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AIモードは外部サイトへのクリックを減らすとのドラフト論文、体験の改善も確認されず【2026年9月】

AIモードは外部サイトへのクリックを減らすとのドラフト論文、体験の改善も確認されず【2026年9月】

Search Engine JournalのRoger Montti氏が2026年9月21日、GoogleのAI検索に関する研究論文を紹介する記事を公開しました。取り上げられたのは、ペンシルベニア大学と、マサチューセッツ州のノースイースタン大学の研究者による2026年8月公開のドラフト論文です。ドラフト論文とは、査読を経て確定した最終版ではなく、公開して意見を募る段階の草稿を指します。1,444人が参加し、うち1,100人の検索を7日間追跡したランダム化フィールド実験にもとづき、AIモードが外部サイトへのクリックを減らし、利用者の満足度も改善しなかったと報告されています。ただし実験は途中で技術的な問題を抱えており、そこも含めて読む必要があります。

何が起きたか:AIモードが外部サイトへのクリックを減らすとする研究論文

論文の題名は『AI in Search Reduces Publisher Referrals Without Improving User Experience: Experimental Evidence』です。個々の研究者の氏名は出典に記載がないため、本記事でも挙げません。Search Engine Journalが挙げている主な発見は次の4点です。

・GoogleのAI検索機能はウェブサイトへのトラフィックを減らす

・GoogleのAIモードは貧弱なユーザー体験をもたらし、利用者のGoogle検索への満足度を下げた

・AIによる概要(AI Overviews)を取り除くと、Google検索体験に検出可能な低下を生じさせることなく、ウェブサイトへのクリックが増えた

・AIモードは利用者をGoogleの検索体験の中により長くとどめ、AIモードがない場合よりもウェブサイトへ送り出す頻度が少ない

いずれも研究者の結論ですが、具体的な変化量は出典に示されていません。

研究の方法:ブラウザ拡張で7日間の検索を追跡したランダム化フィールド実験

ランダム化フィールド実験とは、参加者を無作為(ランダム)に条件へ割り当て、実験室ではなく実際の生活環境での行動を観察する手法です。規模と計測は次のとおりです。

・参加者として登録されたのは1,444人、うち検索が追跡されたのは1,100人で、実験期間は7日間。うち956人が実験後の調査に回答した

・計測はブラウザの拡張機能で行い、閲覧履歴とGoogle検索結果ページのスナップショットを収集した

これにより、検索、クリック、AIによる概要が表示されたか、サイトへ進んだかを把握できたとされています。参加者が目にする検索体験は、次の3条件に無作為化されました。

・Forced Regular Google Search:AIによる概要は非表示にされ、AIモードの検索は通常のGoogle検索へリダイレクトされる

・Natural Google Behavior:Googleが通常どおり動作し、Googleが表示を選んだ場合はAIによる概要も含まれる

・Forced AI Mode Search:検索がAIモードへリダイレクトされる

報告された主な発見と、読むときに外せない3つの限界

出典によれば、AIモードへリダイレクトされた被験者は外部サイトへクリックする可能性が大幅に低く、AIによる概要が取り除かれるとクリックは増えました。CTR(クリック率。表示回数のうちクリックされた割合)を扱った箇所ですが、増減の数値は示されていません。乗り換えについては研究者の観察が引用されています。

Assignment to AI Mode Search significantly increased the fraction of users searching on a competitor engine (Bing, DuckDuckGo, or Yahoo) and intention to switch to Bing…

日本語にすると「AIモード検索への割り当ては、競合エンジン(Bing、DuckDuckGo、Yahoo)で検索する利用者の割合と、Bingへ乗り換える意向を有意に増加させた」という内容です。

検索回数は研究者の予想と逆でした。AIモードは検索活動を増やすと予測されていましたが、割り当てられた人は検索セッションの回数が少なくなりました。一方、AIなしの検索への接触が1日あたりの検索セッションに影響した証拠は見つかっていません。受け止め方では、AIモードはGoogle検索への感じ方を悪化させ、信頼や有用・満足という認識も下げました。ただしニュース関連の検索では明確な差はなく、効果は全利用者でおおむね似ていた一方、ヘビーユーザーでは減り方がより強く出たとされています。

読むうえで、出典に書かれた事実のうち外せない前提が3つあります。

・査読を経た最終版ではなく、ドラフト論文(draft paper)である

・AIを取り除くNo AI条件の介入が、実験の途中で機能しなくなった

・追跡期間は7日間、追跡された参加者は1,100人という規模である

2点目について、論文は次のように説明します。

During the experiment period, 94.7% of searches in the AI Mode group were successfully routed to AI Mode. In the No AI condition, 90% of AI Overviews were successfully hidden on the first intervention day, but the success rate declined to 0% as the experiment progressed. The cause of this breakdown was a change to AI Overview HTML rolled out by Google during the study period that broke our extension’s logic for identifying and hiding AI Overviews.

