みください。

この調査が測ったのは検索エンジンの評価ではなく人々の意識です。「2.31だから明日から順位が下がる」という話ではなく、業界が漠然と当てにしてきた世間の後押しが思ったほど強くないことが数字で見えた、という話だと編集部は受け止めています。

実務に効くのは、Paulson氏の実験に現れた信念のギャップの構造です。人間かアルゴリズムかの選択が能力についての信念で動くのなら、示すべきものは姿勢や工程の説明よりも、検証できる成果と検証できる書き手になります。

Neeley氏の「退屈な仕事から始める」という助言は、そのまま日々の運用に落とせます。失敗しても取り返せて判定が機械的にできる作業から自動化し、判断や責任がぶら下がる工程は後回しにする。ただし同じ順番は自動化が上へ広がる順番でもあるため、境界線は定期的に引き直す前提で運用したいところです。

なお2つの調査はいずれも米国の一般市民を対象にしたもので、日本の読者や発注者にそのまま当てはまるかどうかは、この出典では明示されていません。

まとめ

・Search Engine Journalは2026年9月7日、検索マーケティング戦略担当を機械に引き渡すことへの道徳的な抵抗が2.31にとどまるというHarvardの数字を伝えました。

・Riley氏の調査は940の職業と2,357人が対象で、図表の10の職業のうちこれより低いのはファイル整理の事務職だけ、聖職者は5.91、保育の担い手は5.86でした。

・完全な自動化への支持は現在の能力ではおよそ30%、より低コストで人間を上回るAIを想定すると58%でした。強い抵抗が残るのはおよそ12%で、42%は曖昧な態度でした。

・Paulson氏らの9,000人の実験では平均で人間が融資で4.3ポイント、公判前の釈放で7.6ポイント多く選ばれ、アルゴリズムが優れていると信じる層では56%と54%がアルゴリズムを選びました。

・Procter & Gambleの791人の調査では、品質で上位10%に入るアイデアがAI支援チームから出る可能性は3倍でした。記事の提言は記名の人間を立てる、実績を公開する、自動化をno-joyに留めるの3点です。

よくある質問

Q1: Harvardの調査で検索マーケティングのスコアはどれくらい低いのですか?

James Riley氏の調査では、検索マーケティング戦略担当を機械に引き渡すことの道徳的な受け入れがたさは1から7の尺度で2.31でした。図表に示された10の職業のうち、これより低いのはファイル整理の事務職だけでした。

Q2: 世間が自動化に反対し続ける職業はどれくらいあるのですか?

AIの出来にかかわらず強い道徳的な抵抗を集めたのは職業全体のおよそ12%で、聖職者や保育の担い手、アスリートが含まれます。別の42%は曖昧な態度で、完全な自動化への支持は現在の能力ではおよそ30%、より高度なAIを想定すると58%でした。

Q3: SEOの現場は何から手を付ければよいのですか?

記事は、外部に出るものには検証できる記名の人間を置くこと、工程ではなく測定可能な実績を記事に載せること、完全な自動化はTsedal Neeley氏が言うno-joyの反復作業に留めることの3点を挙げています。内部リンクの監査やログファイルの分類が後者の例です。

出典:Harvard Found The Public Has Little Objection To AI Taking Search Marketers’ Jobs(Search Engine Journal、Greg Jarboe氏、2026年9月7日)https://www.searchenginejournal.com/harvard-found-the-public-has-little-objection-to-ai-taking-search-marketers-jobs/587715/

SEO基礎おじ
執筆・監修

SEO基礎おじ

フリーランスのWeb制作者/SEO実務者(実務歴3年以上)。HTML・CSS・JavaScript・WordPressを自分で実装する立場から、テクニカルSEO・構造化データ・GA4/Search Consoleの計測設計までを一人で担当しています。当サイトを実験台にして、施策の効果は自分で取った実測データで検証してから記事にしています。「SEO基礎おじ」は筆名です。

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