何が起きたか
Googleは、Googleビジネスプロフィールのヘルプドキュメントにある「ビジネスをGoogleに表示するためのガイドライン(guidelines for representing your business on Google)」を更新し、新しいルールを追加しました。Search Engine Roundtableの記事は、この更新でビジネス名について「同じビジネス名を複数の文字体系や言語で繰り返すこと」ができなくなったと伝えています。
追加されたのはガイドラインのうち名前(name)のセクションで、項目名は「Repeated Bilingual Names / Script Transliterations(繰り返しのバイリンガル名/文字体系の音訳)」です。この項目に該当する表記は許可されない、という位置づけになっています。
Googleがこの項目について説明している文言は、記事に次のとおり引用されています。「Repeating the same business name in multiple scripts or languages, even if it appears this way on physical storefront signage.」──日本語にすると「同じビジネス名を複数の文字体系や言語で繰り返すこと。たとえ物理的な店頭の看板にそのように表示されている場合であっても」となります。禁止の対象になっているのは、翻訳された別の名前を持つことそのものではなく、同じ名前を二重に並べて書くことである、という書き方です。
記事は、この更新に気づいたきっかけとしてLinkedInのHiroko Imai氏の投稿を挙げ、同氏のコメントを引用しています。フォーラムでの議論もLinkedIn上で行われている、と記事は結んでいます。なお、ガイドラインがいつ更新されたのか、いつから適用されるのかといった日付については、原文は触れていません。記事自体の公開日は2026年8月10日です。
ガイドラインの変更点――Googleが挙げたNGの例とOKの例
記事には、Googleが示した具体例がそのまま掲載されています。認められない(not acceptable)例として挙げられているのは次の2つです。
- Kafiex / カフィエクス
- Burger King バーガーキング
一方、認められる(acceptable)例として挙げられているのは次の2つです。
- Kafiex
- Burger King
並べて見ると、違いは同じ名前を2つの表記で繰り返しているかどうかの一点だけです。「Kafiex / カフィエクス」はスラッシュで区切られており、「Burger King バーガーキング」は空白で区切られています。区切り方が違っても両方ともNG例に入っている一方で、原文は区切り文字の違いそのものには言及していません。ガイドラインの文言が問題にしているのはあくまで「同じビジネス名を複数の文字体系や言語で繰り返すこと」であり、どの記号で区切ったかではない、という読み方になります。
注意しておきたいのは、Googleが「認められる」として挙げた2件がいずれも英字(ラテン文字)表記だという点です。ここから「英字表記に統一しなければならない」と読み取りたくなりますが、原文はどの表記を主として選ぶべきかについては述べていません。カタカナのみ、あるいは日本語のみの表記が認められるかどうかを示す例も、記事には掲載されていません。原文にある事実は「繰り返しがNG」「単独表記の例として英字の2件が挙げられている」という2点までです。
禁止される書き方・許される書き方の整理
ここからは、上記のGoogleの文言と例を日本のビジネス名に当てはめた場合の整理です。以下の分類は運営者によるもので、個別のケースについてGoogleが判断を示したものではありません。
Googleの文言に照らして「繰り返し」に当たると考えられるのは、日本語表記と英字表記で同じ名前を二度書いているケースです。たとえばカタカナの店名のあとに同じ読みのローマ字を続ける書き方、英字の店名のあとに同じ読みのカタカナを続ける書き方が該当します。Googleが挙げた「Burger King バーガーキング」はまさにこの形です。
逆に、Googleが認められる例として示したのは、同じ名前を一度だけ書いた「Kafiex」「Burger King」という単独表記です。Imai氏はLinkedInの投稿で、ビジネス名には「単一の主要な文字体系(a single, primary script)」を使うようにリスティングを見直す価値がある、と書いています。
判断が難しいのは、日本語と英字が混ざってはいるものの、同じ名前の繰り返しではないケースです。屋号の一部だけが英単語になっている名称や、日本語の店名に英語の業態表記が付いている名称などがこれにあたります。これらが今回の項目に該当するかどうかについて、原文は例を示しておらず、判断材料もありません。今回のガイドライン項目が対象としているのは文面上は「同じビジネス名の繰り返し」であり、それ以外の混在表記への言及は原文にはない、というところまでが確実に言えることです。
日本の店舗が注意すべきケース
Imai氏はLinkedInの投稿で、今回の更新について次のように書いています。「While Japanese examples were used in this update, this policy is relevant for any business operating in multilingual or multi-script regions – such as those using English alongside Arabic, Chinese, Cyrillic, or other scripts.」──今回の更新では日本語の例が使われているが、このポリシーは多言語・多文字体系の地域で営業するあらゆるビジネスに関係する、たとえば英語とアラビア文字、中国語、キリル文字などを併用しているケースだ、という指摘です。
