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Googleが欧州向け検索データセット提供プログラムの詳細を更新――競合検索エンジンとAIチャットボットへ順位・クエリ・クリックデータを開放【2026年8月】

Googleが欧州向け検索データセット提供プログラムの詳細を更新――競合検索エンジンとAIチャットボットへ順位・クエリ・クリックデータを開放【2026年8月】

2026年8月31日、Search Engine RoundtableのBarry Schwartz氏が、GoogleがEuropean Search Dataset Licensing Programのページを更新し、プログラムの詳細を掲載したと報じました。これはGoogleがDMA(デジタル市場法)のもとでゲートキーパーに指定されたことにともない、公正な競争を促す目的で、競合する検索エンジンに自社の検索データを共有することが法的に義務づけられていることによるものです。今回明らかになったのは、実際に何のデータが、誰に、どのような条件で提供されるのかという中身です。提供対象には順位データやクエリデータ、クリックデータが含まれ、受け手には検索エンジン機能を持つAIチャットボットも含まれ得るとされています。日本のサイト運営者に直接の手続きが生じる話ではありませんが、検索データの独占が制度的に崩されつつある過程を具体的に示す資料です。この記事では、公開された提供内容、3つの条件、そして申請の適格要件を整理します。

何が更新されたか

Search Engine Roundtableによれば、GoogleはGoogle European Search Dataset Licensing Programのページを更新し、プログラムに関する詳細を掲載しました。Google自身は、プログラムの概要、適格性の基準、申請の詳細を刷新したと述べています。

背景として同記事が説明しているのは、GoogleがDMAのもとで「ゲートキーパー」に指定されており、そのため公正な競争を促進する目的で、競合する検索エンジンに検索データを共有することを法的に求められている、という点です。

経緯:指定から今回の措置まで

Googleのページには、ここに至る経緯が記載されています。同記事が引用している内容は次のとおりです。

2023年9月6日、欧州委員会はGoogleがDMAのもとでゲートキーパーに指定されたことを公表しました。2024年3月からGoogleは、DMA第6条11項を遵守するため、適切に匿名化されたデータを含む関連する検索データセットを、資格を有する受け手に提供してきました。

そして2026年7月16日、欧州委員会は、指定された検索データセット(the Search Dataset)を資格を有する受け手に提供することにより、GoogleがDMA第6条11項にもとづく義務をどのように遵守すべきかをさらに具体化する措置(the Measures)を採択しました。

Search Engine Roundtableは、これが予告されていた動きであったとも書き添えています。

提供されるデータ:順位・クエリ・クリック・表示

措置を定めたPDF文書の説明として、同記事は次の内容を挙げています。

Googleは、無料および有料の検索結果の双方について、「Search Dataset」へのアクセスを提供しなければなりません。これはGoogle検索上でエンドユーザーによって生成された匿名化済みのオンライン検索データで構成され、具体的には次のものを含みます。

・順位データ(Ranking data)

・クエリデータ(Query data)

・クリックデータ(Click data)

・表示データ(View data)

Google自身の記述でも、Search Datasetは欧州経済領域(EEA)におけるGoogle検索の順位、クエリ、クリック、表示のデータから構成されるとされています。より詳しい内容は措置に記載があり、技術的な詳細は措置に従って関係する申請者へ順次提供される、と説明されています。

受け手にはAIチャットボットも含まれ得る

提供先の範囲は、今回の資料でとくに注目される部分です。

同記事によれば、このデータはEUおよび欧州経済領域(EEA)で事業を行う、適格な第三者のオンライン検索エンジン(OSEs)に提供されます。そしてそこには、検索エンジンの機能を備えたAIチャットボットが含まれます。

適格となるには、申請者が確立された企業であること、または信頼できる新規参入者であることを、厳格な基準を満たすことによって証明しなければなりません。その基準はPDFに文書化されているとされています。

データ共有に付される3つの条件

Search Engine Roundtableは、このデータの共有に主として3つの条件があると整理しています。

1つ目はFRAND条件です。データは公正、合理的、かつ非差別的(FRAND)な価格条件のもとでライセンスされなければなりません。

2つ目は厳格な匿名化です。Alphabetは、データが完全に匿名化され個人データが保護されることを担保するため、堅牢な技術的および契約的措置を講じることが求められます。

3つ目はデータの処理と移転です。Alphabetは、申請者がEEA域内でデータを処理する予定なのか、国際的に移転する予定なのかを評価しなければなりません。EUの十分性認定がない国へEEA域外にデータが移転される場合、AlphabetはEEA域内で保証されるものと本質的に同等の水準のデータ保護を確保するか、さもなければ申請を却下しなければならないとされています。

措置が定める範囲と、Googleの説明

Googleは、措置とそれに関連する基準や要件について次のように説明しています。

措置は、受け手の適格性、提供されるべきデータの範囲、Googleがデータを提供すべき頻度、当該データへのアクセスに関するFRAND条件、そしてデータが使用され得る特定の目的を対象としています。受け手は措置のもとで個人データを受け取ることになるため、措置はその受領にともなう責任も定め、データの分離、アクセス制御、ログ記録に関する詳細な技術的・組織的要件を規定しています。これらはいずれも第三者による監査と報告の対象となります。またデータへのアクセスは、受け手がGoogleのライセンス条件を受け入れることが前提となります。

価格については、料金はFRAND条件にもとづいて決定され、措置はこれをデータを提供するための増分費用に、定められた収益率を加えたものに限定している、と説明されています。

