発端:被リンク800本超を否認した直後に順位が崩れた相談
Search Engine Journalによれば、Redditに投稿されたのは、同時に起きている2つの別々の順位問題についての相談でした。
1つ目はGoogleビジネスプロフィールです。相談者のGoogleビジネスプロフィールはGoogleによって停止され、解除の試みは失敗しました。新しいビジネスプロフィールを作ろうとしましたが、それも失敗に終わっています。
2つ目がリンク否認です。相談者は自分の被リンクを見直し、800本を超える「有害」なリンクを見つけたため、リンク否認を提出しました。同誌は一般論として、リンク否認は自分が責任を持ち、かつスパム的だとわかっているリンクを否認するために設計されているものだと補足しています。しかし全員がそのルールを知っているわけではなく、この相談者は特にそうでした。その結果、否認から2週間のうちに自然検索の順位が崩壊しました。
相談者の質問は次のような内容です。
What would you recommend doing at this point to recover my rankings as quickly and safely as possible? Is there anything I can do to reverse or mitigate the effects of the disavow, especially if I accidentally disavowed some links that were actually helping me?
日本語にすると「この時点で、可能な限り早く安全に順位を回復させるには何をすべきか。否認の影響を戻したり和らげたりするためにできることはあるか。とくに、実際には役に立っていたリンクを誤って否認してしまっていた場合はどうか」という内容です。
続けて相談者は、順位下落が現実に否認と関係している可能性があるのか、それとも別の原因を探すべきなのかについて専門家の意見が欲しい、と書いています。あわせて、この状況が自分のビジネスに直接影響しているため、1ページ目の位置をより早く取り戻せる正当な手法にも関心があるとしています。
Search Engine Journalは、ビジネスプロフィールの停止が投稿の当初の文脈だったが、相談者が自然検索の順位下落の原因だと疑っていたのはリンク否認のほうだった、と整理しています。
Mueller氏の回答:「否認ツールには効果がある、ただし時と場合がある」
この投稿には、リンク否認ツールの使用に対する否定的な反応が集まったようです。そこにGoogleのJohn Mueller氏が回答しました。
There's a lot of hate on the disavow tool here - but it has its place & time, it does have effects.
日本語にすると「ここでは否認ツールに対する批判が多いが、それには使いどころと時機があり、実際に効果はある」という内容です。
Search Engine Roundtableは、この発言が、リンク否認ツールにリンクを追加したあとにサイトが検索結果で下落したという苦情に対する応答だったと整理しています。同記事はあわせて、文脈を理解するためにスレッド全体を読むよう促しています。理由は、Mueller氏が応答した相手のサイトが、Fiverrでゲスト投稿やリンクを買っているような話だったからです。つまりこの発言はその状況に固有のものだ、というのが同記事の注記です。同記事は、ほとんどの場合サイトはリンクを否認すべきではないが、否認すべき場合もある、という一般的な立場も添えています。
少数のリンクを否認しても検索から消えるわけではない
切り取られやすいのが前段の発言ですが、Mueller氏はその直後に範囲を限定しています。
disavowing a handful of links is not going to make your site drop out of search
日本語にすると「ひとつかみ程度のリンクを否認したことで、サイトが検索から消えることはない」という内容です。
ここは相談の前提と照らして読む必要があります。相談者が否認したのは800本を超えるリンクであり、ひとつかみの規模ではありません。一方でMueller氏は、否認そのものを順位崩壊の説明として認めるのではなく、別の原因を探すよう促す方向で回答を組み立てています。
Mueller氏が示した確認の順序
同氏が示した対応は、順序が明確です。
I'd fix the disavow file to be what you really need/want it to be (which might be empty, or might not be empty), and b) I'd look for other potential reasons.
日本語にすると「まず否認ファイルを、本当に必要としている・そうしたいと思う状態に直す(それは空かもしれないし、空でないかもしれない)。そして次に、他にありうる理由を探す」という内容です。
他にありうる理由として挙げられたのは2つです。1つ目はアルゴリズム更新との時期の一致です。
For example, there was a broader spam update which might have happened at around that time (I don't recall the actual date, and you don't mention a date in your post). If it's the case the at it aligns with the spam update, to set expectations, fixing issues around bigger algorithmic changes can take quite some time - sometimes many months - until you see the effects.
日本語にすると「たとえば、ちょうどその時期に起きていたかもしれないより広範なスパムアップデートがあった(実際の日付は覚えていないし、あなたも投稿で日付に触れていない)。もしそれがスパムアップデートと重なっているのなら、期待値を設定しておくと、より大きなアルゴリズム変更にまつわる問題の修復は、効果が見えるまでにかなりの時間、ときには何ヶ月もかかることがある」という内容です。
2つ目は技術的な問題です。
Another cause I'd look into more deeply is broad & big technical issues (not "oops, wrong canonical" but more like "oops, blocked the whole site"), just to rule out that it's something easier to fix.
