調査の概要
Search Engine Journalによると、ローカルSEOプラットフォームのSearchableが、Google AI Overviews、Google AI Mode、Gemini、ChatGPT、Perplexityといった主要なAIプラットフォームを対象に、事業者に関するAIの回答の正確性をテストしました。対象はロンドンの165事業者で、その93%において、AIの回答に少なくとも1つの誤ったまたは欠けた事実が含まれていたとされています。また、英国のハイストリート(繁華街)小売事業者に絞ると、64%が少なくとも1つの誤情報を含む回答を受けていました。
最も多い誤りは「間違った郵便番号」
記事によると、最も多く見られた誤りは、事業者が間違った郵便番号(postcode)の場所に置かれてしまうというものでした。これは誤答全体の10件に1件の割合で発生していたとされています。郵便番号は英国において住所特定の核となる情報であり、これが誤っていると、来店や配送先の特定に直接影響しかねない、実害の大きい誤りだといえます。
小規模事業者ほど誤情報が多く、プラットフォームでも差がある
誤情報の発生率は事業者の規模によっても差がありました。記事によれば、小規模事業者の50%で誤情報が見られたのに対し、大企業では32%にとどまっています。また、プラットフォーム別の誤り率は、Perplexityが10%、Geminiが5%、ChatGPTが4%とされており、AIプラットフォームによっても正確性にばらつきがあることが示されています。
ChatGPTの推奨率はわずか1.2%、それでも45%が利用
Searchableが分析した35万件超のChatGPTの回答のうち、特定の事業者を推奨(レコメンド)していたのはわずか1.2%だったとされています。一方で、消費者側の利用実態を見ると、45%がローカル事業者の推薦を得るためにChatGPTなどのAIツールを利用しているとのことです。推奨される事業者はごく一部に絞られる一方で、消費者側の利用はすでに広がっているという非対称な状況がうかがえます。
情報源が薄いと誤りが増える ― Searchable共同創業者の指摘
Searchable共同創業者のChris Donnelly氏は、記事の中で”For a smaller bricks-and-mortar retailer, if their online visibility mostly centres around its website and a Google Business listing, that’s a relatively thin trail of information.”(実店舗を持つ小規模な小売事業者にとって、オンライン上の露出が自社サイトとGoogleビジネスの掲載情報にほぼ限られているなら、それは相対的に薄い情報の痕跡でしかない)と述べています。AIが参照できる情報源が少なければ、それだけ誤りや欠落が生じやすくなるという指摘です。なお、Googleのドキュメントでも”AI responses may include mistakes”(AIの回答には誤りが含まれる場合がある)と明記されているとされています。
ローカル事業者が今すぐすべきこと
記事では、ローカル事業者が取るべき対応として次の点が挙げられています。まず、自社に関する標準的な質問リストを作成し、各AIプラットフォームで実際にテストすること。次に、AIが参照している情報源の正確性を検証すること。そして、名称・住所・電話番号(NAP)を、Googleビジネスプロフィール・自社サイト・拠点ページの間で統一すること。さらに、これを一度きりで終わらせず定期的にモニタリングすること。そして、まず自分たちが管理できる情報源から先に修正していくことです。
SEO・ローカルSEO担当者はどう捉えるか
まず切り分けておきたいのは、これは検索順位の話ではなく、AIに「正確に引用されるかどうか」の話だという点です。順位変動やコアアップデートとは異なる軸の課題として理解する必要があります。そのうえで実務的に重要なのは、AIの回答は誤りを含み得るという前提に立ち、受け身で結果を待つのではなく、NAP情報や自社サイト・拠点ページといった、自分たちが管理できる情報源を先回りして整えておくことです。特に、オンライン上の情報源が自社サイトとGoogleビジネスプロフィールに限られる小規模事業者ほど、AIから参照できる情報が薄くなりやすく、誤情報のリスクが高い点に注意が必要です。定期的に主要なAIプラットフォームへ自社に関する質問を投げかけ、回答内容を確認する運用を組み込んでおくとよいでしょう。
所感
Scale Basics編集部としては、今回の調査結果は「AIの回答は正しい前提で顧客が動く」という状況がすでに生まれつつあることを示していると捉えています。ロンドンの事業者の93%という高い割合で誤りが見られた点、そして小規模事業者ほど誤情報が多い点は、情報源の薄さがそのままAIの回答の正確性に跳ね返ることを示しています。消費者の45%がすでにAIにローカル事業者の推薦を求めている以上、誤情報を放置するコストは今後さらに大きくなっていくと考えられます。NAPの統一や定期的なモニタリングは地道な作業ですが、顧客がAIの回答を鵜呑みにする前に、事業者自身が正確な情報源を整えておくことの重要性が増しているといえるでしょう。
まとめ
・Searchableのテストで、ロンドンの165事業者の93%、英国ハイストリート小売の64%が、AIの回答に少なくとも1つの誤ったまたは欠けた事実を含んでいた。最も多い誤りは間違った郵便番号(誤答の10件に1件)
・小規模事業者の50%に誤情報が見られた(大企業は32%)。プラットフォーム別の誤り率はPerplexity 10%、Gemini 5%、ChatGPT 4%
・ChatGPTが実際に事業者を推奨したのは分析対象35万件超のうち1.2%のみ。一方で消費者の45%がローカル事業者の推薦にChatGPT等を利用している
・ローカル事業者は、標準的な質問リストで各AIをテストし、情報源の正確性を検証し、NAP(名称・住所・電話)をGoogleビジネスプロフィール・自社サイト・拠点ページで統一し、定期的にモニタリングすべき
よくある質問
Q1: AIの回答にはどのくらいの割合で誤りがあるのですか?
Searchableのテストによると、ロンドンの165事業者の93%で、AIの回答に少なくとも1つの誤ったまたは欠けた事実が含まれていました。英国のハイストリート小売事業者に絞ると64%が少なくとも1つの誤情報を含んでいたとされています。
Q2: 最も多い誤りの種類は何ですか?
最も多く見られたのは、事業者が間違った郵便番号(postcode)の場所に置かれてしまう誤りで、誤答全体の10件に1件の割合で発生していたとされています。
Q3: ローカル事業者は何をすべきですか?
自社に関する標準的な質問リストを作成して各AIプラットフォームでテストし、情報源の正確性を検証することが推奨されます。あわせて、名称・住所・電話番号(NAP)をGoogleビジネスプロフィール・自社サイト・拠点ページの間で統一し、定期的にモニタリングし、自分たちが管理できる情報源から先に修正していくことが重要です。
出典:AI Answers About Your Locations Are Often Wrong — Check Before Customers Do(Search Engine Journal、2026年7月20日)https://www.searchenginejournal.com/ai-answers-about-your-locations-are-often-wrong-check-before-customers-do/582205/