何が更新されたか:全ウェブの検索結果を返すパートナー限定のAPIを文書化
Search Engine Journalの記事は、今回の動きを冒頭で次のように要約しています。
Google's developer docs for the Web Search Service API show a partner-only path to full-web search results.
日本語にすると「GoogleのWeb Search Service APIに関する開発者向けドキュメントは、全ウェブの検索結果に至るパートナー限定の経路を示している」という内容です。ここで言うAPIは、外部のプログラムから機能やデータを呼び出すための窓口を指す一般的な用語です。
記事本文の説明はこうです。
Google refreshed its public developer documentation for the Web Search Service API, a service that lets partners retrieve and display Google Search results in their websites and apps.
日本語にすると「Googleは、Web Search Service APIの公開されている開発者向けドキュメントを刷新した。これは、パートナーが自社のウェブサイトやアプリでGoogle検索の結果を取得して表示できるようにするサービスである」という内容です。
更新の範囲と前提条件について、記事は次のように書いています。Googleは主となる概要ページと、関連する4つのページを9月9日に更新した。そしてすべてのリクエストには、Google CloudのプロジェクトとAPIキーに加えて、パートナー契約に結び付いたクライアントIDが必要である、というものです。クライアントIDは、そのリクエストがどのパートナーからのものかをGoogle側が識別するための文字列を指します。背景にあるのは、2027年1月に終了するCustom Search JSON APIだと記事は位置づけています。さらに記事は、Googleが1月の時点で、全ウェブの結果を必要とする人に対して、別枠の全ウェブ向けソリューションについて問い合わせるよう伝えていたことにも触れています。
APIでできること:リクエストの必須項目、取得件数、絞り込みとレスポンス項目
記事の「What The API Provides」の節は、ドキュメントに書かれた仕様を具体的に紹介しています。Googleが文書化している主たるメソッドは1つで、リファレンスページはそれを次のように説明していると記事は伝えています。
full web search
日本語にすると「全ウェブ検索」という内容です。結果はJSON形式で返り、RESTまたはgRPCを通じて受け取れるとされています。RESTとgRPCは、いずれもプログラムからAPIを呼び出すときの通信方式の名称です。どちらを使う場合でも、返ってくるデータの形式はJSONだと記事は書いています。
リクエストに必ず含めなければならない項目は3つです。パートナーのクライアントID、ユーザーのIPアドレス、そして検索クエリです。IPアドレスを含める理由について、記事は呼び出し方のガイドを引きながら、地域ごとのルーティングに役立ち、あわせて不正利用の防止にも役立つと説明しています。つまり、どの地域向けの結果を返すべきかの判断材料と、不適切な利用を防ぐ手がかりの両方を兼ねている、という整理です。
取得できる件数は、1リクエストあたり最大20件で、既定値は10件だと記事は伝えています。それ以上の結果が必要な場合は、トークンを使って続きのページを取得する選択肢があるとされています。トークンは、続きの位置を示す引換券のような文字列を指します。
絞り込みの手段としては、言語、国、期間による絞り込み、SafeSearchの有効化、日付による並べ替えが挙げられています。SafeSearchは、成人向けなどの結果を除外するためのGoogleの設定を指す名称です。
レスポンスとして返ってくる項目についても、記事は具体的に列挙しています。タイトル、URL、スニペット、MIMEタイプ、ファイル形式、推定の総結果件数、そしてGoogleが推奨する場合には修正されたクエリが含まれる、というものです。MIMEタイプは、そのデータがどんな種類のファイルなのかを示す表記を指します。修正されたクエリは、検索窓に打ち込んだ語をGoogleが直したほうがよいと判断したときに返る値だと読めます。
誰が使えるのか:「programmatic partners」向けで、なり方や費用は書かれていない
記事の「Access Is Restricted」の節は、利用者の範囲を明確に区切っています。ドキュメントの各ページは、利用者を次のように呼んでいるとされています。
programmatic partners