日本語にすると「もう1つ、より深く調べたい原因は、広範で大きな技術的問題だ(『うっかり正規化を間違えた』というレベルではなく、『うっかりサイト全体をブロックした』というレベルのもの)。もっと簡単に直せる話ではないと確認するためだ」という内容になります。
Search Engine Journalは、この回答の順序について、アルゴリズム関連の検索問題の修復は素早い解決ではないという期待値の設定を先に行ったものだと整理しています。一方で、サイトを誤ってインデックスさせないようにしていたといったミスの修正は素早い解決になる、とも書いています。
否認の効果が出るまでの時間:数ヶ月単位
もう1つ実務に効く論点が、否認の効果が現れる時間です。
Search Engine Journalは、Mueller氏が過去にリンク否認が効くまでの期間について答えた内容を引用しています。
With regards to this particular case, where you're saying you submitted a disavow file and then the ranking dropped or the visibility dropped, especially a few days later, I would assume that that is not related.
日本語にすると「否認ファイルを提出したあとに順位や可視性が落ちた、とくにその数日後に落ちたというこの件については、それは関係していないと考える」という内容です。
続く説明が期間の話です。
So in particular with the disavow file, what happens is we take that file into account when we reprocess the links kind of pointing to your website. And this is a process that happens incrementally over a period of time where I would expect it would have an effect over the course of… I don't know… maybe three, four, five, six months …kind of step by step going in that direction.
日本語にすると「否認ファイルについて何が起きるかというと、あなたのサイトを指しているリンクを再処理するときに、そのファイルを考慮に入れる。これは一定の期間にわたって段階的に進むプロセスで、効果が出るのは、そう、たとえば3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月といった経過のなかで、少しずつその方向に進んでいくものだと考える」という内容です。
同氏はさらに、数日のうちに効果が見えてそれが非常に強い効果だったのなら、その効果は否認ファイルとはまったく無関係だと考える、と述べています。
Search Engine Journalはここから、リンク否認の数週間後に順位が改善したように見えた事例はすべて偶然にすぎない、と書いています。同誌の整理では、リンク否認は効果があるとしても、効くのは数週間ではなく数ヶ月単位です。同誌は、否認したあと数週間で順位が改善したという逸話を複数の人から聞いてきたが、相談者を含めて多くの人が同じような経験をしていると述べています。
否認ツールの前提と、Googleのこれまでの姿勢
Search Engine Journalは、リンク否認のもう1つの問題として、それが本来、自分自身が責任を負っているリンクに対してのみ使うものであることを挙げています。
この点は相談者自身の記述にも現れています。
Unfortunately, this time I may have made a mistake. I included some domains in the disavow file that contained old guest posts I had purchased through Fiverr.
日本語にすると「残念ながら、今回は間違いを犯したかもしれない。Fiverrを通じて購入した古いゲスト投稿を含むいくつかのドメインを、否認ファイルに入れてしまった」という内容です。相談者は続けて、それらのリンクは別のニッチのもので多少スパム的だったため当時は有害だと考えたが、いまはそのうちの一部がまだSEO上の価値を提供していた可能性を懸念している、と書いています。
これを受けてSearch Engine Journalは、相談者が犯した間違いが1つだけだったとは考えないとし、Fiverrでリンクを買っているのであれば、そのサイトに他のSEO上の問題が起きていると推測するのは不合理ではないかもしれない、と述べています。同誌は、そのサイトがGoogleの最近のスパムアップデートの被害者だった可能性が高いように感じられる、とも書いています。
Search Engine Roundtableは、Mueller氏がこれまでにも、ほとんどのサイトは否認する必要がない、リンクの否認は時間の無駄だと述べてきたことを整理しています。同記事はさらに、BingのようにGoogleもいずれ否認ツールを撤去する可能性があるとし、実際にGoogleは否認ツールが助けるよりもはるかに多くのサイトを傷つけていると述べ、使わない方針を強めてきたと書いています。
実務でどう扱うか(編集部の見解)
ここからは、報道内容を踏まえた編集部の判断です。
まず、「否認ツールには効果がある」という部分だけを根拠に、否認を積極的な施策として使うのは筋が違います。Search Engine Roundtableが注記しているとおり、この発言はFiverrでゲスト投稿やリンクを買っていたサイトという固有の文脈で出たものです。そして同記事は、ほとんどの場合サイトはリンクを否認すべきではないという立場を明示しています。効果があるという発言は、否認を推奨する発言ではありません。
