何が起きたか:引用上位が「要約する側」から「一次情報」へ
出典が紹介しているのは、Ahrefsが集計した、米国のChatGPTの回答で引用されたドメインの順位の変化です。Ahrefsのデータでは、3月から9月にかけてPubMedが64位から4位に上がり、WebMDは18位から79位に下がりました。
レポートのチャートで順位を上げたサイトの多くは、政府の健康・研究サイト、規制当局、そして実際に製品を試すテストサイトだったとされています。一方で健康や金融の解説サイトは順位を落とし、Britannica、Investopedia、New York Postは上位200から外れました。
Ahrefs自身はこの傾向をseems to be prioritizing original sources over sites that summarize them.と表現しています。日本語にすると「(ChatGPTは)一次情報を、それを要約するサイトよりも優先しているようだ」という内容です。あくまでAhrefsのデータに基づく観察であり、OpenAIがそうした方針を発表したわけではない点は押さえておく必要があります。
どのサイトが上がり、どのサイトが下がったか
Ahrefsが対象にしたのは、米国のChatGPTの回答で最も頻繁に引用された200ドメインです。もとになった回答数は、3月が240万件、9月が380万件とされています。
Ahrefsは、WebMDとVerywell Healthを「研究を要約する健康サイト」と位置づけ、HealthlineとInvestopediaをそれらと合わせて健康・金融の解説サイトとしてまとめています。引用が増えたサイトの長いリストには、CFPBやFTCといった規制当局に加え、GoogleやMicrosoftのサポートページも含まれていると出典は書いています。
プロンプトの追加による見かけの変化をどう除いたか
この種の比較で気になるのが、計測方法そのものの影響です。出典によれば、Ahrefsの追跡システムは時間とともにプロンプト(ChatGPTに投げる質問文)を追加していくため、順位の変化はChatGPTの引用先の変化ではなく、新しい質問が増えたことによる可能性があります。
そこでAhrefsは、3月と9月の両方で、検索量の多い上位150,000件のプロンプトに含まれていた約25,000件のプロンプトを比較しました。その結果、チャート上のすべてのサイトが、これらのプロンプトでも同じ方向に動いていたと述べています。
RedditとWikipediaは引用される回答が減った
Ahrefsのデータでは、Redditが引用された米国のChatGPTの回答の割合は、3月の19.1%から9月には2.3%になりました。Wikipediaは同じ期間に14.1%から2.9%へ下がっています。ただしAhrefsは、両者とも依然としてChatGPTが最も多く引用するドメインに含まれているとしています。
出典の筆者であるSouthern氏は、8月にもRedditの減少を取り上げていたと書いています。そのときはPromptwatchのデータで、ChatGPT Searchの引用に占めるreddit.comのシェアが、7月下旬から8月上旬の平均3.83%から、8月中旬には0.52%に下がっていました。出典は、Ahrefsが測っているのは「Redditを引用した回答の割合」であり、見方が異なると注記しています。数字をそのまま並べて比べないよう注意が必要です。
また、Ahrefsが別に集めた全世界のサンプルでは、reddit.comは、検索対象を1つのWebサイトに限定するsite:検索で、ChatGPTが9番目に多く検索したドメインだったとされています。
無料の回答の多くはWeb検索をしていなかった
レポートは、ChatGPTがどのくらいの頻度でWeb検索を行うのかも調べています。Ahrefsのファンアウト(fan-out)のサンプルに含まれる、無料・ログアウト状態のGPT-5.6 Lunaの回答6,660万件のうち、Web検索を含んでいたのは14.4%でした。このデータは8月と9月の、すべての国を対象にしたものです。検索を伴った回答では、平均で約1.6件のファンアウトクエリがあったとされます。ファンアウトクエリとは、ChatGPTが回答を返す前に裏側で行う検索のことです。
出典は、OpenAIのヘルプページに、質問が最新の情報から恩恵を受ける場合にはChatGPTが自らWebを検索することがあると書かれている点にも触れています。
上位ドメインへのsite:検索の75.9%はブランドサイト向け
1,500万件のファンアウトのうち6.8%がsite:検索で、その対象は116,000ドメインに分散していました。最も多く検索された約160ドメインを対象にしたsite:検索に限ると、75.9%がブランドサイト向けだったとされます。レポートはブランドサイトを、apple.comやikea.comのような企業のWebサイトと定義しています。
他の調査との数字の違い
出典は、他の調査ではプロンプトあたりのファンアウトがはるかに多く観測されていることも紹介しています。たとえばNectivは、API経由でGPT-5.6 Solに処理させた約4,000件のプロンプトで、プロンプトあたり平均7.61件のファンアウトを確認しました。これに対して1.6という数字は、検索を伴った回答だけを対象にしたものです。2つのサンプルはモデル、プロンプト、収集方法が異なるため、数字は直接比較できないとされています。Ahrefsは、自社の幅広いプロンプトがあらゆるトピックと国の検索需要から集められていることが差の一部を説明すると述べ、無料かつログインなしでの利用は、有料モデルや推論モデルに比べて検索が少なくなるとも注記しています。
