何が起きたか:AI Modeの商品はカルーセルとほとんど重ならず、売り手・価格も食い違う
Search Engine Journalの記事は、調査結果を次のようにまとめています。
Only 1.28% of products in the carousel also appeared in AI Mode for the same search on the same day. Among products that appeared in both, the seller listed first was different 49.6% of the time.
日本語にすると「カルーセルに載っている商品のうち、同じ検索・同じ日にAI Modeにも登場したのは1.28%だけだった。両方に登場した商品のうち、1位に表示された売り手が違っていたのは49.6%だった」という内容です。これはProductriseの追跡データの数字で、Googleはこの数字をFuturismに「検証していない」と伝えたと記事は明記しています。
調査の方法と重なりの少なさ:8月9日〜31日に200万件超を追跡
Productriseは200万件を超える商品リストを、10万件を超える通常の検索結果とAI Modeの回答の両方にわたって、2026年8月9日から8月31日まで米国・英国で監視しました。同じ商品を同じ日にAI Modeと通常検索の両方で検索し、通常検索側はPopular productsカルーセルのみ、AI Mode側は回答内の商品リストを対象に、Googleの「product ID(商品ID)」で突き合わせて、双方で1位表示されたオファーの売り手・価格を比較しました。なお対象クエリは同社が監視する商品が中心で、Google検索全体からのランダムなサンプルではないと記事は明記しています。
両方が結果を返した場合、カルーセル側は平均27.8個、AI Mode側は平均3.9個の商品を表示していました。1.28%は、両方に登場した商品数を商品IDを持つカルーセル全掲載数で割った日次の比率を、23日間平均したものです。
数字で見る売り手・価格の食い違い
両方に登場した商品のうち49.6%で、1位に表示された売り手が異なる業者でした。Productriseは価格と売り手の変化は一緒に起きることが多いとコメント。なお1位表示のオファーは複数あるうちの一つで、商品をクリックすると他の売り手と価格を示すパネルが開く仕組みです。
価格については、マッチした商品のうち38.1%で価格が異なり、そのうちAI Modeの方が高い価格を表示していたのは68.4%でした。価格が一致していたものも含めたマッチ商品全体では、AI Modeの価格はカルーセルより平均21.6%高かったとされています。AI Modeの方が高かったケースに限ると差の中央値は22.2%、平均は88.5%でした(中古と新品を比較するようなケースを含む外れ値が平均を押し上げているとProductriseは説明)。逆にAI Modeの価格が低かったケースでは、差の中央値は7.8%でした。
Googleの回答とデータの限界
Futurismは2026年9月2日、Googleの回答を次のように報じています。
While we haven't verified the accuracy of the claims in this report, all shopping results on Google Search, including AI Mode and the search results page, are powered by the same data source: our Shopping Graph. Shoppers can easily click into a product listing to compare prices for that product across retailers and choose the best option for them.
