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ChatGPTの自社検索インデックス、契約のないサイトも同じ扱いだった――Resoneoが1,249回答を解析【2026年8月】

ChatGPTの自社検索インデックス、契約のないサイトも同じ扱いだった――Resoneoが1,249回答を解析【2026年8月】

ChatGPTがWeb検索を使って回答するとき、その裏側にはOpenAI自社の検索インデックスがあります。このインデックスは大手パブリッシャーとの契約に閉じた「特権枠」なのではないか――6月に広まったその見方を、フランスのSEOコンサルティング会社Resoneoが7月に採取した1,249件の回答データが否定しました。契約のない数百の媒体が、契約済みパートナーとまったく同じフォーマット・同じ長さ・同じ鮮度で配信されていた、という測定結果です。Search Engine Journal(Matt G. Southern氏、2026年8月11日付)がこの調査を報じ、6月に「ライセンス階層」説を提示した本人が7月に自ら訂正していた経緯もあわせて紹介しています。AI検索での可視性を「契約の有無」で説明する見立てを、一度捨て直す材料になります。

何が起きたか:契約の有無でインデックスの扱いは変わっていなかった

Search Engine Journalの記事によると、Resoneoは「OpenAIとコンテンツ契約を結んでいない数百の媒体(hundreds of outlets with no agreement)が、契約済みパートナーとまったく同じフォーマット、同じ長さ、同じ鮮度で扱われている(“get exactly the same format, the same length, the same freshness as the partners”)」と報告しています。ここで言うインデックスは、ChatGPTのサーバー応答に含まれていた result_source というフィールドで labrador と名付けられていたものを指します。

Resoneoはlabradorを「報道フィード、オープンな科学リポジトリ、パートナープラットフォームで補充された自社インデックス」と説明しています。同社の言い方を借りれば、labradorを定義しているのは契約ではなく「OpenAIが第三者に支払わず、スクレイピングを待たずに照会できること」でした。契約の無い小規模サイトも同じインデックスに同じ形で入っていた、というのが今回の中核的な事実です。

調査の中身:誰が・いつ・どれだけのサンプルで測ったか

調査主体はフランスのSEOコンサルティング会社Resoneoです。Search Engine Journalは、Resoneoが「SEOコンサルティングを販売しており、データを取得したChrome拡張機能を無償配布している」ことを明記しています。利害関係のある当事者による調査である点は、読む側が織り込んでおくべき前提です。

サンプルは、2026年7月に実環境で採取されたChatGPTの回答1,249件。内訳はインスタント(instant)モードが682件、思考(thinking)モードが567件で、無料アカウントが500件弱、有料アカウントが750件強とされています。ここから88,000件の検索結果、26,900件の固有ページ、6,400件の固有ドメインが集計されました。APIや監視ツールではなく、無料・有料・複数国・ログアウトを含む実アカウント群に同一のプロンプトを一字一句そのまま流し込む設計です。測定にはResoneo自身の4手段(タグ付きテストページ群、サーバー応答を記録するChrome拡張、VPN経由のアカウント群、設定値の日次アーカイブ)に加え、OncrawlのJérôme Salomon氏によるサーバーログ分析(3か月・325,000 URL)も使われています。

実測値:無料のinstantと有料のthinkingで、使われるエンジンが入れ替わる

result_source の値は labrador / bright / oxylabs / serp の4つで、このうち bright と oxylabs はGoogleをスクレイピングして返すパイプラインだとResoneoは結論づけています。エンジン別のシェアは次のとおりです。

条件 labrador(自社インデックス) bright(Googleスクレイプ) serp 母数
無料アカウント・instantモード 63.6% 34.7% 1.6% 1,793件の結果/158回答
有料アカウント・thinkingモード 23.6% 74.6% 1.9% 16,407件の結果/176回答

この数値は「検索結果(search)タイプの結果のみ」を対象に、分類器を使わず result_source の値から直接読み取ったものだとResoneoは注記しています。同社はさらに、この平均値が質問の内訳に強く依存すると明言しています。上記を生んだバッチは半分がニュース系の質問で、ニュースはGoogleへ流れる唯一の系統だったため、安定した事実を問うバッチだけで見れば無料アカウントでのlabradorのシェアは100%まで上がる、という但し書きです。

無料・instantモードの質問カテゴリ別の内訳(空スニペットを除外、5,245スニペット・424回答)は、安定した情報が labrador 99.9%(2,136スニペット)、店舗や場所が 100%(310スニペット)、商品が 97.6%(1,392スニペット)、ニュースが labrador 52.6%/Google 46.1%(1,407スニペット)でした。同じ質問を思考モードで投げると比率は反転し、Resoneoの表では安定情報99%・店舗95%・商品99%・速報96%がGoogle側に寄ります。

