広告・PPC

Google広告がtCPA・tROASを独立した入札戦略として再分離――8月17日の変更を控えた画面刷新かとSearch Engine Landが報道【2026年7月】

Google広告がtCPA・tROASを独立した入札戦略として再分離――8月17日の変更を控えた画面刷新かとSearch Engine Landが報道【2026年7月】

Google広告(Google Ads)のキャンペーン作成画面で、目標コンバージョン単価(Target CPA)と目標広告費用対効果(Target ROAS)が、コンバージョン数の最大化(Maximize Conversions)やコンバージョン値の最大化(Maximize Conversion Value)に付随する「オプションの目標値」ではなく、独立した入札戦略の選択肢として表示されるようになっていると、Search Engine Land(Anu Adegbola氏、2026年7月28日付)が報じています。最初にこの表示を見つけたのはGoogle広告の専門家Natasha Kaurra氏で、LinkedInで画面を共有しました。記事は、入札戦略の動作そのものが変わったようには見えないとしつつ、キャンペーン設定をより直感的にする変更になり得ると評価しています。Googleがこのメニュー変更を公式に告知したことは記事時点で確認されておらず、広告主が自分のアカウント内で発見したものだとしています。

何が起きたか:入札戦略の選択メニューにtCPA・tROASが独立表示

Search Engine Landの記事(見出し:「Google Ads appears to separate Target CPA and Target ROAS bidding strategies(Google広告が目標CPAと目標ROASの入札戦略を分離したように見える)」)によると、一部の広告主のアカウントで、キャンペーン作成時の入札戦略の選択メニューが改訂されたものに切り替わっているのが確認されています。記事は、Googleがスマート自動入札(Smart Bidding)の目標値の見え方を高め、広告主にとって入札戦略の選択をより簡単にしようとしている可能性がある、と説明しています。

影響を受けたアカウントでは、目標コンバージョン単価(Target CPA、以下tCPA)と目標広告費用対効果(Target ROAS、以下tROAS)が、クリック数の最大化(Maximize Clicks)、コンバージョン数の最大化、コンバージョン値の最大化、目標インプレッションシェア(Target Impression Share)、個別クリック単価制(Manual CPC)と並ぶ、独立した入札戦略の選択肢として現れているとしています。最初にこの新しい選択肢を見つけたのは、Google広告の専門家であるNatasha Kaurra氏で、その画面をLinkedInで共有しました。

これまでとの違い:「まず最大化を選び、あとから目標値を足す」が不要に

従来、広告主は一般的にコンバージョン数の最大化またはコンバージョン値の最大化を先に選択し、そのうえで任意にtCPAやtROASの目標値を適用する、という手順を踏んでいました。記事は、今回の更新されたインターフェースによって、キャンペーン作成時にこれらの戦略がより目立つ形で提示されるようになったとしています。

Search Engine Landは「なぜ重要か」の節で、一見すると小さなインターフェースの変更であっても、広告主がキャンペーンをどう設定するかに影響し得ると指摘しています。そのうえで、tCPAとtROASを独立した選択肢として提示することは、これらが二次的な設定ではなく、別個の入札アプローチであることをより明確にする、と評価しています。

動作は変わらない:Google広告ヘルプが示す「ラベルだけの変更」

記事は、今回の変更が入札戦略の機能そのものを変えるようには見えないとしています。この点は、Google広告のヘルプ記事「Changes to how Smart Bidding strategies are organized for Search campaigns(検索キャンペーンにおけるスマート自動入札戦略の整理方法の変更)」の記載とも整合します。同ヘルプによれば、2026年6月から検索キャンペーンの入札戦略のラベル表記が更新され、「Maximize conversions with a Target CPA(目標CPAを設定したコンバージョン数の最大化)」は「Target CPA」へ、「Maximize conversion value with a Target ROAS(目標ROASを設定したコンバージョン値の最大化)」は「Target ROAS」へと表示が変わっていきます。

同ヘルプは、これらが「まったく同じ方法で機能する」ものであり、今回の変更は入札戦略の動作を変えない純粋な見た目上のラベル変更である、と明記しています。また、目標値を設定せずに使う場合のコンバージョン数の最大化やコンバージョン値の最大化については、名称・動作ともに変更の予定はないとしています。移行期間中は、管理画面・API・Google広告エディタ(Google Ads Editor)・モバイルアプリといった面ごとに更新のタイミングがずれるため、しばらくは新旧の表記が混在し得る点にも触れています。https://support.google.com/google-ads/answer/10353027?hl=en