裏を返せば、Googleが例示に日本語を選んだこと自体が、日本の店舗ビジネスにとって今回の更新が身近であることを示しています。インバウンド需要を意識して店名に英字表記を足す、あるいは外資系ブランドの日本法人が英語名にカタカナ読みを添える、といった運用は珍しくありません。今回のガイドラインは、そうした同じ名前の二重表記を名前欄に入れることを認めない、という内容です。
ここからは運営者の整理ですが、日本で該当しやすいのは、店頭の看板やロゴのデザインをそのままビジネス名欄に写している場合だと考えられます。看板は視認性とデザインの都合で日本語と英字を上下に並べることが多く、それを「正式名称」として登録している事業者は少なくありません。今回の更新はまさにその形を名指ししています。
なお、Googleビジネスプロフィールには名前以外にも複数の項目がありますが、今回追加されたのは名前(name)セクションの項目です。他の項目にどう影響するか、あるいは他の項目で言語別の表記をどう扱うかについて、原文は触れていません。
店頭の看板を根拠にできなくなった点が最大の変更
今回の更新でもっとも注目されているのは、看板の扱いです。Imai氏はこの点を次のように指摘しています。「A particularly notable point in this revision is that Google explicitly clarifies that dual-script names are not allowed even if they are printed on physical storefront signage.」──今回の改訂でとくに注目すべき点は、物理的な店頭の看板に印刷されている場合であっても二重の文字体系による名称は認められない、とGoogleが明示的に明確化したことだ、という指摘です。
続けて同氏は「In the past, business owners often relied on photos of their storefront sign to justify a bilingual name on their profile, but this guideline makes it clear that doing so is no longer acceptable.」と書いています。これまで事業者は、プロフィール上のバイリンガル名を正当化するために店頭看板の写真に頼ることが多かったが、今回のガイドラインによってそれがもう通用しないことが明確になった、という内容です。
ここは事実関係の切り分けが必要な箇所です。「過去には看板の写真が根拠として使われることが多かった」という部分はImai氏の説明であり、Google自身が過去の運用についてそう説明したとは原文に書かれていません。原文で確認できるGoogleの記述は、ガイドラインに書かれた「たとえ物理的な店頭の看板にそのように表示されている場合であっても」という一文までです。
違反した場合に何が起きるか(出典に記載がある範囲で)
この点について、原文にはGoogle自身による説明は出てきません。記事が伝えているのはガイドラインの文言と例示までで、違反したプロフィールに対してGoogleがどのような措置を取るのか、いつから適用されるのか、既存のプロフィールが自動的に修正されるのか、といった運用面の説明は原文は触れていません。
記事の中で措置に言及しているのは、Imai氏のコメントだけです。同氏は「Since business name violations are a common trigger for profile suspensions, it is worth reviewing your listings – or those of your clients – to ensure the business name uses a single, primary script.」と書いています。ビジネス名の違反はプロフィールの停止(suspension)を引き起こすよくある要因なので、自社の、あるいはクライアントのリスティングを見直して、ビジネス名が単一の主要な文字体系を使っているか確認する価値がある、という内容です。
つまり「ビジネス名の違反が停止のよくある引き金である」というのは、GBPの実務で一般に知られている傾向としてImai氏が述べているものであり、「今回のバイリンガル名の項目に違反すると必ず停止される」とGoogleが述べたわけではありません。この区別は重要です。今回の更新をきっかけに社内やクライアントへ説明する際は、停止の可能性を根拠のない断定として伝えないよう注意が必要です。
今日からできる確認手順
原文が示している範囲で、手を動かせるところを整理します。以下のうち1から3は記事とImai氏のコメントに直接対応するもの、4以降は運営者による実務上の補足です。
- 自社および管理しているすべてのGoogleビジネスプロフィールの名前欄を洗い出し、同じ名前が日本語表記と英字表記で二重に入っていないかを確認する。Googleが挙げたNG例は「Kafiex / カフィエクス」と「Burger King バーガーキング」です。
- 該当した場合は、Imai氏が推奨するとおり、単一の主要な文字体系による表記に見直す。Googleが認められる例として挙げているのは「Kafiex」「Burger King」という単独表記です。
- 店頭の看板が日本語と英字の併記になっていても、それを理由に名前欄を併記のままにしない。ガイドラインは「たとえ物理的な店頭の看板にそのように表示されている場合であっても」認められないと明記しています。
- 複数店舗を運営している場合は、店舗ごとに名前欄の書式がばらついていないかを一覧で確認しておく。どの店舗をいつ修正したかを記録に残しておくと、後から表示の変化と突き合わせられます。
- 名前欄から外した表記(たとえば英字の読み)を残したい場合、どこに置くかは自社で判断する必要があります。名前欄以外の項目における言語別表記の扱いについて、原文は触れていません。
- 変更後は、Googleマップやローカル検索での表示、および指名検索の推移を一定期間観察する。今回の更新にともなう表示や順位への影響について、原文はデータを示していません。
所感