申請の適格要件

Googleが掲載した、検索データを受け取るための適格性の基準は次のとおりです。

・オンライン検索エンジン(OSE):申請者はDMA第2条6項に定義されるオンライン検索エンジンの提供者に該当しなければならない

・EEAでの事業:申請者はEEA域内で事業を行っていること。すなわち、そのオンライン検索エンジンがEEAに所在する利用者に向けられていること

・国家主体との関係がないこと:申請者は、EEA域外の国家主体によって直接または間接に運営または支配されていないこと

・制限措置または制裁の対象となる主体との関係がないこと:申請者は、EU法のもとで制限措置または制裁の対象となる自然人または法人によって直接または間接に運営または支配されていないこと

・EUにおける利用者数と活動実績:申請者は、(i)申請時点で少なくとも直近2年連続でEUでOSEサービスを提供してきたか、または申請前2年未満に設立されたが5000万ユーロを超える資本投資を受けていること、かつ(ii)過去1年間にEUで少なくとも月間平均50,000人のOSEサービス利用者を有していたこと

アクセスを受けられると考える事業者は、申請フォームから利用を申請できるとされています。

この動きをどう読むか(編集部の見解)

ここからは、報道内容を踏まえた編集部の判断です。

まず、日本のサイト運営者にとって直接の手続きが生じる話ではありません。対象はEEAで事業を行う検索エンジン事業者であり、利用者数や設立年数の要件も課されています。

そのうえで、注目に値するのは提供されるデータの種類だと考えます。順位、クエリ、クリック、表示という組み合わせは、検索エンジンを構築するうえで核心に近い情報です。これまで新規参入者が持ち得なかった種類のデータが、制度的に提供される枠組みができたことになります。

そして、受け手に検索エンジン機能を持つAIチャットボットが含まれ得るという点は、実務的な含意が大きいと考えます。AIによる回答の品質が、各社独自のクロールだけでなくGoogleの検索データにも支えられ得るということだからです。自社コンテンツがどの経路で参照され得るのかを考えるうえで、経路が1つ増えたと捉えておく価値があります。

もっとも、これは枠組みが整ったという段階の話です。実際にどの事業者が申請を通り、どの程度のデータがいつから流れるのかは、今回の資料からはわかりません。FRAND条件のもとで料金が増分費用と所定の収益率に限定されるとはいえ、価格の実際の水準も示されていません。制度の存在と、そこから生じる競争環境の変化は別の段階として見ておくべきです。

まとめ

・GoogleがGoogle European Search Dataset Licensing Programのページを更新し、プログラムの概要、適格性の基準、申請の詳細を刷新したとSearch Engine Roundtableが2026年8月31日に報じた

・背景はDMAにもとづくゲートキーパー指定。2023年9月6日に欧州委員会が指定を公表し、2024年3月からGoogleは第6条11項の遵守のためデータを提供してきた。2026年7月16日に欧州委員会が遵守方法を具体化する措置を採択した

・提供されるSearch Datasetは、無料および有料の検索結果の双方について、順位データ、クエリデータ、クリックデータ、表示データを含む匿名化済みのオンライン検索データ

・受け手はEUおよびEEAで事業を行う適格な第三者のオンライン検索エンジンで、検索エンジン機能を備えたAIチャットボットも含まれ得る

・条件は3つ。FRAND条件でのライセンス、厳格な匿名化、そしてデータの処理と移転の評価。十分性認定のない国へEEA域外に移転する場合、Alphabetは本質的に同等の保護水準を確保するか申請を却下しなければならない

・適格要件には、EEAに向けたサービスであること、EEA域外の国家主体や制裁対象の支配下にないこと、直近2年間の提供実績または5000万ユーロ超の資本投資、過去1年間にEUで月間平均50,000人以上の利用者を有することが含まれる

よくある質問

Q1: Googleはどのようなデータを提供するのですか?

Search Engine Roundtableによれば、Googleは無料および有料の検索結果の双方について「Search Dataset」へのアクセスを提供しなければなりません。これはGoogle検索上でエンドユーザーによって生成された匿名化済みのオンライン検索データで、順位データ、クエリデータ、クリックデータ、表示データを含みます。Google自身の記述でも、Search DatasetはEEAにおけるGoogle検索の順位、クエリ、クリック、表示のデータから構成されるとされています。

Q2: AIチャットボットもこのデータを受け取れるのですか?

Search Engine Roundtableは、このデータがEUおよびEEAで事業を行う適格な第三者のオンライン検索エンジンに提供され、そこには検索エンジンの機能を備えたAIチャットボットが含まれると書いています。ただし適格となるには、申請者が確立された企業であること、または信頼できる新規参入者であることを厳格な基準によって証明する必要があり、その基準は措置のPDFに文書化されています。

Q3: 申請にはどのような要件がありますか?

Googleが掲載した基準には、DMA第2条6項の定義に該当するオンライン検索エンジンの提供者であること、EEAに所在する利用者に向けたサービスをEEA域内で提供していること、EEA域外の国家主体やEU法上の制限措置・制裁の対象となる主体の支配下にないことが含まれます。加えて利用者数と活動実績として、申請時点で直近2年間EUでサービスを提供してきたか、申請前2年未満の設立で5000万ユーロを超える資本投資を受けていること、かつ過去1年間にEUで月間平均50,000人以上の利用者を有していたことが求められます。

出典:Google European Search Dataset Licensing Program Details(Search Engine Roundtable、Barry Schwartz氏、2026年8月31日)https://www.seroundtable.com/google-european-search-dataset-licensing-program-41986.html

SEO基礎おじ
執筆・監修

SEO基礎おじ

フリーランスのWeb制作者/SEO実務者(実務歴3年以上)。HTML・CSS・JavaScript・WordPressを自分で実装する立場から、テクニカルSEO・構造化データ・GA4/Search Consoleの計測設計までを一人で担当しています。当サイトを実験台にして、施策の効果は自分で取った実測データで検証してから記事にしています。「SEO基礎おじ」は筆名です。

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