何が起きたか:Nozzleが「Googleが順位計測ツールのデータを毒入り化している」と分析
Search Engine Journalによれば、エンタープライズ向けの順位計測企業Nozzleは新たな分析の中で、Googleが順位計測ツールやAI企業に誤解を招く検索結果ページを見せており、それは両者が集めようとしているデータを毒入り化しようとする試みのように見える、と主張しています。記事の見出しも「Analysis」と銘打たれており、Googleの発表を伝えるものではなく、Nozzleの分析とMontti氏の解釈を紹介する内容です。
Nozzleが示した時系列は次のとおりです。通常と異なるSERPは9月20日に現れ始め、最大で検索結果の25%に達し、10月1日以降は1日あたり5〜11%を占めている、としています。Nozzleは、この一連の経過こそが「毒入り」と呼ぶ理由だと説明しています。
Google is not refusing these requests; it answers them with a complete page whose results are wrong, and nothing on the page says so.
日本語にすると「Googleはこれらのリクエストを拒否しているのではない。結果が誤っている完全なページで応答し、ページ上にはそのことを示すものが何も無い」という内容です。Nozzleは続けて、拒否されたリクエストならスクレイパーは再試行するが、毒入りの応答は本物として保存されてしまう、と書いています。
Nozzleの見立てと記事筆者の意見
Nozzleは、これがAIによるスクレイピングとグラウンディング、つまりAIの回答に使うためにGoogleの検索結果を大量に収集することへのGoogleの対応であり、同じやり方でSERPを集めている順位計測ツールもそれに巻き込まれている、という見方を示しています。Search Engine Journalは、Nozzleの意見として、SERPの毒入り化はGoogleの検索結果を回答のグラウンディングに使うLLMに依存するAI企業を妨げ、順位計測ツールを混乱させるために行われている、と整理しています。
記事筆者のMontti氏は、Nozzleは触れていないと断ったうえで、自分の意見として、Googleの検索結果の答えを抽出して、ページがどう順位付けされているかをリバースエンジニアリングしようとするスパマーを混乱させる狙いもあるかもしれない、と書いています。これはMontti氏個人の見方であり、Nozzleの分析結果でもGoogleの説明でもありません。
なお、出典の記事は、見出しやNozzleの引用には断定的な表現もありますが、本文の多くは「可能性がある」「ように見える」という書き方です。Googleが意図的にそうしているかどうかは、記事の中で確認されていません。Googleのコメントについても、出典では明示されていません。なおSearch Engine Journalは、この件はCyrus Shepard氏のLinkedInの投稿で注目を集めたとして同氏に謝意を示しています。
分析が示した数値:変動、UGC、ローカル検索
分析によれば、誤解を招く検索結果は広く見られるものの、国、業種、検索の種類によって異なります。そのうえで毒入りSERPの共通点として、人為的なSERPの変動をもたらすこと、ユーザー生成コンテンツ(UGC)を多く表示すること、AI Overviewsを少なく表示すること、広告とショッピングの結果は安定しているように見えること、が挙げられています。
変動について、通常の検索結果では、同じキーワードで繰り返し検索したときに同じサイトの88.5%が残ります。毒入りの結果では、同じキーワードの連続した検索で残るサイトは20.7%だけです。Montti氏は、Googleが順位計測のレポートを薄めて、同じキーワードで一時的により多様なサイトが順位に入るように見せている可能性があり、外部の人が統計を見ると極端な順位変動に見えるだろう、と解説しています。持続期間については、追跡しているキーワード群で毒入り化が1回の検索結果で終わったのが80%、同じキーワードで2回連続したのが15%、3回以上連続したのが5%、という数字も共有されています。
表示されるサイトの傾向も示されています。毒入りの検索結果ではFacebook、Instagram、LinkedIn、Quora、Redditがより頻繁に表示され、ソーシャルメディアやフォーラムのUGCが増えているように見えます。一方でMapQuest、Yelp、YouTubeは毒入りSERPに表示される頻度が下がっていますが、その理由についての説明はありません。
MapQuestとYelpはどちらもローカル検索に関わる存在ですが、ほかの条件をそろえると、毒入り化はローカル検索でもそうでない検索でも同じ程度に起きていたとされます。分析は、ローカルのターゲティングは違いを生まないとしています。市や郵便番号単位のSERPは8.4%と10.7%で、国全体の7.8%より悪く見えるものの、それはモバイルや「near me」の検索に偏っているためだけだといいます。同じ国、同じデバイスで、同じフレーズを全国とローカルで追跡すると、21,508組のペアで7.5%と7.4%と、結果は同じになったとしています。
検索機能の出方:AI Overviewsは減り、画像パックは増える
順位計測ツールに見せられる毒入りSERPでは、AI Overviews(AIO)が表示されにくくなっています。Montti氏は、AIOを生成するのに必要なLLMの推論は通常の青いリンク10本の検索結果を表示するより費用がかかるので理にかなっている、とし、同じ理由はPeople Also Searchのようなほかの検索機能にも当てはまるのだろう、と推測しています。Nozzleのデータは次のとおりです。
・AI Overviewsは、毒入りSERPで34.9%、ベースラインで54.2%の割合で表示された
・「people also search for」は、毒入りSERPで52.7%、ベースラインで87.2%の割合で表示された
・画像パックは、毒入りSERPで44.2%、ベースラインで23.0%と、ほぼ2倍の頻度で表示された
・フォーラムのブロックは、毒入りSERPで27.0%、ベースラインで20.5%と、より多く表示された
