Universal Cartが米国のGoogle検索とGeminiアプリで公開
Search Engine Roundtableによると、Googleは米国でGoogle検索とGeminiでUniversal Cartを公開しました。仕組みはUniversal Commerce Protocol(UCP)によって動いているとされています。Googleは、Universal Cartを次のように表現しています。
intelligent shopping cart and your new hub for shopping on Google.
日本語にすると「インテリジェントなショッピングカートであり、Googleでの買い物の新しい拠点」という内容です。
Search Engine Journalによると、ローンチを発表したブログ記事では、Consumer ShoppingのSenior Director of Product ManagementであるSuresh Ganapathy氏が説明しています。GoogleはUniversal Cartを5月のI/Oで最初に発表していました。Barry Schwartz氏は、Vidhya Srinivasan氏(@VidsSrinivasan)がX上で、Universal Cartが米国でGoogle検索とGeminiアプリにわたって展開されていると投稿したことも紹介しています。
ユーザー側でできること
Search Engine Journalによると、ユーザーはAI Modeを含むGoogle検索、またはGeminiアプリで買い物をしながら複数の店舗の商品を追加し、両方をまたいで1つのカートにまとめておけます。主な機能は次のとおりです。
・複数の小売店の商品を1つのカートに入れ、まとめて決済できる
・保存した商品が値下がりしたときや、在庫が戻ったときに通知を受け取れる
・カートの中でプロモコードが表示される
・Google Payで決済するか、店舗のサイトに移動するかを選べる
Search Engine Roundtableは、ショッピングの履歴やカートの中身に基づいて価格の変化を知らせることや、利用可能なプロモコードを自動で追加して決済時に節約できることも紹介しています。Search Engine Journalによると、Universal CartはGoogle Walletの上に作られているため、カードごとの特典に基づいて、ユーザーのカードのうちどれを使うかを提案することもできるとされています。
Googleが名前を挙げた、カート内での決済やカートの受け渡しに対応するマーチャントは、Nike、Sephora、Target、Ulta Beauty、Walmart、Wayfair、そして多くのShopifyのマーチャントです。Search Engine Journalは、どちらの方法でもマーチャントが販売者(seller of record)であることは変わらないとしています。
5月の発表から変わった点
Search Engine Journalによると、GoogleはI/Oの投稿で、米国のGoogle検索とGeminiアプリでは夏の終わりまでにショッピングカートが使えるようになる見込みだとしていました。同じ投稿では、YouTubeとGmailにも後からこの機能が加わるとされていましたが、今回の投稿にはYouTubeとGmailについての情報は含まれていないと指摘しています。
また、5月の投稿には、商品の過去の価格、カートの中の商品同士が一緒に機能しないことの警告、Google Walletに関連するロイヤルティプログラムの情報が含まれていました。Search Engine Journalは、今回の投稿ではこれらの機能に触れていないとしています。機能が含まれている可能性はあるものの、ローンチの投稿には説明が無いという整理です。
位置づけにも変化があります。5月にGoogleはUniversal Cartを、構築してきたエージェント型コマースの土台について「the next step that brings this all together」(これらすべてをまとめる次のステップ)と表現していました。今回の投稿では、ユーザーの代わりに行動するエージェント型の機能と、ユーザーに安心と主導権を与えるツールとを分けており、カートは後者に位置づけられているとされています。
カートがマーチャントに届く仕組みと見られる指標
Search Engine Journalによると、Googleの開発者向けドキュメントは、カートの受け渡しの選択肢をUniversal Commerce Protocol(UCP)のCart APIと結びつけています。Cart APIのガイドでは、ユーザーが商品を受け渡す際に、CreateCartの呼び出しによってマーチャントのシステム上にカートを作成することでUniversal Cartをサポートするとされています。
今回の最初のリリースは一方向で、カートの作成と受け渡しだけが対象です。ガイドによれば、Googleとマーチャントのシステムの間でカートの内容を更新・削除・同期することはサポートされていません。Google上でのネイティブの決済は別のAPIで、カートの受け渡しには必須ではないとされています。
Googleのオンボーディング要件を満たした参加マーチャントは、Merchant CenterのUCP integration hubで、どちらの選択肢を使うかを選びます。Googleのヘルプページによると、このhubは米国で段階的に展開されており、オーストラリアとカナダは来年に続く予定です。Matt G. Southern氏は、9月にGoogleがhubにカートの受け渡しの選択肢を追加した際にも報じています。
計測については、Merchant CenterのUCP Analytics Reportingのダッシュボードで、Buyボタンのクリックから購入、キャンセルまでの決済のファネルを追えるとされています。Merchant APIのリファレンスには、カートの受け渡しの回数や受け渡し時の平均カート金額といった指標も載っており、それぞれMerchant Centerのダッシュボードの指標に相当すると説明されています。このAPIのレポートはalpha版です。Search Engine Journalは、これらのページのどれにも、カートに保存された商品の指標は載っていないとしています。