現場への意味(編集部の見解)
ここからは編集部の整理です。出典の「Why This Matters」の部分では、Healthline、WebMD、Investopediaのような健康・金融の解説サイトが引用順位を落とし、PubMedやFDA、そしてRTINGSのようなテストサイトが順位を上げたと要約されています。そのうえでAhrefsは、独自調査、実際に試したテスト、自社の製品情報といった「自分にしか作れないページ」に注力することを勧めています。
この提言は、他のサイトの情報をまとめ直す記事を主力にしているメディアほど重く受け止める価値があると編集部は考えます。出典のデータが示しているのは、要約する側のサイトが後退し、元の情報を持つ側が上がったという方向性です。ここからは編集部の推測ですが、SEO担当者にとっては、記事の中に自社で集めた数値や自社で検証した結果がどれだけ含まれているかを棚卸しすることが、最初の一手になりやすいと考えます。
一方で、読み方には注意点が2つあります。1つ目は、出典自身が明記しているとおり、Ahrefsの引用順位はトラフィックを測るものではないという点です。引用順位が下がったことと、そのサイトへの流入が減ったことは同じではありません。出典は、自社のコアトピックについてChatGPTが自社のページをどのくらい引用しているか、代わりにどの情報源を引用しているかを確認すれば、この傾向が自社に当てはまるかがわかるとしています。
2つ目は、データの時点です。Ahrefsによれば、ファンアウトのデータは8月から9月にかけて取得した単一モデルのスナップショットで、こうしたパターンは今後のアップデートで変わりうるとされています。出典は、解説ページが可視性を得る主な手段になっているなら、OpenAIがモデルを更新するたびに、重要なトピックでChatGPTがどの情報源を引用しているかを確認するとよいとしています。一度の観測で方針を大きく切り替えるのではなく、定点観測を続けたうえで判断するのが現実的だと編集部は考えます。
まとめ
・Search Engine Journalが2026年10月12日、ChatGPTの引用先が一次情報寄りに動いているとするAhrefsのデータを紹介した
・米国の回答で、3月から9月にかけてPubMedは64位から4位へ、WebMDは18位から79位へ動いた。Britannica、Investopedia、New York Postは上位200から外れた
・対象は上位200ドメインで、回答数は3月が240万件、9月が380万件。約25,000件の共通プロンプトでも、チャート上のすべてのサイトが同じ方向に動いたとされる
・Redditを引用した回答の割合は19.1%から2.3%、Wikipediaは14.1%から2.9%に下がったが、両者とも依然として最も多く引用されるドメインに含まれる
・無料・ログアウト状態の回答6,660万件のうち、Web検索を含んだのは14.4%で、検索を伴う回答のファンアウトは平均約1.6件だった
・Ahrefsは独自調査、実際のテスト、自社の製品情報など自分にしか作れないページへの注力を勧めている。ただし引用順位はトラフィックを測るものではない
よくある質問
Q1: ChatGPTに引用されにくくなったのはどんなサイトですか?
出典が紹介するAhrefsのデータでは、Healthline、WebMD、Investopediaのような健康・金融の解説サイトが引用順位を落としました。WebMDは3月の18位から9月には79位へ下がり、Britannica、Investopedia、New York Postは上位200から外れたとされています。反対に順位を上げたのは、政府の健康・研究サイト、規制当局、実際に製品を試すテストサイトが中心で、具体例としてPubMed、FDA、RTINGSが挙げられています。
Q2: ChatGPTは回答のたびにWebを検索しているのですか?
Ahrefsのサンプルでは、無料・ログアウト状態のGPT-5.6 Lunaの回答6,660万件のうち、Web検索を含んでいたのは14.4%でした。対象は8月と9月の、すべての国のデータです。Ahrefsは、無料かつログインなしでの利用は、有料モデルや推論モデルに比べて検索が少なくなるとも注記しています。
Q3: 引用順位が下がると、サイトへのトラフィックも減るのですか?
出典は、Ahrefsの引用順位はトラフィックを測るものではないと明記しています。自社に当てはまるかどうかは、自社のコアトピックについてChatGPTが自社のページをどのくらい引用しているか、代わりにどの情報源を引用しているかを確認すればわかるとされています。
出典:ChatGPT’s Most-Cited Sites Tilt Toward Primary Sources, Data Shows(Search Engine Journal、Matt G. Southern氏、2026年10月12日)https://www.searchenginejournal.com/chatgpt-most-cited-sites-primary-sources-ahrefs/592682/
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