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Google決算説明会が示した検索とAIの次――売上24%増・クラウド87%増の裏で「検索はエージェント管理者へ」【2026年7月】

Google決算説明会が示した検索とAIの次――売上24%増・クラウド87%増の裏で「検索はエージェント管理者へ」【2026年7月】

Googleが直近の決算説明会(earnings call)で示した検索とAIの方向性について、SEOコンサルタントのMarie Haynes氏がSearch Engine Journal(2026年7月28日付)に寄稿しています。記事の主題は、AI Overviewsの表示回数のような外形的な利用データではなく、決算説明会で開示された数値と経営陣の発言そのものです。Haynes氏は、IPOから20年で初めてフリーキャッシュフローがマイナスに転じた点を多くの人が問題視している一方、自身はGoogleが大きな改善へ向かう軌道に乗っていると考えるとした上で、売上高の前年同期比24%増、ネットワーク広告収益の1%減とクラウド収益の87%増、AI Overviewsを支えるモデルの交代、そしてコンピュート(計算資源)配分の最優先事項に関する発言を挙げています。本稿では、その内容を出典に沿って整理し、日本のSEO・PPC担当者が何を読み取るべきかをまとめます。

何が起きたか:決算説明会から読み取れた検索とAIの方向性

Search Engine Journalに掲載された記事(見出し:「The Future Of Search & AI: What I Learned From Google’s Latest Earnings Call(検索とAIの未来:Googleの直近の決算説明会から私が学んだこと)」)で、Marie Haynes氏はGoogleが直近の決算説明会で「検索とAIの未来について興味深い情報を共有した」としています。Haynes氏はMarie Haynes Consulting Inc.のオーナーで、Googleのアルゴリズム動向を長年追ってきたコンサルタントです。

記事の冒頭でHaynes氏は、「多くの人がIPOから20年で初めてとなるキャッシュフローのマイナスに注目しているが、私はGoogleが大規模な改善に向けて順調に進んでいると考えている(“While many are focusing on the first negative cash flow since its IPO 20 years ago, I think Google is well on track for massive improvements.”)」と述べ、決算数値の見え方と事業の方向性を切り分けて読むべきだという立場を取っています。記事は決算説明会での発言と、Googleが公表した公式統計のPDFを参照する形で構成されています。

決算の数字①:売上高は前年同期比24%増、キャッシュフロー赤字の中身

記事によれば、Googleの売上高は前年同期比で24%増加しています。それでもフリーキャッシュフローがマイナスになった理由について、Haynes氏は「今四半期に物理的資産へ60億ドルを支出したため(“it spent $6 billion this quarter on physical assets”)」と説明しています。その内訳は、60%がサーバー、40%がデータセンターに向かったとしています。

Haynes氏はこの支出を、GoogleがAGI(Artificial General Intelligence、汎用人工知能)という最終目標に向けて築いている基盤だと位置づけています。さらに、GoogleのAIチップ、モデル、コンピューティングパワーに対する需要は、現時点で同社が満たせる量を上回っているとも記しています。つまり、キャッシュフローの赤字は事業の失速ではなく、需要に供給が追いついていない状況下での先行投資として説明されている、という読み方です。

決算の数字②:ネットワーク広告は1%減、クラウドは87%増

Haynes氏が「決算説明会で最も興味深いニュース」として挙げているのが、事業セグメント別の伸びの差です。記事は、Googleのネットワーク広告(記事の表現では「aka Adsense on websites」、すなわち外部サイトに配信されるAdSense由来の広告)の収益が2025年第2四半期と比べて1%減少した一方、クラウド(AIインフラとモデルの販売)の収益は87%増加したとしています。Haynes氏はこれを「驚異的な統計(“a staggering stat”)」と表現しています。

この2つの数字は、同じ会社の中で「ウェブサイトに広告を出して稼ぐ事業」と「AIの計算基盤とモデルを売る事業」の勢いがはっきり分かれていることを示しています。ウェブサイト運営者にとっては、自社の収益源がどちらの側に依存しているかを確認する材料になります。

AI Overviewsの心臓部が交代:Gemini 3.5 Flash-Liteがクエリのルーティングを担う

記事の中でSEO実務に最も直結するのが、AI Overviews(AIによる概要)を動かすモデルに関する記述です。Haynes氏は、Gemini 3.5 Proを待っている間に、GoogleがGemini 3.6 FlashとGemini 3.5 Flash-Liteをリリースしたと整理した上で、「3.5 Flash-Liteが現在、AI Overviews向けに検索クエリをルーティングする主要モデルになっている(“It turns out 3.5 Flash-Lite is now the primary model routing search queries for AI Overviews.”)」としています。

ここでいうルーティングとは、ユーザーが入力した検索クエリを解釈し、どのように処理・応答するかを振り分ける役割を指します。記事は、Googleが会話型の質問におけるユーザーインテント(検索意図)の理解で大きな改善を見ていると述べ、サイト運営者にとっては「AI Overviewsがクエリに直接答える能力がさらに高まり、従来型の検索トラフィックが減少する可能性がある」ことを意味するとしています。