「ライセンス階層」説はどう覆されたか――6月の初報と7月の訂正

今回の調査が注目された背景には、6月に広まった別の読み解きがあります。Suganthan Mohanadasan氏は2026年6月、ChatGPTのネットワーク通信を解析した記事で、labradorを「確立されたパブリッシャーのアローリスト(An allowlist of established publishers)」と表現し、Reuters、The Guardian、WSJ、FT、Wikipediaといったドメインを挙げて「ライセンス階層のように見える(looks like a licensed tier)」と書いていました。

ところが同氏は7月14日公開の続編(7月22日更新)で、この読み解きを自ら撤回しています。きっかけは、イタリアで無料アカウントを使う読者Simone De Palma氏から届いたキャプチャで、そこではパブリッシャーの引用がすべて同じパイプラインを通っており、小規模なイタリアのサイトも含まれていました。同氏は再テストのうえ「行き過ぎだった(I over-reached)」と認め、「ライセンス契約は実在するが、階層という読みは誤り。無料アカウントでの既定のパイプであり、コホート単位のルーティング判断だ」と修正しています。「このフィールドは品質を格付けしていない。そのユーザーの、そのコホートの、その週に、OpenAIがあなたのページをどのフェッチャー経由でルーティングしたかを示しているだけだ」というのが同氏の結論です。

ただし両調査の規模は同じではありません。Mohanadasan氏の集計は基本的に1アカウントからのもので、本人も「方向性を示すもの(directional)」と位置づけています。ResoneoはMohanadasan氏の仕事を土台として明示的にクレジットしたうえで、labradorをライセンス済みコンテンツのカタログと読む点についてのみ「我々の測定は支持しない」と否定しました。

なお、Resoneoによれば2026年7月21日ごろ、OpenAIは各検索結果に取得元システム名を付けるのをやめました。両調査が読んでいたのはまさにこのタグです。1,249回答のうちこのフィールドを持つのは760件で、前掲のエンジン別シェアは打ち切り前の373回答から算出されています。

モデルが見ているのは「タイトル+約200文字」だけ

もう一つの実務的な発見が、インデックスがページについて保存している中身です。Resoneoは、ChatGPTが実際に引用した534ページを取得し、保存されていたスニペットと突き合わせました。H1見出しを持つ463ページのうち387件のスニペットにH1が含まれ、その割合は83.6%。さらにその387件のうち297件(77%)はH1がスニペットの先頭文字そのものでした。スニペットは202文字ちょうどで打ち切られ、メタディスクリプションではなくレンダリング後のページ本文の冒頭から取られます。メタディスクリプションはlabradorでは無視され、Googleスクレイプ側(bright)が3回に1回拾う、という区分です。

Resoneoが示した内訳は、H1の前に平均7文字、H1本体が中央値51文字、残る本文が146文字。つまり実質的に自分の言葉で説得できるのは146文字程度です。H1より前に入り込んで文字数を消費する要素は次のとおりです。

H1の前に来る要素 出現頻度 消費される文字数
キッカー・セクション名・カテゴリ 29% 18文字
公開日・更新日 11% 25文字
タイトル直下の1枚目の画像のalt属性 9% 50文字
サイト名・ブランド名 7% 44文字
パンくずリスト 7% 23文字
著者署名 3% 45文字

そしてサンプル中、7ページに1ページはH1マークアップ自体が存在しませんでした。その場合スニペットはテンプレートが用意した小見出しから始まることになり、Resoneoは「もはや何も制御できない」と表現しています。なお文字数はいずれも原文の “characters” の計測に基づくもので、日本語ページにそのまま当てはまる保証はありません。

この調査から言えないこと

ここが最も重要です。今回のデータは「小規模サイトでもChatGPTで上位に出る」とは言っていません。測っているのは、インデックスに入っているページがどう保存され、どう配信されたかであって、引用されやすさではありません。

第一に、Search Engine Journalが明記しているとおり、Resoneoはスニペットの中身を変えれば引用されやすくなるかを検証していません。契約が引用率を上げるかについても、Resoneo・Mohanadasan氏のいずれも調べていない、と同誌は書いています。ResoneoはパートナーのコンテンツがクロールではなくフィードでOpenAIに届く点に触れ、契約はコンテンツが「どう入るか」を変えうるという留保も残しています。OpenAIのクローラー説明ページには、自社インデックスの詳細もパブリッシャー契約の内容も記載がありません。

第二に、ルーティングは決定論的ではありません。Resoneoは「同じ質問を2日後に同じアカウントで投げると、エンジンがまるごと切り替わることがある。再生したプロンプトの3分の1は完全に反転する。単一のキャプチャでは、いかなる結論も成立しない」と記しています。

第三に、時期の問題です。今回の数値はいずれも2026年7月21日にフィールドが消える直前までの窓で取られたもので、Resoneoは「たった今閉じた窓の上で作業している」と書いています。Mohanadasan氏も「固有名詞と数字が入るものはすべて賞味期限が日単位だ」と警告し、ベンダー名やシェアの比率は「天気のように扱え」と述べています。本記事の数値も、2026年7月時点のスナップショットとして読むのが正確です。

