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ChatGPT利用の拡大で従来型検索が約9%減 — ボッコーニ大学のクリックストリーム分析が示すこと

ChatGPT利用の拡大で従来型検索が約9%減 — ボッコーニ大学のクリックストリーム分析が示すこと

2026年7月13日、Search Engine JournalのMatt G. Southern氏が、イタリア・ボッコーニ大学(Bocconi University)の研究を紹介しました。Comscoreのクリックストリームデータ(米国のデスクトップ閲覧)を分析したもので、ChatGPT検索へのアクセスが広がると、人々の従来型(Google等)検索の回数が減っていく——という傾向を数値で示しています。AI検索がユーザー行動を実際にどう変えつつあるのかを、具体的な数字で確認できる貴重なデータです。本記事では主要な数値と、SEO担当者としての読み方を整理します。

研究の概要 — 何を、どう測ったのか

この研究はボッコーニ大学が実施し、Comscoreのクリックストリームデータ(米国デスクトップの閲覧履歴)を用いています。分析対象の期間には、ChatGPT検索へのアクセスが段階的に拡大していった局面(2024年10月〜2025年2月)が含まれます。つまり「ChatGPT検索が使える人が徐々に増えていく」過程で、人々の検索行動がどう変化したかを追った内容です。

研究者自身は、この分析について「我々が測定しているのは観測可能なトラフィック配分の変化であって、消費者余剰やパブリッシャーの収益、長期的なコンテンツ生産量ではない」と明言しています。あくまで「トラフィックの流れがどう変わったか」を測ったもの、という前提を押さえておく必要があります。

主要な数値

報告されている具体的な数字は次のとおりです。

指標 数値
ChatGPTがユーザーをWebサイトへ誘導したセッションの割合 5.2%(Google検索は31.1%)
ChatGPTアクセス拡大による週次の従来型検索クエリの減少 9.4%減
同・20週後の減少幅 17%減
既存のChatGPTユーザーに限った場合の減少(平均) 4.9%減 → 20週後には8.2%減
学術研究系サイトへの参照(リファラル)の減少 32.8%減
リファレンス系サイトへの参照の減少 26.5%減
測定期間中のChatGPTの月次リファラル率 約2.5% → 約6.5%へ上昇
広告収益型サイトが受け取るChatGPTリファラルの少なさ 27.6ポイント少ない

注目すべきは、ChatGPTがWebサイトへ人を送り出す頻度(5.2%)が、Google検索(31.1%)よりかなり低い点です。AI検索は回答内で完結しやすく、外部サイトへのクリックが起きにくい——いわゆる「ゼロクリック」の傾向が数字にも表れています。

どんなサイトに流れが向かうのか

研究によれば、ChatGPTは訪問者をリファレンス系・学術系・開発者向け・ナレッジ系のサイトへ誘導する傾向がある一方、広告収益型のプラットフォームには向かいにくいとされています。対照的に、GoogleのリファラルはYouTube・Reddit・Wikipediaのような人気のある行き先に偏る傾向がある、と整理されています。つまりAI検索と従来型検索とでは、送客先の性質そのものが異なる可能性が示唆されています。

SEO担当者はどう活かすか

「これは順位の話ではない」と切り分ける

この研究が示すのは検索エンジンのランキング(掲載順位)が変わったという話ではなく、ユーザーの検索行動とトラフィックの配分が変わったという話です。「順位が下がった」ではなく「そもそも従来型検索を使う回数が減った・クリックが減った」という、母数側の変化として理解する必要があります。両者を混同すると打ち手を誤ります。

流入チャネルの多様化を前提に置く

Google検索経由のクリックだけを成果指標にしていると、AI検索経由の接点を取りこぼします。自社サイトがリファレンス・ナレッジとして参照される価値を持てているか、という観点でコンテンツを見直す余地があります。

「回答されて終わり」を想定した設計

AI検索は回答内で完結しやすいため、クリックされなくてもブランド名や要点が伝わる書き方(明確な定義・要約しやすい構造)を意識することが、露出面での防御になります。

所感 — 「順位」より「行動の変化」を見る局面へ

この研究の価値は、AI検索の影響を印象論ではなく実データで示した点にあります。ただし対象は米国デスクトップに限られ、研究者自身も「測っているのはトラフィック配分の変化だけ」と慎重に線を引いています。数字を過大にも過小にも解釈せず、「従来型検索の利用回数そのものが緩やかに減りうる」という前提を織り込んでおくのが実務的でしょう。Scale Basics編集部としては、順位トラッキングだけでなく、AI検索経由の露出や指名検索・直接流入の推移も併せて見る運用へ、少しずつ計測の軸を広げていくことを勧めます。

まとめ

・ボッコーニ大学がComscoreのクリックストリーム(米国デスクトップ)を分析(SEJ 2026年7月13日報道)

・ChatGPTアクセスの拡大で週次の従来型検索クエリが9.4%減、20週後には17%減

・既存ChatGPTユーザーでも平均4.9%減、20週後8.2%減

・ChatGPTがWebへ送客するのは5.2%のセッション(Googleは31.1%)でゼロクリック傾向が強い

・これは順位変動ではなく検索行動・トラフィック配分の変化。順位の話と切り分けて捉える

よくある質問

Q1: この「9%減」は検索順位が下がったという意味ですか?

いいえ。これは検索エンジンの掲載順位が変わったという話ではなく、ChatGPT検索を使える人が増えると従来型検索を行う回数(クエリ数)が減る、という利用行動・トラフィック配分の変化を示した数値です。具体的には週次の従来型検索クエリが9.4%減、20週後には17%減と報告されています。

Q2: この研究はどの範囲を対象にしていますか?

ボッコーニ大学がComscoreのクリックストリームデータ(米国のデスクトップ閲覧)を用いて分析したものです。研究者自身が「測定しているのは観測可能なトラフィック配分の変化であり、収益やコンテンツ生産量ではない」と明言しています。範囲を踏まえて解釈する必要があります。

Q3: ChatGPTはどんなサイトに人を送りやすいのですか?

研究によれば、リファレンス系・学術系・開発者向け・ナレッジ系のサイトへ誘導する傾向があり、広告収益型サイトには向かいにくいとされています。一方GoogleのリファラルはYouTube・Reddit・Wikipediaなどに偏る傾向があると整理されています。

出典:Search Engine Journal「ChatGPT Access Tied To 9% Drop In Traditional Search」(Matt G. Southern、2026年7月13日)https://www.searchenginejournal.com/chatgpt-access-tied-to-9-drop-in-traditional-search/582167/

scale-basics編集部
監修

scale-basics編集部

SEO・AI検索最適化(AIO/LLMO/GEO)・Web制作の最前線で活動する専門チーム。テクニカルSEOからコンテンツ戦略、データ分析まで幅広い実務経験をもとに、最新のナレッジと実践的なノウハウを発信しています。

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