何が起きたのか
Search Engine Journal(2026年7月16日、原典はBloomberg)によると、GoogleのAIモデル「Gemini 3.5 Pro」の一般公開が、コーディング性能の改善作業のため予定より遅れています。BloombergのJulia Love氏とDavey Alba氏が、事情に詳しい関係者への取材として報じたもので、現職・元職あわせて10人の従業員が社内の不満を語ったとされています。関係者は、AnthropicやOpenAIがGeminiを上回る性能のモデルを投入する中でGoogleが後れを取っているとの懸念を語ったとされ、いずれも社内事情を話すことを理由に匿名を条件としています。また、Googleは先月(6月)、コーディング性能を改善するために学習データを更新しましたが、その結果は「期待外れだった」と関係者の1人が述べたと報じられています。Googleの広報担当者はBloombergに対し、アップグレード版のFlashモデルとあわせ、3.5 Proを現在パートナー各社とテスト中であるとコメントしています。
5月の発表から現在までの経緯
Googleは2026年のGoogle I/Oで「Gemini 3.5」シリーズを発表し、同日に「Gemini 3.5 Flash」をリリースしました。フラッグシップとなる3.5 Proについては、Googleの公式ブログ(5月19日付)で「社内では既に利用している」としたうえで、「翌月にはロールアウトしていきたい」と述べていました。翌月とは6月を指します。
| 時期 | できごと |
|---|---|
| 2026年5月19日 | Google公式ブログで、3.5 Proは社内利用中、「翌月(6月)のロールアウト」に言及 |
| 2026年6月 | Googleが学習データを更新しコーディング性能の改善を図るも、結果は期待外れだったと関係者が証言 |
| 2026年7月16日 | Bloombergが遅延を報道。報道時点でGemini APIのリリースノートに3.5 Proの記載なし。Google広報は「パートナーとテスト中」とコメント |
また、SEJは2026年5月の時点で、Google CEOのSundar Pichai氏が「エージェント型コーディング」の最前線からは「やや遅れている(a bit behind)」と発言したことを伝えており、その理由としてGoogleが競合他社にとって開発データの源となるような開発者向けコーディング製品を持っていない点を挙げていました。SEJは2026年6月にも、Google AI部門の幹部2名の離職を報じた記事の中で、DeepMind内部で「AIコーディングツールを開発する企業向けにGoogleが何を提供できるか」への懸念があるとするBloombergの報道を紹介しています。今回のPro遅延の報道は、こうした一連の流れと符合する内容です。
SEO・生成AI担当者はどう捉えるか
まず押さえておきたいのは、この報道が示すのはGoogleのモデル開発スケジュールの遅れであり、検索結果の順位や既存の検索体験が今すぐ変わるという話ではない点です。GoogleはI/Oで「Gemini 3.5 Flash」をAI Modeの既定モデルとして世界展開しており、Google側の発表資料は3.5 ProがFlashを置き換えるとは述べていません。したがって、フラッグシップモデルの遅延がそのままAI Modeなどの回答内容や表示のされ方の変化につながる、と早合点しないことが重要です。一方で、Google自身が5月に示した公開時期の見込みを外し、7月16日の報道時点でも代替の時期を発表していない、というスケジュール面の事実は把握しておく価値があります。今後の生成AI関連のロードマップを追ううえで、発表内容と実際のリリースの間にズレが生じ得ることを前提に情報を追う姿勢が実務的です。
所感
BloombergやSEJが伝えているのは、あくまで匿名の関係者証言に基づく内部事情の報道であり、Google自身が遅延の理由や新しい時期を公式に説明したわけではありません。Scale Basics編集部としては、この件を「Geminiが競合に劣る」という結論に急ぐのではなく、Googleがコーディング領域で何を優先し、どのモデルをいつ検索・開発者向け製品に反映していくのかという、今後の一次情報(Google公式のブログやリリースノート)の更新を継続的に確認していくべき局面だと捉えています。
まとめ
・GoogleのAIモデル「Gemini 3.5 Pro」の一般公開が、コーディング性能改善の作業により遅れていると、Bloombergが関係者取材として報道(SEJ、2026年7月16日)
・Googleは5月19日のブログで「翌月(6月)のロールアウト」を見込んでいたが、7月16日の報道時点でGemini APIのリリースノートに3.5 Proの記載はまだない
・6月に学習データを更新しコーディング性能の改善を図ったが、結果は期待外れだったと関係者の1人が証言
・Google広報は、アップグレード版Flashとあわせ3.5 Proを現在パートナーとテスト中とコメント。検索のAI Modeの既定モデル(3.5 Flash)への直接的な影響は報じられていない
よくある質問
Q1: Gemini 3.5 Proはいつ公開されますか?
2026年7月16日時点で、Googleは新しい公開時期を発表していません。5月には「翌月(6月)」のロールアウトを見込んでいましたが、その時期は過ぎており、Gemini APIのリリースノートにも3.5 Proの記載はまだありません。Google広報は「現在パートナーとテスト中」とコメントしています。
Q2: 遅延の理由は何とされていますか?
Bloombergの報道によれば、コーディング性能の改善作業が理由とされています。Googleは6月に学習データを更新しましたが、その結果は期待外れだったと関係者の1人が証言しています。また、AnthropicやOpenAIがGeminiを上回る性能のモデルを投入する中で、社内でGoogleが後れを取っているとの懸念が語られたとも報じられています。
Q3: この遅延はGoogle検索やAI Modeにすぐ影響しますか?
報道内容は検索結果に即座の変化を示すものではありません。GoogleはI/Oで「Gemini 3.5 Flash」をAI Modeの既定モデルとして展開しており、3.5 Proがそれを置き換えるとは公式に述べられていません。今回の遅延は主にGoogleのモデル開発・提供スケジュールに関する報道です。
出典:Google Delays Gemini 3.5 Pro Over Coding Issues: Report(Search Engine Journal、2026年7月16日)https://www.searchenginejournal.com/gemini-3-5-pro-delayed-over-coding-bloomberg-reports/582660/