所感:実務として何を確認すべきか

運営者としては、この調査の価値は「契約の有無でAI検索の可視性が決まる」という説明を一度手放すべき根拠が示された点にあると考えています。少なくとも配信フォーマットのレベルでは差が観測されませんでした。契約が無いことを理由に打ち手を諦める必要はない一方、契約さえあれば引用されるという話でもない、ということになります。

今日から確認できることは3つです。1つ目は、主要ページにH1マークアップが存在するかの棚卸し。7ページに1ページはH1が無かったという測定を踏まえると、最初に潰す価値があります。2つ目は、H1の直前に何が印字されているかの点検。カテゴリ表示、更新日、タイトル直下の画像のalt属性はテンプレートが自動で吐いていることが多く、合計で数十文字を消費します。3つ目は、H1直後の1段落を「そのページが何であるかが単独で伝わる約150文字」として書き直すこと。ただし、これらが引用率を上げるかは未検証であり、モデルに渡る情報を整える施策として位置づけるべきです。

加えて、自社の可視性を1つのアカウントだけで監査しないことを推奨します。Mohanadasan氏の訂正が生まれたのは、無料・有料・国の違いで見え方が根本的に異なったからでした。同氏は「単一アカウントの監査はコホートの監査であって、プロダクトの監査ではない」と述べています。

まとめ

・OpenAIの自社検索インデックス(labrador)は、コンテンツ契約の無い数百の媒体を、契約済みパートナーと同じフォーマット・長さ・鮮度で配信していたと、仏Resoneoが2026年7月採取の1,249回答の解析から報告した

・エンジン別シェアは無料のinstantモードでlabrador 63.6%/bright 34.7%/serp 1.6%(1,793件)、有料のthinkingモードでbright 74.6%/labrador 23.6%/serp 1.9%(16,407件)と、モードで主役が入れ替わる

・6月に「ライセンス階層」と読んだSuganthan Mohanadasan氏は7月14日の続編で「行き過ぎだった」と訂正し、labradorは無料アカウントの既定パイプでコホート単位のルーティングだと修正した

・インデックスが保存するのはタイトルと202文字で打ち切られるスニペットのみ。H1を持つ463ページ中387件(83.6%)でスニペットにH1が含まれ、本文の枠は146文字程度、7ページに1ページはH1が存在しなかった

・ただし本調査は「引用されやすさ」を検証しておらず、ルーティングは非決定論的で、数値は7月21日にフィールドが消える直前までのスナップショットである点に注意が必要

よくある質問

Q1: この調査は「小規模サイトでもChatGPTで上位に出る」という意味ですか?

いいえ。Resoneoが測ったのは、インデックスに入っているページがどのような形式・長さ・鮮度で配信されたかであり、契約の有無でその扱いに差が無かった、という内容です。Search Engine Journalも、スニペットを変えれば引用されやすくなるかをResoneoは検証していないと明記しています。引用のされやすさや順位の主張とは切り離して読む必要があります。

Q2: OpenAIとのコンテンツ契約は意味が無いということですか?

そうは言えません。Search Engine Journalは、ライセンス契約は実在するとしたうえで、無料ユーザー向けの回答に出ることだけを目的とするなら根拠としては弱い、と書いています。契約が引用率を高めるかは両調査とも検証しておらず、Resoneoはパートナーの記事がフィードでOpenAIに届くため、契約がコンテンツの入り方を変えうるとも指摘しています。

Q3: この結果を踏まえて自社サイトで確認できることは何ですか?

インデックスが保存するのはタイトルと202文字で打ち切られるスニペットで、その大半はH1とその直後の本文から取られています。主要ページにH1が存在するか、H1の前にカテゴリ表示・更新日・画像のalt属性が挟まっていないか、H1直後の約150文字だけで内容が伝わるか、の3点が確認対象です。ただしこれらが引用率を上げるかは未検証です。

出典:ChatGPT’s Search Index Serves Small Sites Too, Data Shows(Search Engine Journal、Matt G. Southern氏、2026年8月11日)https://www.searchenginejournal.com/chatgpts-search-index-serves-small-sites-too-data-shows/585388/

参考:What ChatGPT pulls, what it shows, what it cites(Resoneo、2026年7月)https://think.resoneo.com/chatgpt-retrieval/

参考:ChatGPT Changed How It Picks Sources While You Were Reading My Last Post(Suganthan Mohanadasan氏、2026年7月14日公開/7月22日更新)https://suganthan.com/blog/how-chatgpt-picks-sources-part-2/

SEO基礎おじ
執筆・監修

SEO基礎おじ

フリーランスのWeb制作者/SEO実務者(実務歴3年以上)。HTML・CSS・JavaScript・WordPressを自分で実装する立場から、テクニカルSEO・構造化データ・GA4/Search Consoleの計測設計までを一人で担当しています。当サイトを実験台にして、施策の効果は自分で取った実測データで検証してから記事にしています。「SEO基礎おじ」は筆名です。

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