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Google、書籍データのGemini学習巡り集団訴訟に直面【2026年7月】

Google、書籍データのGemini学習巡り集団訴訟に直面【2026年7月】

Hachette Book Groupなどの出版社3社と作家のScott Turow氏らが、GoogleがGeminiの学習に書籍・論文を無断使用したとして集団訴訟を提起したと、Search Engine Journalが報じています。書籍データの直接提供分と、ウェブスクレイピングで集められたとされるデータの両方が争点になっており、AI学習データの許諾範囲を巡る議論として日本のWeb担当者にとっても注視しておきたい動きです。

何が起きたのか

Hachette Book Group、Cengage Learning、Elsevierの出版社3社と、作家のScott Turow氏、同氏の会社S.C.R.I.B.E.が共同で、Googleに対する集団訴訟(class action)を提起しました。訴状は、Google Books、Play Books、Google Scholarを通じて提供された数百万件規模の書籍・論文を、GoogleがGeminiの学習に無断で使用したと主張しています。訴訟は2026年7月10日、米国ニューヨーク州南部地区連邦地方裁判所に提起され、同日にAssociation of American Publishers(米国出版社協会)がこれを公表しました。原告側は、これらの書籍・論文が特定の用途で提供されたものであり、商用AIモデルの学習はその用途に含まれていなかったと主張しています。また、訴状はGoogleが海賊版サイトや有料購読制ライブラリなどからのウェブスクレイピングによって取得した著作物も無断で複製したと主張しています。本記事公開時点でGoogleはこの訴状についてコメントしておらず、裁判所もまだいずれの主張についても判断を下していません。争点の中心は、ある目的のために与えられた許諾が、モデルの学習という別の用途にも及ぶかどうかです。

訴状の内容とクローラー制御の位置づけ

訴状が主張する4つの請求

訴状は4件の請求(count)で構成されています。うち3件は著作権法(Copyright Act)上の無断複製を主張するもので、(1)Google Booksなど複数のGoogleサービス経由で提供された著作物、(2)ウェブスクレイピングで取得したデータ、(3)学習(トレーニング)過程での複製、をそれぞれ対象としています。4件目は、著作権管理情報を削除したとしてDMCA(デジタルミレニアム著作権法)違反を主張するものです。原告側は、損害賠償、差止め、Geminiの学習に使われた著作物の詳細な開示、および無断複製物の削除命令を裁判所に求めています。訴状はGoogle社内の文書とされるものを引用しており、その一つはPlay Booksの書籍をAI学習に用いることを「Googleにとって非常に問題がある(highly problematic for Google)」とし、想定される罰金規模を「数百億〜数千億ドル($10Bs-$100Bs)」と記していたとしています。また、Geminiの主任エンジニアの発言として「すでに保有しているデータについては、データ利用契約を結ばない(we don’t do deals for data we already have or already possess)」という趣旨の発言があったと主張しています。これらの文書はいずれも公開されておらず、引用はあくまで原告側の訴状に基づくものである点に留意が必要です。

Google-Extendedは今回の争点に関与しない

Google-Extendedは、サイトが将来のGemini学習や一部のグラウンディング利用への提供可否を制御できるrobots.txtのトークンです。しかし、今回争点となっている2つの経路は、いずれもこのトークンの対象外だとされています。書籍データは契約に基づきGoogleへ直接提供されたものであり、robots.txtの設定は関与しません。もう一方のウェブスクレイピングによる複製については、海賊版サイトや有料購読制のライブラリなどでホストされていたものがCommon Crawlに取り込まれたとされており、これらは元のサイトとは別ドメインで発生する事象のため、robots.txtでは制御できないとされています。Googleは6月25日、公開ウェブデータでの学習を「変容的(transformative)かつ非表現的な利用」でありフェアユースに該当するとの見解を示すポリシーペーパーを公表しており、その中でGoogle-Extendedのような機械可読の制御によるオプトアウトにも言及しています。一方、先月にはDigital Content NextがCommon Crawl Foundationに対し、著作権法はオプトアウト方式では機能しないと主張する停止要求書(cease and desist)を送付したと報じられています。

今後の見通し

2025年には、北カリフォルニア連邦地裁の2件の判決で、それぞれの記録に基づき学習利用がフェアユースに当たると判断されました。ただしAnthropicを巡る訴訟では、海賊版とされる中央ライブラリ由来の複製物について略式判決の申立てが却下されており、Metaを巡る訴訟でも担当裁判官は判断が当該原告・当該記録に限定されたものであると強調しています。今回の原告側は、当初カリフォルニア州で進行中の「In re Google Generative AI Copyright Litigation」への参加を検討していたものの、その集団訴訟の対象範囲外と考える請求を保全するため、ニューヨーク州で新たに提訴したと説明しています。次の焦点は、Googleが答弁を行うか、あるいは却下の申立てを行うかという対応です。