背景:2026年8月17日の「目標厳格化」との関係

Search Engine Landは、今回の変更が今後のGoogle広告のアップデートへの下地を作っている可能性にも言及しています。Google広告のトレーナーであるCharlotte Osborne氏は、この改訂されたレイアウトが8月17日に予定されている変更に関連しているのではないか、tCPA・tROASとコンバージョン数の最大化・コンバージョン値の最大化を行き来したい広告主にとって、より分かりやすくするためではないか、との見方を示しています。

この8月17日の変更については、Google広告ヘルプ「Changes to target based bid strategies(目標ベースの入札戦略の変更)」が内容を説明しています。同ヘルプによれば、2026年8月17日以降、予算による制限(Limited by budget)を受けているtCPA・tROASのキャンペーンが、予算を調整した場合も含めて、より一貫して入札目標に沿った成果を出すようになります。例として、tCPAを10ドルに設定しているキャンペーンで直近の実測CPAが5ドルだった場合、何も変更しなければ8月17日以降は実測CPAが10ドルに近づいていく、と示されています。対象は検索、ショッピング、P-MAX(Performance Max)、デマンドジェネレーション、ディスプレイ、ホテル、旅行の各キャンペーンで、アプリキャンペーン、動画リーチキャンペーン、動画視聴キャンペーンは対象外とされています。https://support.google.com/google-ads/answer/17061251?hl=en

同ヘルプは広告主への推奨として、8月17日までに予算制限がかかっているキャンペーンを見直すこと、2026年7月6日提供開始の入札目標調整ツール(Bid Target Adjustment Tool)で目標値を直近の実績や事業目標に合わせること、コンバージョン数やコンバージョン値をより多く獲得したい場合は予算の増額を検討すること、予算を変更した後は1〜2回のコンバージョンサイクルを待って成果を評価することを挙げています。

実務への影響:SEO・PPC・GEO運用のどこに効くか

PPC運用の実務で言えば、今回の変更はまず「新規キャンペーンの設定手順」に効いてきます。これまでは、入札戦略としてコンバージョン数の最大化を選んだうえで、目標CPAのチェックボックスに気づいて初めて目標値を入れる、という二段構えでした。この構造は、目標値を入れ忘れたまま公開してしまう事故や、逆に「コンバージョン数の最大化」と「目標CPA」がまったく別物だという認識のズレを生みやすいものでした。独立した選択肢として並ぶことで、どちらの思想で運用するのかを最初の一手で意思決定することになります。

次に、社内やクライアントへのレポートの整合性です。Google広告ヘルプが述べているとおり、表記の更新は管理画面・API・Google広告エディタ・モバイルアプリで同時には行われません。自社のレポートツールやスプレッドシートが「Maximize conversions with a Target CPA」といった旧ラベルの文字列で入札戦略を判定している場合、表記が切り替わったタイミングで分類が崩れる可能性があります。ラベル文字列に依存した集計をしている場合は、新旧どちらの表記も拾えるようにしておくのが安全です。

そして最も影響が大きいのは、8月17日以降の予算制限キャンペーンです。予算に頭を押さえられた状態で目標を大きく上回る効率(たとえば目標CPAより安いCPA)を出してきたキャンペーンほど、変更後は目標値に引き寄せられ、CPAが上がる方向に動く可能性があります。目標値そのものが「上限」ではなく「目標」である以上、実績に対して緩すぎる目標を放置していたアカウントは、事前に目標値を実績寄りに引き締めておく必要があります。GEO(生成エンジン最適化)や自然検索の施策と併走している場合も、有料検索側のCPA・ROASの変動を「施策の効果」と誤読しないよう、8月17日を基準線としてレポートに注記しておくとよいでしょう。

所感

ここからは記事本文にはない、Scale Basics編集部の見解です。Scale Basics編集部としては、今回の分離は「機能の変更ではなく思想の再提示」だと捉えています。長らくGoogleは、tCPA・tROASを「最大化戦略に目標値を添えたもの」として一本化して見せてきました。それは自動入札を一つの箱にまとめる整理としては合理的でしたが、現場では「コンバージョン数の最大化にしておけば勝手に安く獲ってくれる」という誤解と、「目標CPAを入れた瞬間に配信が止まった」という体験が同居し続けてきました。ボリューム重視なのか、効率の目標重視なのかを最初に選ばせる形に戻すのは、運用の意思決定として素直です。