日本語にすると「プログラムから利用するパートナー」という内容です。導入ページでは、リクエストがクライアントIDを通じてパートナー契約に結び付けられていることが説明されている、と記事は書いています。このIDは決まった形式に従っており、パートナー、名称、製品、機能の組み合わせといった情報を含むとされています。
この点を、記事は次のように対比しています。つまりこのサービスは、開発者がGoogle Cloudのプロジェクトで有効にすればすぐに使い始められるAPIとは性質が異なる、というものです。SEOやWeb担当者の感覚で言えば、管理画面でキーを発行して当日から叩けるAPIではなく、その前にGoogleとの契約が必要になる、という違いです。
一方で、書かれていないことも記事ははっきり指摘しています。どうすれば企業がパートナーになれるのか、サービスの費用はいくらか、クエリ数の上限がどう設定されるのかについて、ドキュメントの各ページは詳細を提供していない、というものです。仕様は読めるが、申し込みの道筋と値段は読めない状態だと言えます。
Custom Search JSON APIの終了と2027年1月1日の期限
記事の「How This Fits The Search API Transition」の節は、今回のドキュメント更新を、1月に示された移行の流れの中に置いて説明しています。
1月にGoogleは、サイト内検索のウィジェットであるProgrammable Search Elementについて、今後は50以下のドメインを対象とする検索に注力すると発表したと記事は伝えています。そのうえで、会話型の検索やグラウンディングといった企業向けのニーズについては、Vertex AI Searchを案内したとされています。グラウンディングは、AIの回答を特定の情報源に結び付けて生成させる仕組みを指す言葉です(この語義の説明は一般的なもので、記事が定義しているわけではありません)。
決められたサイト群を超えて検索したいパートナーに向けては、Googleは全ウェブ検索のソリューションがあると述べたと記事は書いています。その対象は次のように表現されていました。
those requiring our entire index
日本語にすると「当社のインデックス全体を必要とする人たち」という内容です。関心のあるパートナーはフォームに記入して申し込める一方、Googleは詳細な機能や価格をまだ共有していない、と記事は伝えています。
期限は明確です。Search Elementの利用者のうち、50を超えるドメインを対象に検索している場合、あるいはウェブ全体を対象に検索している場合は、2027年1月1日までに別のソリューションへ切り替える必要があるとされています。同じ期限がCustom Search JSON APIの利用者にも適用され、GoogleのAPI概要ページは現在、このAPIが新規顧客に対して閉じられており、その日付で提供を終了すると述べている、と記事は書いています。
そのうえで記事は、今回のWeb Search Service APIが1月に示された全ウェブ向けの用途と2点で一致すると整理しています。全ウェブ検索を実行すること、そしてパートナーに限定されていることです。ただし、2026年9月11日の時点で、1月の投稿も今回更新されたページも、互いに言及していないとされています。つまり、この2つが同じものだとGoogleが明言したわけではない、という状態です。
現場への意味(編集部の見解)
ここからは編集部の整理です。まず押さえたいのは、今回のニュースが「新しいAPIが誰でも使えるようになった」という話ではない点です。記事が書いているとおり、リクエストにはパートナー契約に結び付いたクライアントIDが必要で、パートナーになる方法も費用もクエリ上限も、ドキュメントには書かれていません。仕様が読めるようになったこと自体は前進ですが、自社ですぐ着手できる打ち手が増えたわけではありません。
次に、記事が「Why This Matters」の節で指摘している点です。Custom Search JSON APIを全ウェブ向けの用途で使っている人には、依然として完全な移行の道筋が示されていない。Googleはパートナー向けの全ウェブAPIを文書化したものの、現在の利用者が移行できるのか、企業がパートナーになるには何を満たす必要があるのかについては述べていない、というものです。ここが実務上いちばん困る部分だと言えます。
自社や取引先のツール、社内システム、サイト内検索の一部でCustom Search JSON APIを使っている場合、確認しておきたいのは2つです。1つは、対象が50以下のドメインに収まっているのか、それともウェブ全体に及んでいるのかという利用実態。もう1つは、2027年1月1日という期限までに、どの選択肢に寄せるのかという方針です。50以下のドメインで足りるならSearch Elementの範囲に収まり、企業向けの会話型検索やグラウンディングが必要ならVertex AI Searchが案内されている、というのが1月の整理でした。全ウェブが必要な場合だけ、フォームからの申し込みという入口が残されている形です。