ここからは記事本文にはない、運営者の見解です。今回の更新でもっとも実務に効くのは、「看板にそう書いてある」という根拠が使えなくなった点だと考えます。GBPの名前欄をめぐる議論では、これまで「実店舗の看板に表示されている正式名称である」という説明が、判断のよりどころとして機能してきた側面があります。Googleがガイドラインの本文に「たとえ物理的な店頭の看板にそのように表示されている場合であっても」と書き込んだことで、その説明ルートが文面上ふさがれました。ここは、単なる書式の禁止事項の追加より重い変更だと受け止めています。
もうひとつ注意したいのは、この項目が禁じているのが「翻訳名を持つこと」ではなく「同じ名前を繰り返すこと」だという点です。Googleが認められる例として挙げたのは「Kafiex」と「Burger King」という単独表記であり、繰り返しを削れば要件を満たす形になっています。「英字を消さなければならない」「日本語を消さなければならない」といった読み方は原文からは出てきません。どちらを主として残すかは、指名検索でどの表記が使われているか、看板や公式サイトでどちらが主に使われているかといった、自社の実態に基づいて決めるべき論点でしょう。
最後に、停止リスクの語り方には慎重でありたいところです。「ビジネス名の違反はプロフィール停止のよくある引き金だ」というのはImai氏の指摘であり、Googleが今回の項目について罰則を宣言したわけではありません。日本の店舗ビジネスは併記名を長く使ってきたケースが多く、修正が広範囲に及びます。だからこそ、事実として確認できる範囲(ガイドラインに追加された文言と例示)と、実務上の見立て(停止の可能性)を混ぜずに社内共有することが、無用な混乱を避ける近道だと考えます。
まとめ
・Search Engine Roundtableが2026年8月10日付で、Googleがビジネスプロフィールのヘルプドキュメント「ビジネスをGoogleに表示するためのガイドライン」を更新し、名前(name)セクションに「Repeated Bilingual Names / Script Transliterations」という新しい禁止項目を追加したと報じた。執筆はBarry Schwartz氏
・Googleの説明文は「同じビジネス名を複数の文字体系や言語で繰り返すこと。たとえ物理的な店頭の看板にそのように表示されている場合であっても」というもので、看板の表記を根拠にできないことが明記されている
・認められない例としてGoogleが挙げたのは「Kafiex / カフィエクス」「Burger King バーガーキング」の2件、認められる例として挙げたのは「Kafiex」「Burger King」の2件。区切り文字の違いについて原文は言及しておらず、問題にされているのは同じ名前の繰り返しそのもの
・更新に気づいたのはLinkedInのHiroko Imai氏で、日本語の例が使われているが英語とアラビア文字・中国語・キリル文字などを併用する地域のビジネス全般に関係すると指摘。従来は店頭看板の写真を根拠に併記名を正当化することが多かったが、それがもう通用しないと明確になったとしている
・違反時にGoogleがどう対応するか、いつから適用されるかについて原文は触れていない。ビジネス名の違反がプロフィール停止のよくある引き金だという記述はImai氏のコメントであり、今回の項目に対するGoogleの罰則宣言ではない
よくある質問
Q1: 「Burger King バーガーキング」のような日本語と英語の併記は、もう使えないのですか?
記事によれば、Googleはこの「Burger King バーガーキング」をまさに認められない例として挙げています。もう1つのNG例は「Kafiex / カフィエクス」です。逆に認められる例として挙げられているのは「Burger King」「Kafiex」という単独表記でした。ガイドラインの文言は「同じビジネス名を複数の文字体系や言語で繰り返すこと」を禁じるもので、禁止されているのは同じ名前の二重表記です。ただし、日本語表記と英字表記のどちらを残すべきかについて原文は述べておらず、認められる例として示されたのが英字の2件だという事実にとどまります。
Q2: 店頭の看板が日本語と英語の併記になっている場合はどうなりますか?
ガイドラインの文言に「たとえ物理的な店頭の看板にそのように表示されている場合であっても」と明記されており、看板がそうなっていることは理由になりません。LinkedInでこの更新を伝えたHiroko Imai氏は、これまで事業者はプロフィール上のバイリンガル名を正当化するために店頭看板の写真に頼ることが多かったが、今回のガイドラインによってそれがもう認められないことが明確になった、と指摘しています。なお、この「過去の運用」についての説明はImai氏によるもので、Google自身が過去の扱いを説明したとは原文に書かれていません。
Q3: 併記のままにしていると、プロフィールは停止されるのですか?
原文には、Googleがどのような措置を取るかについての説明はありません。違反時の対応、適用の開始時期、既存プロフィールの扱いについて、記事は触れていません。措置に言及しているのはImai氏のコメントで、ビジネス名の違反はプロフィールの停止を引き起こすよくある要因なので、自社やクライアントのリスティングを見直してビジネス名が単一の主要な文字体系を使っているか確認する価値がある、と述べています。これは一般的な傾向についての指摘であり、今回の項目に違反すると必ず停止されるとGoogleが宣言したわけではありません。
出典:Google Business Profiles Disallows Repeated Bilingual Names / Script Transliterations(Search Engine Roundtable、Barry Schwartz氏、2026年8月10日)https://www.seroundtable.com/google-business-profiles-disallows-repeated-bilingual-names-41839.html