何が起きたのか
Googleで「SVP of Knowledge and Information」を務めるNick Fox氏が、LinkedInおよびX(旧Twitter、短縮版)で、検索のAI機能に関する数値を発言したと報じられています。これは「AI検索によって、人々がウェブサイトへクリックしなくなるのではないか」という質問に答える形の投稿だったとのことです。Fox氏は次のように述べたと伝えられています。
「Actually, as we’ve shared before, we continue to send billions of clicks to the web every day through Search. And we’ve designed our AI features in Search to connect people to websites. In fact, we’re now sending billions of clicks to websites every week through AI features in Search alone – and we’re just getting started.」(実際、これまでも共有してきた通り、検索を通じて毎日数十億件のクリックをウェブに送り続けています。そして、検索内のAI機能は人々をウェブサイトへつなげるよう設計しています。実際、検索内のAI機能だけでも、毎週数十億件のクリックをウェブサイトに送るようになっています。そして、まだ始まったばかりです)
記事によると、「毎日数十億件」という数字はGoogleが以前から使ってきた表現であるとFox氏自身がタグ付けした一方、「AI機能経由で毎週数十億件」という数字にはそうした注記がなかったとのことです。
「毎日」と「毎週」、2つの数字の内訳
記事は、Googleが今回言及した2つの数字を次のように整理しています。
| 数字 | 対象 | 出所・時期 |
|---|---|---|
| 毎日数十億件のクリック | 検索全体(AI機能に限らない) | 2025年8月、検索担当VPのLiz Reid氏がブログ記事で同じ「毎日」の数字に言及。前年と比べて検索からの総オーガニッククリック数は「比較的安定している」と述べたが、正確な数値や内訳は示さなかったとのこと |
| 毎週数十億件のクリック | 検索内のAI機能経由に限定 | 2026年7月、Fox氏がLinkedIn/Xで言及。今回新たに示された数字 |
記事は、いずれの数字にも基準値(ベースライン)、分母、算出方法が示されておらず、Googleは公開時点で「毎週」の数字を裏付けるデータを公表していなかったと指摘しています。また、両方とも「billions(数十億)」という単位でしか示されていないため、AI機能経由の毎週の件数が検索全体の毎日の件数に対してどの程度の割合を占めるのかは分からないとのことです。記事によれば、2026年7月17日より前のGoogleのブログ投稿や幹部の発言を確認した限り、AI機能に絞ったクリック数の数字が示された例は見つからなかったとしています。
Search Consoleの新しいAIパフォーマンスレポートについて
記事は、Googleが一部のサイト運営者向けに、生成AIに関するパフォーマンスレポートをSearch Consoleに導入していると伝えています。このレポートは、通常のパフォーマンスレポートと同様に、ページ・国・デバイスなどの切り口とあわせて表示回数(インプレッション)を示すものの、クリックデータは含まれていないとのことです。この点について、Search Engine Journal自身も、Googleがオプトアウト機能を公開した際にクリックデータが伴っていなかったことを以前から指摘してきたと記事は述べています。
SEO・データ分析担当者はどう捉えるか
ここで重要なのは、今回Googleが示したのはあくまで「クリック数という可視化・計測に関する集計値」であり、個別サイトの検索順位(ランキング)が上がった・下がったという話とはまったく別物だという点です。記事も指摘する通り、この数字はGoogleがAI機能経由のトラフィックについて「開示してもよい」と判断した範囲を示しているに過ぎず、自社サイトの数値と突き合わせて検証できるものではありません。Search Consoleのレポートで確認できるのは自社ページの表示回数までであり、今回のFox氏の発言に対応する「クリック数」を自社データ側から裏付ける手段は現状ないと記事は説明しています。まずは自社のSearch Console上の表示回数・クリック数の推移を継続的に計測することが、実務上できる範囲だと言えます。
所感
Scale Basics編集部としては、今回の件は「Googleが数字を出した」ことよりも「その数字の中身が分からない」ことの方が重要だと捉えています。基準値も算出方法もない集計値は、良いニュースにも悪いニュースにも読めてしまい、個々のサイト運営者の実務判断にはそのまま使えません。記事にもある通り、Search ConsoleのAIパフォーマンスレポートに今後どのような指標が追加されるかが、実務上の検証可能性を左右する次の焦点になりそうです。順位への影響を語る材料としてではなく、計測環境がどう整備されていくかという観点で、今後の発表を追っていきたいと考えています。
まとめ
・Google幹部のNick Fox氏が、検索のAI機能経由で「毎週数十億件」のクリックをサイトに送っていると発言したと報じられています。
・あわせて、検索全体で「毎日数十億件」のクリックを送っているという従来からの主張も繰り返されました。
・いずれの数字にも基準値・分母・算出方法は示されておらず、自社サイトの実績と直接比較することはできません。
・Search Consoleの新しい生成AIパフォーマンスレポートは表示回数のみを示し、クリックデータは含まれていません。
よくある質問
Q1: Googleが発表した「AI検索経由で毎週数十億クリック」とはどのような数字ですか?
Googleで「SVP of Knowledge and Information」を務めるNick Fox氏が、LinkedInとXで発言したとされる数字で、検索のAI機能経由で毎週「billions(数十億)」件のクリックがウェブサイトに送られているという内容です。基準値・分母・算出方法は示されておらず、公開時点でこの数字を裏付ける詳細データも公表されていませんでした。
Q2: この数字を自社サイトのトラフィックと比較できますか?
できません。記事によれば、この数字にはベースラインや分母、算出方法が示されておらず、Google全体の集計値であるため、個別サイトの実績と突き合わせて検証することはできないと説明されています。
Q3: Search ConsoleでAI経由のクリック数を確認できるようになりましたか?
まだです。Googleは一部のサイト運営者向けに生成AIパフォーマンスレポートを導入していますが、現状ではページ・国・デバイス別の表示回数(インプレッション)のみを示し、クリックデータは含まれていません。Googleは今後段階的に指標を追加していくとしていますが、具体的な指標や時期は示されていません。
出典:Google Puts A Number On AI Search Clicks, Without The Data(Search Engine Journal、2026年7月18日)https://www.searchenginejournal.com/google-puts-a-number-on-ai-search-clicks-without-the-data/582755/