検索は「情報エンジン」から「エージェント管理者」へ

Haynes氏は、GoogleのCEOであるSundar Pichai氏が検索に関連して「agentic(エージェント的)」という言葉を繰り返し使っていると指摘し、検索が情報エンジンからエージェント管理者へと移行しつつある(“Search is shifting from an information engine to an agent manager.”)と記事の中で表現しています。

具体例として記事が挙げているのが、InstacartやCanvaといったアプリとの連携が、検索インターフェースの中で近く見られるようになるという発表です。Haynes氏は「レシピを見つける代わりに、エージェントが材料を見つけてカートに追加し、Instacartから注文してくれる」という形を示し、これを「人々のウェブの使い方における根本的な転換」だとしています。

記事はまた、企業がエージェントから利用できるツールをWebMCPを通じて作り始めることを自身が推奨してきたと述べつつ、AI Mode内からアプリを使わせるというGoogleの直近の動きを踏まえ、ウェブのこの部分がそちらの方向に進化するのではないかという疑問も呈しています。いずれにせよ、近い将来にウェブサイトを価値あるものにするのは「人、あるいは人のエージェントが何かを成し遂げるのを助けるかどうか」であり、サイトを実行可能(actionable)にする作業に取り組むべきだというのがHaynes氏の主張です。

コマースとセキュリティ:Google Payでの購入とCodeMender

コマース面では、記事は決算説明会で「buy with Google Pay(Google Payで購入する)」機能が複数回言及されたこと、とくにリビングルームでYouTubeを見ながら購入できるようになる点が語られたことを伝えています。Haynes氏は、Universal Commerce Protocolを採用するサイトが増えるかを注視しているとし、現時点では検索結果でWayfairと一部のWalmartの商品で見かけただけであること、この機能のためにGoogleの順番待ちリストに載っているクライアントが数社あることを明かしています。そして、エージェントが買い物をするだけでなく、決済まで行う動きが今後増えるだろうとしています。

セキュリティ面では、CodeMenderというツールに組み込まれたGemini 3.5 Flash Cyberが取り上げられています。記事によれば、このシステムは常時稼働してコードの脆弱性をリアルタイムに発見・修正するもので、現時点ではエンタープライズ利用者に限定されているものの、Haynes氏はこうした機能がいずれウェブの安全性の標準になると見ています。なお記事は、Googleがまだ他社の最上位モデルに匹敵するGeminiを出していないのは、この3.5 Flash Cyberの改善に取り組んでいるためではないかというHaynes氏自身の推測も併記しています。

背景:AGIからASIへ、コンピュート配分の最優先事項

記事は、GoogleがAGIからASI(Artificial Super Intelligence、人工超知能)への道筋を示す論文を公開したことにも触れています。Haynes氏はAGIを「人間と同等の知能」、ASIを「人類の集合的な知性を超えるまで再帰的に自己改善するシステム」と説明し、Googleが決算説明会で、膨大なコンピュート資源を配分する際の最優先事項はこの開発の最前線に立ち続けることだと語ったとしています。

コンピュートの配分方法を問われた際の回答として、記事は次の発言を引用しています。「配分については、我々が出発点とするベースラインは、最前線でAGIの開発を続けるために何が必要かということだ(“On allocation, the baseline with which we start is what it takes to continue AGI development at the frontier.”)」。なお記事本文はこの発言者を「he」とのみ記しており、氏名は明示していません。

実務への影響:SEO・PPC・GEO運用のどこに効くか

まずSEOの観点では、AI Overviewsのクエリルーティングを担う主要モデルがGemini 3.5 Flash-Liteに切り替わり、会話型クエリの意図理解が改善しているという記述は、順位そのものよりも「AI Overviewsに答えを完結させられてしまうクエリ」の範囲が広がる可能性を示唆します。記事自身が、従来型の検索トラフィックが減る可能性に言及しています。既存記事の流入減が起きているキーワードについては、AI Overviewsで完結しやすい情報提供型なのか、クリックが必要な比較・購入・手続き型なのかを分けて棚卸しする価値があります。

PPCの観点では、ネットワーク広告収益が1%減となった一方でクラウドが87%増という対比が示すとおり、外部サイト面(AdSense由来)の広告在庫は必ずしも伸びていません。ディスプレイ配信の成果を評価する際に、検索面と外部サイト面を一括りにせず、面ごとに切り分けて見る意識が求められます。またコマース面では、「buy with Google Pay」やUniversal Commerce Protocolのように、購入が検索やYouTubeの内側で完結する導線が広がる方向にあります。

GEO(生成エンジン最適化)の観点では、記事が繰り返している「サイトを実行可能(actionable)にする」という論点が実務的な指針になります。エージェントが材料をカートに入れて注文するところまで進むのであれば、価格・在庫・仕様・申込手順といった構造化された情報が、機械から読み取れる形で整っているかが問われます。記事はWebMCPと、AI Mode内でアプリを使わせる方向の両方に言及しており、どちらに寄るかは現時点で確定していない点も押さえておくべきでしょう。

