何が起きたか:Mike Ryan氏がショッピング広告の「逆クロコダイル効果」を指摘
Search Engine RoundtableのBarry Schwartz氏が2026年9月7日に報じたところによると、Smarter EcommerceのMike Ryan氏がLinkedIn上で、Googleショッピング広告に関する新しいデータを公開しました。それによると、ショッピング広告は表示回数が減る一方でクリック率(CTR)は上昇しているといいます。Ryan氏はLinkedInで次のように投稿しています。
Here's an odd one. Ever since AIOs launched, publishers have been gaining impressions and losing clicks: the dreaded SEO "crocodile effect." For Shopping ads, it's the opposite. But why?
日本語にすると「これは奇妙な話だ。AIOが登場して以来、パブリッシャーは表示回数を増やしながらクリックを失ってきた――恐れられているSEOの『クロコダイル効果』だ。ショッピング広告ではその逆が起きている。なぜだろうか」という内容です。Search Engine Roundtableは、この現象を「Googleショッピング広告における『逆クロコダイル効果(reverse crocodile effect)』と呼べる」と説明しています。
「クロコダイル効果」とは何か:オーガニック検索で先に起きていた現象
Search Engine Roundtableによれば、多くの人が「クロコダイル効果(crocodile effect)」、別名「グレート・デカップリング(great decoupling)」と呼ばれる現象を経験してきたといいます。記事はこの状況を次のように説明しています。
Since Google added AI Overviews to Google Search, many of us have been experiencing what some call the crocodile effect, also known as the great decoupling.
日本語にすると「GoogleがGoogle検索にAIオーバービューを追加して以来、多くの人が『クロコダイル効果』、別名『グレート・デカップリング』と呼ばれる現象を経験してきた」という内容です。しかし今回のデータは、Googleショッピング広告ではこれと逆の動きが起きている可能性を示している、とSearch Engine Roundtableは伝えています。
データの中身:1,750億件のインプレッションが示す数値
Search Engine Roundtableによれば、今回のデータは1,750億件のインプレッションを含む大規模なものです。記事は次のように伝えています。
This includes 175 billion impressions, so it is a lot of data. And it shows that between mid-2025 and mid-2026, median Shopping ad impressions fell from roughly 1.85 million to 1.4 million, while median click through rate climbed from 1.20% to nearly 1.55%.
日本語にすると「これは1,750億件のインプレッションを含んでおり、非常に多くのデータだ。そして2025年半ばから2026年半ばにかけて、ショッピング広告の表示回数(中央値)は約185万から140万に減少し、クリック率(中央値)は1.20%から1.55%近くまで上昇したことを示している」という内容です。記事にはこの推移を示すグラフも掲載されていますが、グラフの詳細な内訳は明示されていません。
なぜ逆転が起きるのか:Ryan氏が示した仮説
この逆転現象がなぜ起きているのか、Ryan氏は自身の仮説をLinkedIn上で述べています。まず1つ目の投稿です。
Google checks the predicted CTR of a given query and serves AIOs preferentially for lower-probability queries in order to preserve revenue. Thus CTR climbs partly due to a shrinking denominator (fewer impressions) and partly due to selection/pruning (higher click propensity).
日本語にすると「Googleは各クエリの予測CTRを確認し、収益を維持するために、クリックされる確率が低いクエリに対して優先的にAIOを表示している。そのためCTRの上昇は、一部は分母(表示回数)が縮小したことによるものであり、一部は選別・間引き(クリックされやすいクエリが残ること)によるものだ」という内容です。続けてRyan氏は次のようにも述べています。
If true, I'd view this as a bridging strategy. They'll shift the balance from more "either/or" experiences toward more "both/and" experiences. This will particularly as Google launches AI-native formats with higher predicted CTR, and scales the presence of Shopping ads *in* AIOs.
日本語にすると「もしこれが正しければ、私はこれを『橋渡し(ブリッジング)戦略』だと捉えている。Googleは、AIOか広告かという『どちらか一方』の体験から、両方が併存する体験へとバランスを移していくだろう。特に、予測CTRがより高いAIネイティブな形式をGoogleが投入し、AIOの中にショッピング広告の存在を拡大していくにつれて、その傾向は強まるだろう」という内容です。Ryan氏はあくまで自身の仮説として提示している点には注意が必要です。
現場への意味(編集部の見解)
ここからは、報道内容を踏まえた編集部の整理です。今回のデータが示すのは、少なくともGoogleショッピング広告というチャネルに関しては、表示回数の減少がそのままクリック率の低下につながっているわけではない、という点です。表示回数(中央値)が約185万から140万へと減った一方でCTR(中央値)は1.20%から1.55%近くまで上昇しているという数字は、広告の表示機会そのものが絞られていても、残った表示機会の質が上がっている可能性を示唆します。
ただしRyan氏自身が述べている通り、これは1つの仮説にすぎません。予測CTRの低いクエリに優先的にAIOが表示されているという説明が事実であれば、表示回数の減少という指標だけを見て機会損失と判断するのではなく、CTRやその先の成果指標もあわせて確認することが重要になりそうです。
まとめ
・Search Engine RoundtableのBarry Schwartz氏が2026年9月7日に報じた内容
・Smarter EcommerceのMike Ryan氏がLinkedInで、Googleショッピング広告に「逆クロコダイル効果」が起きているとするデータを公開した
・オーガニック検索で知られる「クロコダイル効果(グレート・デカップリング)」とは逆に、ショッピング広告では表示回数が減りCTRが上がっている
・データは1,750億件のインプレッションに基づき、2025年半ばから2026年半ばにかけて表示回数(中央値)は約185万から140万に減少、CTR(中央値)は1.20%から1.55%近くまで上昇した
・Ryan氏は、Googleが予測CTRの低いクエリに優先的にAIオーバービューを表示しているのではないかという仮説を示した
・これはRyan氏個人の分析であり、Google公式の説明ではない
よくある質問
Q1: 「逆クロコダイル効果」とは何ですか?
Search Engine RoundtableのBarry Schwartz氏が2026年9月7日に報じた用語で、Googleショッピング広告において、AIオーバービュー(AIO)の拡大に伴い、広告の表示回数(中央値)が減少する一方でクリック率(CTR、中央値)が上昇するという現象を指します。オーガニック検索で見られる、表示回数は増えるがクリックが減る「クロコダイル効果(グレート・デカップリング)」とは逆の動きであることから、この呼び方がされています。
Q2: どのくらいの規模のデータに基づいていますか?
Smarter EcommerceのMike Ryan氏がLinkedInで公開したデータで、1,750億件のインプレッションが対象とされています。2025年半ばから2026年半ばにかけて、Googleショッピング広告の表示回数(中央値)は約185万から140万に減少し、CTR(中央値)は1.20%から1.55%近くまで上昇したと報告されています。
Q3: なぜこのような逆転現象が起きているのですか?
Ryan氏は自身の仮説として、Googleが各クエリの予測CTRを確認し、収益を維持するために予測CTRが低いクエリに優先的にAIオーバービューを表示しているのではないか、と述べています。これが正しければ、表示回数という分母が縮小したことと、クリックされやすいクエリが選別されたことの両方によって、CTRが上昇して見えることになります。ただしこれはRyan氏個人の仮説であり、Google公式の説明ではない点に注意が必要です。
出典:Google Shopping Ads Have A Reverse Crocodile Effect With AI Overviews(Search Engine Roundtable、Barry Schwartz氏、2026年9月7日)https://www.seroundtable.com/google-shopping-ads-imp-ctr-42021.html