SEO・コンテンツ担当者はどう捉えるか

まず押さえておきたいのは、許諾(permission)の論点とフェアユースの論点は別物であり、今回の訴状はそのどちらについても結論を出すものではないという点です。次に、robots.txtのGoogle-Extendedのようなクローラー制御がカバーする範囲は限定的である点も重要です。今回のような、契約に基づく直接提供データや、海賊版サイト・有料ライブラリ経由でCommon Crawlに取り込まれたとされるスクレイピングデータには、そもそもクローラー制御が及びません。1月時点のBuzzStreamの調査では、大手ニュースサイトの79%が少なくとも1つのAI学習用クローラーをブロックしているとされていますが、これはGoogle-Extendedが対象とする経路についての数値であり、今回の訴訟で問題となっている経路とは別であることに注意が必要です。そして最も重要な点として、本件は検索結果への表示回数やクリック数といった計測の話でも、検索順位への影響の話でもありません。著作権とAI学習データの許諾範囲を巡る訴訟であり、順位変動や検索露出の議論とは明確に切り分けて理解すべきです。

所感

Scale Basics編集部としては、今回の訴訟が「AIに使われたデータへの許諾がどこまで及ぶか」という、生成AI時代のコンテンツビジネス全体に関わる論点を改めて可視化した動きだと捉えています。robots.txtのGoogle-Extendedを設定していれば安心、という単純な話ではなく、契約に基づく直接提供やスクレイピング経由のデータには別の論理が働く点は、日本のサイト運営者にとっても他人事ではありません。ただし現時点では訴状の主張が示されただけで、裁判所の判断は何も出ていません。断定的な結論に飛びつかず、今後のGoogle側の対応や裁判所の判断を継続して注視していく姿勢が重要だと考えます。

まとめ

・Hachette Book Group、Cengage Learning、Elsevierの出版社3社と作家Scott Turow氏、S.C.R.I.B.E.社が、2026年7月10日、ニューヨーク州南部地区連邦地裁にGoogleを相手取った集団訴訟を提起した

・訴状は4件の請求(無断複製3件+DMCA違反1件)から構成され、損害賠償・差止め・学習データの開示・無断複製物の削除命令を求めている

・Google-Extended(robots.txt)は、今回争点となっている書籍の直接提供分・スクレイピング分のいずれの経路にも及ばないとされている

・Googleは訴状に対しコメントしておらず、裁判所もまだ判断を示していない。次の焦点はGoogle側の答弁または却下申立て

よくある質問

Q1: 今回の集団訴訟は誰が、いつ、どこに起こしたのか?

Hachette Book Group、Cengage Learning、Elsevierの出版社3社、作家のScott Turow氏、および同氏の会社S.C.R.I.B.E.が、2026年7月10日、米国ニューヨーク州南部地区連邦地方裁判所に提訴しました。同日、Association of American Publishers(米国出版社協会)がこの提訴を公表しています。

Q2: 訴訟の主な争点は何か?

Google Books、Play Books、Google Scholarなどを通じて提供された書籍・論文を、商用AIモデルであるGeminiの学習に使用したことが、提供時に想定されていた許諾の範囲を超えているかどうかが争点です。あわせて、海賊版サイトや有料購読制ライブラリ経由でCommon Crawlに取り込まれたとされる複製物についての著作権侵害、および著作権管理情報の削除に関するDMCA違反も主張されています。

Q3: robots.txtのGoogle-Extendedを設定していれば、この問題を回避できるのか?

報道によれば、今回問題となっている2つの経路、すなわち契約に基づき直接Googleへ提供された書籍データと、海賊版サイトなどを経由してCommon Crawlに取り込まれたとされるスクレイピングデータは、いずれもGoogle-Extendedの対象外であり、robots.txtの設定では制御できないとされています。

出典:Google Faces Class Action Over Books Used To Train Gemini(Search Engine Journal、2026年7月17日)https://www.searchenginejournal.com/google-faces-class-action-over-books-used-to-train-gemini/582708/

scale-basics編集部
監修

scale-basics編集部

SEO・AI検索最適化(AIO/LLMO/GEO)・Web制作の最前線で活動する専門チーム。テクニカルSEOからコンテンツ戦略、データ分析まで幅広い実務経験をもとに、最新のナレッジと実践的なノウハウを発信しています。

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