Shopifyについても注意点が挙げられています。ShopifyのGoogle AI Mode & Gemini Channelのサポート情報では、対象となる米国のShopifyストアではDirect Checkoutがデフォルトで有効になっているとされています。またShopifyのヘルプページによると、ユーザーがDirect Checkoutで購入を完了した場合、Google AnalyticsとCustom Pixelsは発火しません。Search Engine Journalは、Shopifyのマーチャントでのカート内の購入をUniversal Cartがどう扱うのか、それがDirect Checkoutと同じ決済の流れなのかは確認できなかったとしています。Shopifyストアは、Shopify AdminのSales channels > Agenticから、Direct Checkoutが有効かどうかを確認できるとされています。
現場への意味(編集部の見解)
ここからは編集部の整理です。今回のUniversal Cartは米国での提供です。なお、マーチャント向けのUCP integration hubについては米国で段階的に展開中で、オーストラリアとカナダは来年に続くとされていますが、ユーザー向けのUniversal Cartを米国外で提供する予定は出典では明示されていません。それ以外の地域の予定は出典では明示されていません。米国以外を主な市場とする事業者にとっては、すぐに対応が必要な話というより、Google上の買い物の流れがどう変わりつつあるかを把握しておくための材料と考えるのがよいと考えます。
一方、米国で販売している事業者、とくにShopifyを使っている場合は、計測の確認が実務上の論点になります。出典によれば、Direct Checkoutで購入が完了した場合はGoogle AnalyticsとCustom Pixelsが発火しないとされています。Universal Cartのカート内購入が同じ扱いになるかは確認できていないものの、自社の解析ツールで見ている購入数と、Merchant CenterのUCP Analytics Reportingのダッシュボードで見える数値がずれる可能性は意識しておきたいところです。まずはShopify AdminでDirect Checkoutの設定状態を確認することが出発点になります。
また、出典の説明では、ネイティブの決済ではGoogle上で販売が完了し、カートの受け渡しでは商品が入った状態のカートを持ってユーザーが店舗のサイトに来ます。受け渡し後の購入は店舗のサイトで行われます。ここからは編集部の推測ですが、受け渡しを選んだ場合、店舗のサイトでの購入完了ページの体験や計測の設計が、これまで以上に重要になる可能性があります。どちらの方法を選ぶかは、自社サイトでどこまで計測と体験を握っておきたいかという観点で検討する余地があると考えます。
最後に、Search Engine Journalは、カートに保存された商品の指標がどのページにも載っていないと指摘しています。Universal Cartで「保存されたが買われなかった」商品の動きは、現時点ではマーチャント側から見えにくいと考えておくのが無難です。
まとめ
・Search Engine RoundtableのBarry Schwartz氏とSearch Engine JournalのMatt G. Southern氏が2026年10月15日、GoogleがUniversal Cartを米国のGoogle検索とGeminiアプリで提供し始めたと報じた
・Universal Cartは複数の店舗の商品を1つのカートにまとめ、値下がりや在庫の復活を通知し、Google Payでの決済か店舗サイトへの受け渡しを選べる
・対応マーチャントとしてNike、Sephora、Target、Ulta Beauty、Walmart、Wayfair、多くのShopifyのマーチャントが挙げられ、どちらの方法でもマーチャントが販売者のまま
・カートの受け渡しはUCPのCart APIのCreateCartで行われ、最初のリリースは一方向で、カートの更新・削除・同期はサポートされていない
・Merchant CenterのUCP integration hubは米国で段階的に展開中で、オーストラリアとカナダは来年に続く予定とされる
・ShopifyのDirect Checkoutで購入が完了した場合はGoogle AnalyticsとCustom Pixelsが発火しないとされ、YouTubeとGmailへの対応時期は今回の投稿に無い
よくある質問
Q1: Universal Cartはどこで使えますか?
出典によると、Universal Cartは米国で、AI Modeを含むGoogle検索とGeminiアプリにわたって展開されています。5月の発表ではYouTubeとGmailにも後から加わるとされていましたが、今回の投稿にはYouTubeとGmailについての情報や時期は書かれていないとされています。
Q2: マーチャントはカートをどのように受け取りますか?
Search Engine Journalによると、ユーザーが商品を受け渡すと、UCPのCart APIのCreateCartの呼び出しによってマーチャントのシステム上にカートが作成されます。最初のリリースは一方向で、カートの作成と受け渡しだけが対象とされ、Googleとマーチャントのシステムの間でのカートの更新・削除・同期はサポートされていません。
Q3: Universal Cart経由の成果はどこで確認できますか?
出典によると、Merchant CenterのUCP Analytics Reportingのダッシュボードで、Buyボタンのクリックから購入、キャンセルまでの決済のファネルを追えます。Merchant APIのリファレンスにはカートの受け渡しの回数や受け渡し時の平均カート金額といった指標もありますが、このAPIのレポートはalpha版で、カートに保存された商品の指標は載っていないとされています。
出典:Universal Cart Launches In Google Search (U.S.)(Search Engine Roundtable、Barry Schwartz氏、2026年10月15日)https://www.seroundtable.com/universal-cart-google-search-42312.html
出典:Google’s Universal Cart Is Live: How Carts Get To Your Store(Search Engine Journal、Matt G. Southern氏、2026年10月15日)https://www.searchenginejournal.com/google-universal-cart-store-handoff/593145/
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