今回のWeb Search Service APIが、全ウェブを必要とするCustom Search JSON API利用者の移行先そのものになるのかどうかは、現時点では確認できません。全ウェブ検索であることとパートナー限定であることの2点は一致していますが、Google自身が両者を結び付けて説明していない以上、同一だと決めつけて計画を立てるのは早いと編集部は考えます。ここは編集部の推測であり、記事が明言している内容ではありません。
記事が「Looking Ahead」で挙げている見どころも、そのまま観測項目になります。パートナーの資格要件、費用、クエリの上限、そしてGoogleが全ウェブ向けのCustom Search利用者の移行先としてWeb Search Service APIを名指しするかどうかです。2027年1月1日という期限は動いていないため、期限から逆算して、いつまでに移行方針を決めるのかだけは先に置いておくのが安全でしょう。
まとめ
・パートナーがGoogle検索の結果を自社サイトやアプリで取得・表示するためのWeb Search Service APIについて、Googleが公開の開発者向けドキュメントを刷新したと、Search Engine JournalのMatt G. Southern氏が2026年9月11日に報じた
・概要ページと関連する4つのページが9月9日に更新され、すべてのリクエストにはGoogle CloudのプロジェクトとAPIキーに加えて、パートナー契約に結び付いたクライアントIDが必要とされている
・主たるメソッドは全ウェブ検索を行うもので、結果はJSON形式でRESTまたはgRPCを通じて返る。リクエストにはクライアントID、ユーザーのIPアドレス、検索クエリが必須
・1リクエストあたり最大20件、既定値は10件を取得でき、トークンで続きのページを得られる。言語・国・期間での絞り込み、SafeSearch、日付による並べ替えに対応し、レスポンスにはタイトル、URL、スニペット、MIMEタイプ、ファイル形式、推定の総結果件数、修正されたクエリなどが含まれる
・利用者は「programmatic partners」と呼ばれ、パートナーになる方法、費用、クエリ上限は(出典では)明示されていない
・Custom Search JSON APIは新規顧客に閉じられ2027年1月1日に終了する。Web Search Service APIは1月に示された全ウェブ向けの用途と全ウェブ検索・パートナー限定の2点で一致するが、2026年9月11日時点で両者は互いに言及しておらず、既存利用者の移行可否も示されていない
よくある質問
Q1: Web Search Service APIは誰でも使えるのですか?
いいえ。記事によれば、すべてのリクエストにはパートナー契約に結び付いたクライアントIDが必要で、ドキュメントは利用者を「programmatic partners」と呼んでいます。開発者がGoogle Cloudのプロジェクトで有効にすればすぐ使い始められるAPIとは性質が異なると記事は説明しており、どうすればパートナーになれるのか、費用やクエリ上限がどうなるのかは(出典では)明示されていません。
Q2: 1回のリクエストで何件の検索結果を取得できるのですか?
記事によれば、1リクエストあたり最大20件で、既定値は10件です。それ以上が必要な場合はトークンを使って続きのページを取得する選択肢があるとされています。結果はJSON形式で返り、RESTまたはgRPCを通じて受け取れると説明されています。
Q3: Custom Search JSON APIを使っている場合、いつまでに何をすればよいのですか?
記事によれば、Custom Search JSON APIは新規顧客に対して閉じられており、2027年1月1日に提供を終了するとGoogleのAPI概要ページが述べています。同じ期限は、50を超えるドメインやウェブ全体を対象に検索しているProgrammable Search Elementの利用者にも適用されます。ただし、全ウェブ向けの用途で使っている利用者に完全な移行の道筋は示されておらず、現在の利用者がWeb Search Service APIへ移行できるかどうかも(出典では)明示されていません。
出典:Google Documents Partner-Only API For Full-Web Search Results(Search Engine Journal、Matt G. Southern氏、2026年9月11日)https://www.searchenginejournal.com/google-documents-partner-only-api-for-full-web-search-results/589194/