日本語にすると「実験期間中、AIモード群の検索の94.7%はAIモードへ問題なくルーティングされた。No AI条件では、介入の初日にAIによる概要の90%が問題なく非表示にされたが、実験が進むにつれて成功率は0%まで低下した。この破綻の原因は、調査期間中にGoogleが展開したAIによる概要のHTMLの変更であり、これがAIによる概要を識別して非表示にする我々の拡張機能のロジックを壊した」という内容です。

出典はさらに、全体ではAIによる概要の51.1%が非表示にされ、中央値の参加者では50%が非表示にされたと記しています。AIモード側は94.7%が意図どおり動いた一方、AIを取り除く側は半分程度しか動いていません。「AIによる概要を外したらクリックが増えた」という発見は、概要が半分は表示されたままの状態との比較として読む必要があります。

なお出典には、研究の紹介にとどまらない評価も書かれています。同記事は、この発見がGoogleの主張と真っ向から矛盾すると述べ、Liz Reid氏からCEOのSundar Pichai氏に至るまでGoogleは一貫して利用者がAIモードに満足していると言っているとしたうえで、その主張はすべて嘘なのかと問いかけています。これは筆者Montti氏の見立てで、研究者の結論ではありません。

現場への意味(編集部の見解)

ここからは編集部の整理です。この研究をそのまま「AIモードは流入を減らす」という断定の根拠に使うのは早すぎます。出典の内容には、ドラフト論文であること、AIを取り除く条件の介入が途中で壊れて成功率が51.1%にとどまったこと、追跡が7日間・1,100人規模であることという3つの制約が付きます。社内やクライアントへ伝えるなら、必ずこの3点も添えてください。

それでも押さえる価値はあります。AIモードに割り当てられた被験者のクリックが大幅に減ったという方向性は、実際の検索行動を追跡した実験から出てきたものです。ここからは編集部の推測ですが、AIモード経由のセッションを従来の検索流入と同じ前提で語ると社内の見通しがずれかねず、流入元として扱うなら別系統で数えたほうが安全でしょう。出典はこの点に触れていません。

社内説明の線引きは明確です。研究者の結論と言えるのは、この実験の範囲でAIモードがクリックを減らし満足度を改善しなかった点までです。「Googleの主張と矛盾する」という評価はMontti氏の見立てです。両者を同じ文に混ぜないことが安全です。

まとめ

・Search Engine Journalが2026年9月21日、ペンシルベニア大学と、マサチューセッツ州のノースイースタン大学の研究者による2026年8月公開のドラフト論文を紹介した

・1,444人が参加し、うち1,100人の検索をブラウザ拡張で7日間追跡した実験で、956人が実験後の調査に回答した

・AIモードへのルーティングは94.7%成功した一方、No AI条件の非表示は初日の90%から0%まで低下し、全体では51.1%、中央値の参加者で50%にとどまった

・主な発見は、AI検索機能がサイトへの流入を減らし、AIモードが体験と満足度を下げ、AIによる概要を外すとクリックが増えたこと。具体的な変化量は出典にない

・AIモードへの割り当ては競合エンジン(Bing、DuckDuckGo、Yahoo)での検索とBingへの乗り換え意向を有意に増やした

・「Googleの主張と直接矛盾する」という評価はSearch Engine JournalのRoger Montti氏の見立てであり、研究者の結論ではない

よくある質問

Q1: この研究は、AIモードが流入をどれだけ減らすかを示していますか?

出典に具体的な変化量は示されていません。AIモードへリダイレクトされた被験者のクリックが大幅に減り、AIによる概要を取り除くとクリックが増えたことは伝えられていますが、数値には触れていないため、減少幅を数字で語ることはできません。

Q2: この研究の結果はそのまま信頼してよいですか?

出典自身が3つの制約を示しています。第一に、査読を経た最終版ではなくドラフト論文です。第二に、No AI条件は調査期間中にGoogleがAIによる概要のHTMLを変更したことで拡張機能のロジックが壊れ、非表示の成功率が初日の90%から0%まで低下し、全体では51.1%、中央値の参加者で50%にとどまりました。第三に、追跡は7日間、参加者は1,100人という規模です。3点を添えずに結論だけ引用するのは避けたいところです。

Q3: 「GoogleはAIモードについて嘘をついているのか」という話は、研究者の結論ですか?

いいえ。Search Engine Journalの筆者Roger Montti氏の見立てです。同記事は、この発見がGoogleの主張と真っ向から矛盾すると書き、Liz Reid氏からCEOのSundar Pichai氏に至るまでGoogleが一貫して利用者はAIモードに満足していると述べているとしたうえで、その主張はすべて嘘なのかと問いかけています。研究者の結論は、AIモードがクリックを減らし満足度を改善しなかった範囲までです。

出典:Research Shows Google AI Mode Sends Less Clicks & Is A Poor User Experience(Search Engine Journal、Roger Montti氏、2026年9月21日)https://www.searchenginejournal.com/research-shows-google-ai-mode-sends-less-clicks-is-a-poor-user-experience/590221/

SEO基礎おじ
執筆・監修

SEO基礎おじ

フリーランスのWeb制作者/SEO実務者(実務歴3年以上)。HTML・CSS・JavaScript・WordPressを自分で実装する立場から、テクニカルSEO・構造化データ・GA4/Search Consoleの計測設計までを一人で担当しています。当サイトを実験台にして、施策の効果は自分で取った実測データで検証してから記事にしています。「SEO基礎おじ」は筆名です。

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