次に、順位下落の原因調査の順序についてです。Mueller氏の回答は、否認ファイルを正しい状態に直すことと、別の原因を探すことを並列に置いています。ここで重要なのは、否認から2週間という時間軸です。同氏の過去の説明では、否認の効果は3ヶ月から6ヶ月といった経過のなかで段階的に出るものであり、数日のうちに現れた強い効果は否認とは無関係だとされています。2週間で崩れたという事象を否認で説明しようとするのは、この説明と整合しません。時期が重なるアルゴリズム更新や、サイト全体をブロックするような技術的問題を先に潰すほうが合理的です。
そのうえで、有害リンクの一括否認という運用自体を見直すべきだと考えます。相談者は800本を超えるリンクを「有害」と判定して否認していますが、その判定は自分が責任を負っているかどうかとは別の基準です。本来の用途は自分が作った、あるいは買ったと分かっているスパム的なリンクの否認です。ツールの判定スコアだけを根拠に大量否認する運用は、Mueller氏が言う「本当に必要としている状態」とはかけ離れやすいです。
最後に、期待値の話です。仮に原因がアルゴリズム更新側にあった場合、修復から効果が見えるまでに何ヶ月もかかることがあるとMueller氏は明言しています。順位下落が事業に直接影響している状況では、早く戻す手段を探したくなりますが、この時間軸を関係者に先に共有しておかないと、施策を次々に変更して原因の切り分け自体ができなくなります。
まとめ
・Redditに、Googleビジネスプロフィールの停止と、800本超の被リンク否認から2週間での順位崩壊という2つの問題が同時に起きているという相談が投稿された
・GoogleのJohn Mueller氏は「否認ツールには批判が多いが、使いどころと時機があり、実際に効果はある」と回答した
・同時に「ひとつかみ程度のリンクを否認したことでサイトが検索から消えることはない」とも述べ、否認ファイルを本当に必要な状態に直すことと、別の原因を探すことを勧めた
・別の原因の候補として、時期の重なるより広範なスパムアップデートと、サイト全体をブロックするような大きな技術的問題を挙げた
・アルゴリズム関連の問題の修復は、効果が見えるまでにかなりの時間、ときには何ヶ月もかかるとした
・過去の説明では、否認の効果は3ヶ月から6ヶ月といった経過のなかで段階的に出るもので、数日で現れた強い効果は否認とは無関係だとされている
・相談者はFiverrで購入したゲスト投稿を含むドメインを否認していた。否認ツールは本来、自分が責任を負っているリンクに対して使うもの
・Mueller氏はこれまでも、ほとんどのサイトは否認の必要がなく、リンクの否認は時間の無駄だと述べてきた
よくある質問
Q1: リンク否認は結局、効果があるのですか、ないのですか?
GoogleのJohn Mueller氏はRedditで「否認ツールには批判が多いが、それには使いどころと時機があり、実際に効果はある」と述べています。ただし同氏は続けて、ひとつかみ程度のリンクを否認したことでサイトが検索から消えることはないとも述べています。Search Engine Roundtableは、この発言がFiverrでゲスト投稿やリンクを買っているサイトという固有の文脈で出たものであり、ほとんどの場合サイトはリンクを否認すべきではないと注記しています。
Q2: 否認した2週間後に順位が落ちたなら、否認が原因ですか?
Mueller氏の過去の説明とは整合しません。同氏は、否認ファイルはサイトを指すリンクを再処理するときに考慮され、それは一定期間にわたって段階的に進むプロセスで、効果が出るのは3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月といった経過のなかだと述べています。さらに、数日のうちに強い効果が見えたのならそれは否認ファイルとはまったく無関係だと考えるとしています。今回の相談への回答でも、時期の重なるスパムアップデートや、サイト全体をブロックするような技術的問題を先に確認するよう促しています。
Q3: ツールが「有害」と判定したリンクは否認すべきですか?
Search Engine Journalは、リンク否認は自分が責任を持ち、かつスパム的だとわかっているリンクを否認するために設計されているものだとし、本来は自分自身が責任を負っているリンクに対してのみ使うものだと書いています。今回の相談者は800本を超えるリンクを有害と判定して否認し、そのなかにはFiverrで購入したゲスト投稿を含むドメインもありました。Mueller氏は否認ファイルを本当に必要としている状態に直すよう勧めており、それは空かもしれないし空でないかもしれないと述べています。
出典:Google: The Disavow Tool Does Have Effects(Search Engine Roundtable、Barry Schwartz氏、2026年9月2日)https://www.seroundtable.com/google-disavow-tool-effects-42004.html
出典:Google Says Ranking Recovery Takes Months After SEO Issues Are Fixed(Search Engine Journal、Roger Montti氏、2026年9月3日)https://www.searchenginejournal.com/google-says-ranking-recovery-takes-months-after-seo-issues-are-fixed/588268/
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