何が起きたのか
米連邦地方裁判所のYvonne Gonzalez Rogers首席判事(Chief U.S. District Judge)は、GoogleがSerpApiに対して起こしていたDMCA(デジタルミレニアム著作権法)のアンチ回避条項(anti-circumvention)に基づく主張を棄却したと、Search Engine Journal(Matt G. Southern氏、2026年7月21日付)が報じています。裁判所は、著作物を含まない公開の検索結果から、自動化されたスクレイパーをブロックする行為は、DMCA上の著作権回避(copyright circumvention)には該当しないと判断しました。案件名はGoogle LLC v. SerpApi LLC(Docket 72059948)です。
裁判の経緯
Googleは2025年12月にSerpApiを提訴し、SerpApiは2026年2月に訴え棄却の申し立て(motion to dismiss)を行いました。今回、Gonzalez Rogers判事がGoogleのDMCAアンチ回避主張を棄却したことで、Googleには判決から21日間(21 days)、著作権侵害に関する主張を修正(amend)するための期間が与えられています。この修正手続きが行われる間、裁判のディスカバリー(discovery、証拠開示手続き)は一時停止(paused)されるとされています。
判決の要点
裁判所の判断の核心は、著作物を含まない公開の検索結果ページから自動化されたスクレイパーをブロックする行為そのものは、DMCAが禁じる著作権回避には当たらないという点です。つまり、検索結果ページに著作権で保護されたコンテンツが含まれていない限り、Googleがそのアクセス制限を根拠にDMCA違反を主張することはできないという判断です。
SerpApi側の反応
SerpApiのCEOであるJulien Khaleghy氏は、「Googleが公開ページへのアクセスをコントロールするためにDMCAの適用範囲を拡大しようとした試みを、裁判所が退けたことを嬉しく思う(“We’re pleased that the court rejected Google’s attempts to expand the DMCA to assert control over access to public pages.”)」と述べています。さらにKhaleghy氏は、「利用可能な情報への開かれたアクセスというインターネットの基本原則は、イノベーションを推進するうえで欠かせないものだ(“The internet’s founding principle – open access to usable information – is essential to driving innovation.”)」とコメントしています。
SEO・SERPスクレイピングツールへの影響
この判決は、GoogleがSERPスクレイピングツールに対してDMCAを行使できる範囲を狭めるものだとされています。著作権で保護されたコンテンツを含まない、通常の検索結果をスクレイピングする行為は、今回の判決によって法的リスクが下がったと位置づけられます。一方で、ナレッジパネル(Knowledge Panel)に表示されるライセンス画像など、著作権で保護された要素を抜き出す行為については、依然として法的リスクが残るとされています。また、Googleには著作権侵害に関する主張を修正するための21日間が残されており、その間ディスカバリー手続きは一時停止される見通しです。
所感
Scale Basics編集部としては、今回の判決はSERP系のSEOツールやランクトラッキングサービスにとって、法的な不確実性をある程度取り除く材料になり得ると見ています。ただし、今回棄却されたのはDMCAのアンチ回避条項に基づく主張であり、著作権で保護された要素(画像等)の扱いについては別枠のリスクが残っている点には注意が必要です。Googleには主張を修正する期間がまだ残っているため、最終的な結論が出るまでは、この判決を過度に「スクレイピングが全面的に合法化された」というメッセージとして受け取らず、今後の手続きの推移を注視していく必要があるでしょう。
まとめ
・米連邦地裁のYvonne Gonzalez Rogers首席判事が、GoogleがSerpApiに対して起こしていたDMCAアンチ回避主張を棄却(案件名:Google LLC v. SerpApi LLC、Docket 72059948)
・裁判所は、著作物を含まない公開の検索結果から自動化スクレイパーをブロックする行為は、DMCA上の著作権回避には該当しないと判断
・SerpApi CEOのJulien Khaleghy氏は、Googleの主張拡大の試みが退けられたことを歓迎するとコメント
・Googleには判決から21日間、著作権侵害に関する主張を修正する期間が残されており、その間ディスカバリー手続きは一時停止。ナレッジパネルのライセンス画像など著作権保護要素の抽出には依然リスクが残る
よくある質問
Q1: 今回の判決で、SERPスクレイピングは完全に合法になったのですか?
いいえ、そうではありません。今回棄却されたのは、著作物を含まない公開の検索結果ページから自動化スクレイパーをブロックする行為に対する、GoogleのDMCAアンチ回避主張です。ナレッジパネルのライセンス画像など、著作権で保護された要素を抜き出す行為については、依然として法的リスクが残るとされています。
Q2: 今回の裁判の経緯はどのようなものですか?
Googleは2025年12月にSerpApiを提訴し、SerpApiは2026年2月に訴え棄却の申し立てを行いました。米連邦地裁のYvonne Gonzalez Rogers首席判事がGoogleのDMCAアンチ回避主張を棄却し、Googleには判決から21日間、著作権侵害に関する主張を修正する期間が与えられています。
Q3: SerpApi側はこの判決をどう評価していますか?
SerpApiのCEOであるJulien Khaleghy氏は、Googleが公開ページへのアクセスをコントロールするためにDMCAの適用範囲を拡大しようとした試みを裁判所が退けたことを歓迎するとコメントしています。また、利用可能な情報への開かれたアクセスというインターネットの基本原則が、イノベーションの推進に欠かせないと述べています。
出典:Court Dismisses Google’s DMCA Claims Against SerpApi(Search Engine Journal、2026年7月21日)https://www.searchenginejournal.com/court-dismisses-googles-dmca-claims-against-serpapi/583033/