日本の事業会社にとって現実的な論点は、むしろ8月17日の方にあります。インハウス担当者と代理店が分業している体制では、予算制限がかかっているキャンペーンが「効率がよいから触っていない」という理由で放置されていることが少なくありません。そうしたキャンペーンほど今回の変更で数字が動きます。実測CPAと設定目標CPAの乖離が大きいキャンペーンを洗い出し、目標値を実績に近づけるのか、目標を維持したまま予算を増やして獲得数を取りにいくのかを、8月17日より前に社内で合意しておくことをおすすめします。変更後に数字が動いてから議論を始めると、担当者の運用ミスとして扱われかねません。

まとめ

・Google広告のキャンペーン作成画面で、目標コンバージョン単価(tCPA)と目標広告費用対効果(tROAS)が独立した入札戦略の選択肢として表示されるようになっていると、Search Engine Land(Anu Adegbola氏、2026年7月28日付)が報じた

・影響を受けたアカウントでは、クリック数の最大化、コンバージョン数の最大化、コンバージョン値の最大化、目標インプレッションシェア、個別クリック単価制と並ぶ独立した選択肢として表示され、従来のように「最大化戦略を選んでから目標値を任意で足す」手順が不要になっている

・最初に発見したのはGoogle広告の専門家Natasha Kaurra氏で、LinkedInで画面を共有した。このメニュー変更についてGoogleからの公式な告知は記事時点で確認されておらず、広告主が自分のアカウント内で見つけたものとされている

・Google広告ヘルプによれば、2026年6月から検索キャンペーンの入札戦略ラベルが順次更新され、動作は変わらない純粋な表示上の変更で、管理画面・API・エディタ・モバイルアプリで新旧表記が混在し得る

・Google広告トレーナーのCharlotte Osborne氏は、この画面変更が8月17日に予定されている変更に関連する可能性を指摘しており、同日以降は予算制限を受けたtCPA・tROASキャンペーンがより一貫して目標値どおりに動くようになる

よくある質問

Q1: 今回の表示変更で入札戦略の動作や成果は変わるのですか?

Search Engine Landは、今回の変更が入札戦略の機能そのものを変えるようには見えないとしています。Google広告ヘルプ「Changes to how Smart Bidding strategies are organized for Search campaigns」も、新旧のラベルは「まったく同じ方法で機能する」ものであり、入札戦略の動作を変えない純粋な見た目上のラベル変更だと明記しています。ただし、これとは別に2026年8月17日には予算制限を受けたキャンペーンの挙動に関する変更が予定されており、そちらは実際の成果に影響し得ます。

Q2: これまで「コンバージョン数の最大化+目標CPA」で運用してきたキャンペーンに操作は必要ですか?

表示変更そのものについては、Google広告ヘルプが動作は変わらないとしているため、ラベルが切り替わること自体への対応は不要です。ただし、入札戦略の名称を文字列で判定しているレポートツールやスプレッドシートを使っている場合は、新旧どちらの表記も拾えるようにしておくことをおすすめします。ヘルプによれば、管理画面・API・Google広告エディタ・モバイルアプリで更新のタイミングがずれるため、しばらくは表記が混在し得るとされています。

Q3: 2026年8月17日に予定されている変更とはどのようなものですか?

Google広告ヘルプ「Changes to target based bid strategies」によれば、2026年8月17日以降、予算による制限を受けているtCPA・tROASのキャンペーンが、予算を調整した場合も含めてより一貫して入札目標に沿った成果を出すようになります。例として、目標CPAが10ドルで直近の実測CPAが5ドルのキャンペーンは、何も変更しなければ実測CPAが10ドルに近づくと示されています。対象は検索、ショッピング、P-MAX、デマンドジェネレーション、ディスプレイ、ホテル、旅行の各キャンペーンで、アプリ・動画リーチ・動画視聴の各キャンペーンは対象外です。

出典:Google Ads appears to separate Target CPA and Target ROAS bidding strategies(Search Engine Land、Anu Adegbola氏、2026年7月28日)https://searchengineland.com/google-ads-appears-to-separate-target-cpa-and-target-roas-bidding-strategies-483786

scale-basics編集部
監修

scale-basics編集部

SEO・AI検索最適化(AIO/LLMO/GEO)・Web制作の最前線で活動する専門チーム。テクニカルSEOからコンテンツ戦略、データ分析まで幅広い実務経験をもとに、最新のナレッジと実践的なノウハウを発信しています。

編集部について詳しく見る →