日本語にすると「この報告の主張の正確性は検証していないが、AI Modeと検索結果ページを含むGoogle検索上の全ショッピング結果は、同じデータソースのShopping Graph(ショッピング・グラフ、Googleが商品データを統合するデータベース)で動いている。買い物客は掲載をクリックするだけで価格を複数の小売業者間で比較し、最善の選択肢を選べる」という内容です。
データは画面表示のみを捉えたもので、クリックや購入は含まれず、表示価格で実際に購入したかは確認できません。なぜ商品・売り手が異なるのかも理由は明らかにされていません。創業者Hugo Huijer氏は自身の解釈としてthe cheapest price is less of a factor in AI Mode(「AI Modeでは最安価格であることの重要度が下がっている」)と述べていますが、これは本人の解釈でありデータ自体が検証したものではありません。
実務への影響:自社商品でも見えている売り手は競合かもしれない
AI Modeで最初に見える売り手は、その商品が自社のものであっても競合の業者である可能性があります。記事はGoogle Merchant Centerの「AIパフォーマンスインサイト」レポート(筆者のMatt G. Southern氏が7月に取り上げたもの)にも触れています。このレポートはブランドのAI Mode・AI Overviewsでの見え方を、AIインプレッションに占める割合であるシェア・オブ・ボイス(share of voice)として概観できますが、売り手や価格の指標は含まれず、どの売り手・どの価格が表示されているかは特定できません。
見え方をどう確認するか(編集部の見解)
この数字は単一ベンダーであるProductriseの追跡データによるもので、Google自身も正確性を検証していないとFuturismに答えています。対象クエリもランダムなサンプルではないため、1.28%や49.6%を自社にそのまま当てはめるのは早計で、AI Modeとカルーセルが別ロジックで商品・売り手を選ぶ可能性を示す一事例として受け止めるべきです。
実務的に価値があるのは「同じ商品でも通常検索とAI Modeとでは見えている売り手・価格が別物になり得る」という視点です。Merchant Centerのシェア・オブ・ボイス系レポートには売り手や価格の指標が無いため、自社の主力商品を実際にAI Modeと通常検索の両方で検索し、どの売り手が1位で、どの価格が出ているかを目視で比較する運用が有効です。AI Modeは検索ボックスやChromeのアドレスバー、検索結果上のタブから一クリックで開けるため特別なツールは不要です。ただし原因は確定していません。Huijer氏の見立ては本人の解釈であり、Googleからも説明は出ていません。原因を断定するより、自社商品の表示状況を継続確認することを優先すべきです。
まとめ
・Search Engine Journalが2026年9月3日に報道。Google AI Modeの商品は通常検索のPopular productsカルーセルとほとんど重ならず、重なりはカルーセル商品の1.28%にとどまった
・両方に登場した商品でも、1位に表示される売り手が違っていたのは49.6%。価格が異なっていたのは38.1%で、そのうちAI Modeの方が高かったのは68.4%。マッチ商品全体ではAI Modeの価格が平均21.6%高かった
・データはGoogle Shopping向け商品追跡サービスのProductriseによるもので、2026年8月9日〜31日に米英で200万件超・10万件超の結果を対象にした。Googleはこの数字をFuturismに「検証していない」と回答
・データは画面表示のみを捉えたもので、クリックや購入は含まない。なぜ商品・売り手が食い違うのか理由は分からず、Googleからの説明もない
・実務対応としては、Merchant Centerのシェア・オブ・ボイス系レポートに売り手や価格の指標が無いため、自社の主力商品を実際にAI Modeと通常検索の両方で検索し、売り手と価格を目視で比較することが有効
よくある質問
Q1: Google AI Modeの商品は、通常検索のカルーセルとどれくらい重なりますか?
Productriseの調査では、カルーセル商品のうち同じ日の同じ検索でAI Modeにも登場したのは1.28%でした。両方が結果を返した場合、カルーセル側は平均27.8個、AI Mode側は平均3.9個の商品を表示していました。
Q2: 同じ商品がAI Modeとカルーセルの両方に出た場合、価格や売り手は同じですか?
必ずしも同じではありません。両方に登場した商品のうち1位の売り手が異なっていたのは49.6%、価格が異なっていたのは38.1%で、そのうちAI Modeの方が高かったのは68.4%。マッチ商品全体ではAI Modeの価格が平均21.6%高かったとされています。
Q3: このデータについてGoogleは何と答えていますか?
Futurismが2026年9月2日に報じたところでは、Googleは「この報告の正確性は検証していないが、AI Modeと検索結果ページを含む全ショッピング結果は同じデータソースのShopping Graphで動いている。買い物客は掲載をクリックするだけで価格を複数の小売業者間で比較できる」と回答しています。原因の説明はなく、創業者Hugo Huijer氏の「AI Modeでは最安価格の重要度が下がっている」という見立ても本人の解釈で、データ自体が検証したものではありません。
出典:Google AI Mode Prices Differ From Product Carousel For Same Items(Search Engine Journal、Matt G. Southern氏、2026年9月3日)https://www.searchenginejournal.com/google-ai-mode-prices-differ-from-product-carousel-for-same-items/588227/