何が指摘されたのか
Search Engine JournalのGreg Jarboe氏(SEO-PR社長・共同創業者、VIPコントリビューター)は、2026年7月24日付の記事「The AI Overviews YouTube Gap: The Platform Your Team Skipped For 20 Years」で、マーケティングチームが20年間にわたってYouTubeを二次的なチャネルとして扱い、軽視してきたと指摘しました。同氏によれば、現在GoogleのAI Overviewsにおいて、YouTube動画が一次的な引用元として登場する機会がますます増えており、動画制作の体制やクリエイターとの関係を持たないチームにとって、対応の遅れというギャップが生じているとしています。
YouTube黎明期からの20年
Jarboe氏自身、2006年8月に最初のYouTube動画(42秒の長さ)を投稿し、当初の再生回数は1,908回だったと振り返っています。同氏はまた、CSMonitor.comにおいて、24時間で45万人(450,000人)のユニークビジターが訪れるトラフィックの急増が発生した事例を紹介しています。これは通常の日次平均の7倍(7x)にあたり、通常の日次ページビューが121,247件であるのに対し、この急増によって合計100万(1 million)ページビューが記録されたとされています。
YouTubeの経済的インパクトを示す数値
記事では、YouTubeの経済的な規模を示す数値がいくつか紹介されています。YouTubeが2025年に米国のGDPに貢献した金額は600億ドル(60 billion dollars)、支えられているフルタイム相当の雇用は54万人(540,000)とされています。また、月間視聴回数100万回以上のチャンネルを10以上抱える州は、全米50州すべてに広がっているとされています。
さらに、YouTubeの公式ブログでAlexandra Veitch氏が紹介した数値として、「YouTubeチャンネルを持つ中小企業(SMB)の76%が、このプラットフォームが顧客基盤の拡大に役立ったと回答している(“Seventy-six percent of small- and medium-sized businesses with a YouTube channel say the platform helped them grow their customer base”)」という調査結果が挙げられています。
チームが取るべき戦略転換
Jarboe氏は、こうした状況に対応する上で重要な問いは「予算をどれだけ確保できるか」ではなく、「すでに視聴者と信頼性を持っているクリエイターは誰か」であるとしています。同氏は、自社でYouTubeのプレゼンスをゼロから構築しようとするのではなく、すでに視聴者を保有しているクリエイターとの提携(パートナーシップ)に基づく戦略への転換を推奨しています。
記事では、実務上の推奨事項として以下の3点が挙げられています。1つ目は、自社のカテゴリーにおいて影響力のある関連クリエイターを特定し、予算規模よりもニッチな領域での権威性を優先すること。2つ目は、インフルエンサーとの提携をSEO・コンテンツ・ソーシャルの各ワークフローに個別に切り離すのではなく、直接統合すること。3つ目は、動画の再生回数だけでなく、リファラルトラフィック・AIによる引用・コンバージョンといった下流の効果を計測することです。
なぜ重要か / SEO・実務への影響
AI Overviewsのような生成AI型の検索結果において、YouTube動画が一次引用元として扱われる機会が増えているという指摘は、コンテンツ戦略全体の見直しを迫るものです。テキストコンテンツのSEOだけに注力してきた企業にとっては、動画コンテンツやクリエイターとの関係構築が、AI検索時代における新たな可視性確保の手段になり得るという点が、実務上の重要な示唆といえます。
所感
Scale Basics編集部としては、Jarboe氏の指摘は、日本のマーケティング現場にもそのまま当てはまる部分が多いと感じています。YouTubeを「動画広告の出稿先」以上の存在として位置づけ、コンテンツ・SEO戦略の中核に統合してきた企業は、日本でもまだ多くはないでしょう。自社でゼロから動画制作体制を構築するのではなく、既に視聴者と信頼を得ているクリエイターとの提携から始めるというアプローチは、リソースが限られる企業にとって現実的な第一歩になると考えられます。
まとめ
・SEJのGreg Jarboe氏(SEO-PR)が、20年間軽視されてきたYouTubeが、GoogleのAI Overviewsで一次引用元として登場する機会が増えており、対応の遅れというギャップが生じていると指摘
・YouTubeは2025年に米国GDPに600億ドル貢献、54万人分のフルタイム相当雇用を支え、月間100万回視聴超のチャンネルを10以上持つ州は全米50州に拡大
・YouTubeチャンネルを持つ中小企業の76%が顧客基盤拡大に役立ったと回答(YouTube公式ブログ、Alexandra Veitch氏)
・自社でゼロから構築するのではなく、既に視聴者を持つクリエイターとの提携に基づく戦略への転換と、再生回数以外の下流指標(リファラルトラフィック・AI引用・コンバージョン)の計測が推奨される
よくある質問
Q1: AI OverviewsでYouTube動画が引用されやすくなっているのはなぜですか?
記事では明確な理由の分析までは示されていませんが、Greg Jarboe氏は、GoogleのAI Overviewsにおいて動画コンテンツが一次的な引用元として登場する機会が増えている実態を指摘しています。テキストコンテンツのSEOのみに注力してきたチームにとっては、対応の遅れというギャップになっているとされています。
Q2: YouTubeにリソースを割けない企業はどうすべきですか?
Jarboe氏は、自社でゼロからYouTubeのプレゼンスを構築するのではなく、すでに対象カテゴリーで視聴者と信頼性を持っているクリエイターと提携する戦略を推奨しています。重視すべきは予算規模よりも、クリエイターのニッチ領域での権威性だとされています。
Q3: YouTube施策の効果はどう計測すればよいですか?
記事では、動画の再生回数だけを見るのではなく、リファラルトラフィック、AIによる引用、コンバージョンといった下流の効果を計測することが推奨されています。また、インフルエンサーとの提携はSEO・コンテンツ・ソーシャルの各ワークフローに直接統合すべきだとされています。
出典:The AI Overviews YouTube Gap: The Platform Your Team Skipped For 20 Years(Search Engine Journal、2026年7月24日)https://www.searchenginejournal.com/the-ai-overviews-youtube-gap-the-platform-your-team-skipped-for-20-years/582702/