何が起きたのか
Googleは、ユーザートリガー型フェッチャー(user-triggered fetchers)の一覧ドキュメントを更新し、「NotebookLM」の名称変更を反映させました。これに伴い、これまで「Google-NotebookLM」という名称で識別されていたフェッチャーは「Google-GeminiNotebook」に改称されています。旧UAをrobots.txtやその他の用途でハードコードしていたサイト運営者には数週間の移行期間が設けられており、旧UAは2026年8月まで機能が継続されるとされています。Googleは変更履歴で「コード内に旧値をハードコードしている場合は、不具合を避けるため文字列を更新してください。スムーズな移行のため旧値も引き続きサポートします」と説明しています。
ユーザーエージェント変更とAIスクレイピングへの懸念
新旧ユーザーエージェント文字列
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 旧UA(2026年8月まで併存) | Google-NotebookLM |
| 新UA(モバイル) | Mozilla/5.0 (Linux; Android 10; K) AppleWebKit/537.36 (KHTML, like Gecko) Chrome/138.0.0.0 Mobile Safari/537.36 (compatible; Google-GeminiNotebook; +https://developers.google.com/crawling/docs/crawlers-fetchers/google-gemininotebook) |
| 新UA(デスクトップ) | Mozilla/5.0 (X11; Linux x86_64) AppleWebKit/537.36 (KHTML, like Gecko) Chrome/137.0.0.0 Safari/537.36 (compatible; Google-GeminiNotebook; +https://developers.google.com/crawling/docs/crawlers-fetchers/google-gemininotebook) |
Search Engine Roundtableによると、Google-NotebookLMというボットは2026年10月ではなく2025年10月に最初に追加されたもので、今回それが「Gemini Notebook」向けの名称に改められた形です。Twitter(X)上でもShauvik Kumar氏がこの変更を指摘し、「ログでユーザーエージェントを確認している場合はGoogle-GeminiNotebookも対象に含める必要がある」と投稿しています。
なぜスクレイピング露出の懸念が指摘されているのか
Search Engine Journalの解説では、Gemini Notebookのフェッチャーは「ユーザートリガー型フェッチャー」に分類され、ユーザーの操作によって起動するためrobots.txtの指示には従わないとされています。Gemini Notebookの「Discover Sources」機能は、ユーザーが指定したクエリやトピックに対し最大10件のソースをサイト所有者の許可なく自動的にスクレイピングし、AIによる要約を生成しますが、参照(リファラル)トラフィックは発生しません。さらに、音声・動画の概要生成機能はオンラインコンテンツをポッドキャストや動画解説に変換する仕組みで、その出力がオンラインで使われた場合、元のソースコンテンツと競合し得るとされています。同記事は、こうした挙動はGemini Notebookの意図された機能であり、出典元への帰属表示なしにスクレイピングと二次コンテンツ生成を自動化していると説明しています。ブロックしたいサイト運営者は、ファイアウォールルールや.htaccessでの制御が必要で、記事では以下のような設定例が紹介されています。
| 設定内容 | コード例 |
|---|---|
| .htaccessでGoogle-GeminiNotebookをブロックする例 | RewriteEngine On # Block Google-GeminiNotebook RewriteCond %{HTTP_USER_AGENT} Google-GeminiNotebook [NC] RewriteRule ^ – [F,L] |
その他のドキュメント変更点
同じ更新の中で、2026年5月に廃止された「Project Mariner」への言及もドキュメントから完全に削除されています。従来「Google-Agent」の説明文に例示として含まれていた「(for example, Project Mariner)」という記述が削除された形で、それ以外の説明内容は変わっていません。また、旧来の「Google-NotebookLM」の説明セクションも文書から完全に削除され、「Gemini Notebook」向けの新しい説明に置き換えられています。
SEO・GEO担当者はどう捉えるか
今回の変更は検索順位(ランキング)に直接影響するものではなく、Google検索の表示回数やクリック数といった計測データにも直接関係しません。あくまで、AIツールによるコンテンツの二次利用・スクレイピング露出をどうコントロールするかという、アクセス制御・コンテンツ保護の論点です。robots.txtはユーザートリガー型フェッチャーに対しては指示(ディレクティブ)として機能しないため、Discover Sourcesや音声・動画概要機能によるコンテンツの再利用を制限したい場合は、ファイアウォールや.htaccessでのアクセス制御が唯一の実効的な手段になります。ログ解析やアクセス監視でUAをフィルタリングしている場合は、旧UA「Google-NotebookLM」と新UA「Google-GeminiNotebook」の両方を対象に含める必要があります。
所感
Scale Basics編集部としては、今回の件はAIエージェント・AIツールの名称変更という表面的な出来事の裏に、「ユーザーが起動したクローラー・フェッチャーはrobots.txtに従わない」という構造的な論点が横たわっている点に注目しています。生成AIツールが日常的にウェブページを取得・要約・再構成する時代において、サイト運営者がコンテンツの二次利用範囲をコントロールする手段は、robots.txtのような伝統的な仕組みだけでは不十分になりつつあります。名称変更そのものよりも、こうしたアクセス制御の見直しを定期的に行う運用体制を整えることの方が重要だと考えます。
まとめ
・GoogleはNotebookLMを「Gemini Notebook」に改称し、ユーザーエージェントも「Google-NotebookLM」から「Google-GeminiNotebook」に変更した。
・旧UA「Google-NotebookLM」は移行期間として2026年8月まで引き続きサポートされる。
・Gemini Notebookのフェッチャーはユーザートリガー型のためrobots.txtに従わず、ブロックにはファイアウォールや.htaccessの設定が必要。
・Discover Sources機能や音声・動画概要生成機能は、サイト所有者の許可なくコンテンツをスクレイピング・再利用する点が懸念されている。
よくある質問
Q1: NotebookLMのユーザーエージェントはいつまで使えますか?
旧ユーザーエージェント「Google-NotebookLM」は移行期間として2026年8月まで引き続きサポートされます。それ以降に備え、コード内に旧UAをハードコードしている場合は新しい「Google-GeminiNotebook」への更新が推奨されています。
Q2: Gemini Notebookのフェッチャーはrobots.txtに従いますか?
従いません。Gemini Notebookのスクレイパー・クローラーは「ユーザートリガー型フェッチャー」に分類され、ユーザーの操作によって起動するためrobots.txtの指示には従いません。ブロックするにはファイアウォールルールや.htaccessの設定が必要です。
Q3: なぜGemini Notebookによるスクレイピングが懸念されているのですか?
Discover Sources機能はユーザーが指定したクエリやトピックに対し最大10件のソースをサイト所有者の許可なく自動収集してAI要約を生成しますが、参照トラフィックは発生しません。また音声・動画の概要生成機能はオンラインコンテンツをポッドキャストや動画解説に変換し、その出力が元のソースコンテンツと競合する可能性があるためです。
出典:Google NotebookLM Rebrand May Expose Your Site To More AI Scraping(Search Engine Journal、2026年7月18日)https://www.searchenginejournal.com/google-notebooklm-rebrand-may-expose-your-site-to-more-ai-scraping/582775/
出典:Google Renames NotebookLM Useragent To Google-GeminiNotebook(Search Engine Roundtable、2026年7月17日)https://www.seroundtable.com/google-renames-notebooklm-gemininotebook-41704.html