所感

ここからは記事本文にはない、Scale Basics編集部の見解です。今回の記事で日本の実務者が最も注目すべきなのは、個々の新機能よりも、Googleが自社の資源配分をどこに置いているかを明言した点だと考えています。コンピュート配分のベースラインがAGI開発の最前線に置かれているのであれば、検索プロダクトの変更はその方針の下流で起こり続けるということになります。四半期ごとの機能追加に個別対応するのではなく、変化の方向そのものを前提に設計を組み直す時期に入っているという読み方が妥当でしょう。

日本ではインハウス担当者と代理店の分業が根付いており、SEOは代理店、広告運用は別の代理店、サイト改修は制作会社という体制も珍しくありません。しかし「検索がエージェント管理者になる」という方向は、コンテンツ、広告、サイトの機能実装のいずれか一つだけを触っていても対応できない性質のものです。少なくとも、自社サイトのどのページが「読ませるページ」で、どのページが「何かを完了させるページ」なのかを社内で共通言語にしておくことは、今の時点でも着手できる準備だと考えます。

あわせて、記事の数値はGoogle全体の決算に関するものであり、日本市場や個別業種の検索トラフィックがそのまま同じ動きをすることを意味しない点にも注意が必要です。まずはSearch Consoleで自社の表示回数とクリック数の推移をクエリ種別ごとに確認し、記事が示す方向性と自社データが整合しているかを検証することをおすすめします。

まとめ

・Search Engine JournalでMarie Haynes氏が、Googleの直近の決算説明会から読み取れる検索とAIの方向性を解説した(2026年7月28日付)

・売上高は前年同期比24%増だが、今四半期に物理的資産へ60億ドル(内訳はサーバー60%、データセンター40%)を支出したためフリーキャッシュフローがマイナスになったと記事は説明している

・ネットワーク広告(外部サイト向けAdSense)の収益は2025年第2四半期比で1%減、一方クラウド収益は87%増で、Haynes氏はこれを「驚異的な統計」としている

・AI Overviews向けに検索クエリをルーティングする主要モデルは現在Gemini 3.5 Flash-Liteであり、会話型クエリの意図理解が改善している結果、従来型の検索トラフィックが減る可能性があると記事は指摘している

・CEOのSundar Pichai氏は検索について「agentic」という語を繰り返し用いており、InstacartやCanvaとの連携やGoogle Payでの購入など、検索が情報提供から実行支援へ移る方向が示された

よくある質問

Q1: Googleの売上が伸びているのに、なぜフリーキャッシュフローが赤字になったのですか?

記事によれば、Googleの売上高は前年同期比24%増ですが、今四半期に物理的資産へ60億ドルを支出したことがキャッシュフローのマイナスの理由だとされています。その内訳は60%がサーバー、40%がデータセンターです。Marie Haynes氏はこれをAGI(汎用人工知能)開発に向けた基盤づくりと位置づけ、GoogleのAIチップ・モデル・コンピューティングパワーへの需要が現時点の供給能力を上回っているとも記しています。IPOから20年で初のキャッシュフロー赤字ではあるものの、氏自身はGoogleが大規模な改善に向けて順調に進んでいると考えるという立場です。

Q2: AI Overviewsを動かしているモデルが変わったというのは、どういう意味ですか?

記事は、Gemini 3.5 Flash-Liteが現在、AI Overviews向けに検索クエリをルーティングする主要モデルになっているとしています。ルーティングとは、入力された検索クエリを解釈して処理の仕方を振り分ける役割のことです。Googleは会話型の質問におけるユーザーインテント(検索意図)の理解で大きな改善を見ているとされ、サイト運営者にとってはAI Overviewsがクエリに直接答える精度がさらに高まり、従来型の検索トラフィックが減少する可能性があると記事は説明しています。

Q3: 「検索がエージェント管理者になる」とは具体的に何を指しますか?

記事は、GoogleのCEOであるSundar Pichai氏が検索に関連して「agentic(エージェント的)」という語を繰り返し使っていると指摘し、検索が情報エンジンからエージェント管理者へ移行しつつあると表現しています。具体例として、InstacartやCanvaといったアプリとの連携が検索インターフェース内で近く提供される見込みであることが挙げられ、レシピを探す代わりにエージェントが材料をカートに追加してInstacartから注文するといった形が示されています。Haynes氏は、近い将来にウェブサイトを価値あるものにするのは人や人のエージェントが何かを成し遂げるのを助けられるかどうかであり、サイトを実行可能(actionable)にする作業に取り組むべきだとしています。

出典:The Future Of Search & AI: What I Learned From Google’s Latest Earnings Call(Search Engine Journal、Marie Haynes氏、2026年7月28日)https://www.searchenginejournal.com/the-future-of-search-ai-what-i-learned-from-googles-latest-earnings-call/583662/

scale-basics編集部
監修

scale-basics編集部

SEO・AI検索最適化(AIO/LLMO/GEO)・Web制作の最前線で活動する専門チーム。テクニカルSEOからコンテンツ戦略、データ分析まで幅広い実務経験をもとに、最新のナレッジと実践的なノウハウを発信しています。

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