理由についてはMontti氏も推測の域を出ないとしています。関連検索の機能が表示されにくいのは、Googleが活用できるデータを最小限にしているからなのか、生成に費用がかかるからなのか、と問いを立て、画像パックが増えるのは、SEO担当者や順位計測ツールがテキストのデータを活用できるものと見なし、画像のデータはあまり役に立たないと受け止めているからなのか、とも書いています。いずれも答えは示されていません。
Montti氏はまとめとして、人為的な順位変動は順位計測サービスだけでなく、検索結果を自分で追跡している個人や、AI Overviewsを含む検索結果の一部をリバースエンジニアリングしようとするスパマーにとっても課題になりうる、と書いています。ほかにNozzleの分析が記録した変化として、一部のデスクトップ検索で表示される検索結果のページ数が少なくなること、広告とショッピングの結果がかなり安定していることが挙げられています。分析はまた、この乱れは広範囲に及ぶものの、国、業種、検索の種類、リクエストの経路によって大きく異なるとしています。
現場への意味(編集部の見解)
ここからは編集部の整理です。まず線引きです。確認できるのは、Nozzleがこうした分析を公開し、Search Engine Journalがそれを紹介したことです。Googleが順位計測ツールを狙って結果を差し替えているという点はNozzleの分析と解釈であり、スパマー対策の可能性はMontti氏の意見です。社内やクライアントへの報告で「Googleが順位計測を妨害している」と断定形で書くのは避け、「計測企業がそう分析している」という形で伝えるのが安全です。
そのうえで、分析が正しいと仮定した場合に順位レポートで起きうることは、出典の数字から読み取れます。通常は繰り返し検索で88.5%のサイトが残るのに、毒入りの結果では20.7%しか残らないのであれば、ある日の計測だけで急な順位の上下が出ても、それが実際の変化とは限りません。分析では毒入り化の80%が1回の検索結果で終わっているので、1回の急変だけで判断せず、連続した計測で同じ傾向が続くかを見るほうが誤読を減らせます。AI Overviewsの表示率についても、毒入りSERPでは34.9%、ベースラインでは54.2%という差が示されており、計測ツール上のAIOの出現率がそのまま実際の出現率を表すとは限らない点に注意が要ります。
ここからは編集部の推測です。出典はこの点に触れていません。順位計測ツールを使っている場合は、9月20日以降に急な順位変動やUGCの増加が見られたキーワードについて、利用しているツールの提供元がこの件をどう扱っているかを確認しておくとよいと考えます。また、順位の数値だけで判断せず、流入など別経路のデータと突き合わせておけば、計測側の乱れと実際の変化を切り分けやすくなるはずです。
まとめ
・エンタープライズ向けの順位計測企業Nozzleが、Googleが順位計測ツールやAI企業に誤った検索結果を見せてデータを毒入り化しているとする分析を公開し、Search Engine JournalのRoger Montti氏が2026年10月14日に伝えた。Googleの発表ではない
・Nozzleによれば、通常と異なるSERPは9月20日に現れ始め、最大で検索結果の25%に達し、10月1日以降は1日あたり5〜11%を占めている
・通常の検索結果では繰り返し検索で88.5%のサイトが残るが、毒入りの結果では20.7%しか残らない。毒入り化の80%は1回の検索結果で終わり、15%は2回、5%は3回以上続いたという
・毒入りSERPではFacebook、Instagram、LinkedIn、Quora、Redditがより多く、MapQuest、Yelp、YouTubeがより少なく表示される。ローカルのターゲティングは違いを生まないとしている
・AI Overviewsは毒入りSERPで34.9%、ベースラインで54.2%の表示率で、画像パックは44.2%対23.0%と増える。広告とショッピングの結果はかなり安定している
・スパマー対策の狙いもあるかもしれないという点は、Nozzleではなく記事筆者のMontti氏の意見である
よくある質問
Q1: Googleが順位計測ツールに偽の検索結果を返していることは公式に認められたのですか?
認められていません。これは順位計測企業Nozzleの分析であり、Search Engine Journalの記事は、見出しやNozzleの引用には断定的な表現もありますが、本文の多くは「可能性がある」「ように見える」という書き方です。Googleのコメントについては出典では明示されていません。スパマーを混乱させる狙いもあるかもしれないという点は、記事筆者のRoger Montti氏の意見です。
Q2: 毒入りSERPはどのくらいの割合で起きているのですか?
Nozzleによれば、通常と異なるSERPは9月20日に現れ始め、最大で検索結果の25%に達し、10月1日以降は1日あたり5〜11%を占めています。毒入り化の80%は1回の検索結果で終わり、15%は2回、5%は3回以上連続したとしています。ローカル検索かどうかでは差が出ず、同じフレーズを全国とローカルで追跡した21,508組のペアで7.5%と7.4%だったといいます。
Q3: 順位レポートにはどんな影響が出るのですか?
Nozzleの分析では、通常の検索結果は繰り返し検索で88.5%のサイトが残るのに対し、毒入りの結果では20.7%しか残らず、外部から見ると極端な順位変動に見えるとMontti氏は解説しています。またAI Overviewsは毒入りSERPで34.9%、ベースラインで54.2%と表示率が下がり、画像パックやフォーラムのブロックは増え、UGCのサイトが多く表示される傾向が示されています。
出典:Analysis: Google Is Poisoning Search Results For Rank Trackers(Search Engine Journal、Roger Montti氏、2026年10月14日)https://www.searchenginejournal.com/analysis-google-is-poisoning-search-results-for-rank-trackers/592873/