サイト種別別SEO

サイト種別で変わるSEO対策|6タイプ別の優先順位を解説

サイト種別で変わるSEO対策|6タイプ別の優先順位を解説

SEOの解説記事はたいてい「タイトルタグを最適化する」「内部リンクを整える」「表示速度を上げる」といった共通の打ち手を並べます。書かれていること自体は間違っていません。ところが実務でその通りに着手すると、ECサイトの担当者は数万ページの重複URLに埋もれ、BtoBサイトの担当者は「そもそも検索されていないキーワード」の前で立ち止まり、コーポレートサイトの担当者は「サイトを直す権限が自分にない」という壁にぶつかります。共通の打ち手はあっても、どれから手をつけるかの順番はサイトの種類によって変わるからです。

この記事では、EC・BtoB・コーポレート・採用・メディア・ポータル/比較という6つのサイト種別について、検索の入口がどう違い、最初に効く施策が何で、どこでつまずきやすいのかを整理します。あわせて、収益モデル・ページ数・更新頻度・意思決定者という4つの軸で「自社サイトがどのタイプなのか」を判定する方法も示します。複数のタイプが混ざったサイトをどう扱うかまで含めて、優先順位を自分で決められる状態を目指します。

この記事でわかること

結論

SEOの打ち手は種別で変わるのではなく、打ち手の優先順位が変わります。ページ数・更新頻度・収益モデル・意思決定者の4軸を先に確定させれば、6タイプのどこに自社が座るかが決まります。

  • 01分かれ目はページ数数万ページ規模ならクロールとインデックスの管理が主戦場、数十ページ規模なら1ページあたりの情報設計と指名検索が主戦場になります。
  • 02判定は4つの軸で行う収益モデル・ページ数・更新頻度・意思決定者の4軸を書き出すと、自社が6タイプのどこに近いかと、最初に詰まる場所が同時に見えます。
  • 03EC・ポータルは引き算自動生成されるURLをどれだけ検索対象から外せるかで決まります。作ることより、インデックスさせないものを決めることが先です。
  • 04BtoB・採用は掛け算検索数の小さい語しかない前提で、1件の流入がどれだけ商談や応募につながるかを設計します。ボリュームだけで語を捨てると打ち手がなくなります。
  • 05意思決定者は技術要件誰の承認でページを変えられるかは、実装できる施策の範囲そのものです。合意形成の設計を外すと、正しい施策が着手されないまま止まります。
  • 06複合型は主従を決めるEC+メディア、コーポレート+採用のように混ざるのが普通です。1つのサイトに2つの目的を同居させず、領域ごとに主従を決めます。

なぜサイトの種類でSEOの打ち手が変わるのか

SEOの原則は種別を問いません。検索意図に合ったページを用意し、検索エンジンがそれを見つけてインデックスでき、読者が満足する。この3段はSEO対策の基本と実践手順の解説で扱っているとおり、どのサイトでも共通です。それでも打ち手の順番が変わるのは、次の3つがサイトの種類によって大きく違うからです。

検索の入口が違う

ECサイトに来る人の多くは、すでに買うものが決まっているか、絞り込みの最終段階にいます。検索窓に打ち込まれるのは商品名・型番・ブランド名、あるいは「カテゴリ名+条件」の掛け合わせです。一方でBtoBサイトに来る人は、自社の課題を言語化する途中にいます。「業務が属人化している」という状態を「業務標準化 ツール」と検索するまでには距離があり、その距離の分だけページが必要になります。

コーポレートサイトはさらに事情が違い、最大の流入源が会社名やサービス名の指名検索であることが珍しくありません。指名検索で1位を取れているかどうかは、新しい記事を書くより先に確認すべき項目です。入口が違えば、作るべきページの種類も、成果を測る指標も変わります。

コンバージョンまでの距離が違う

ECサイトは検索からの流入がそのままカートに入り、同じセッションで売上が確定することがあります。BtoBサイトは、資料をダウンロードした人が半年後に商談化することもあり、そもそも検索した人と決裁する人が同一人物とは限りません。採用サイトは応募が成果ですが、応募までに会社名で評判を調べ直す行動が必ず入ります。

この距離の違いは、KPIの置き方に直結します。SEO KPIの設計方法とサイトタイプ別の実践ガイドで扱っているとおり、KGIから逆算した中間指標をどこに置くかは、種別によって答えが変わる論点です。距離が長いサイトほど、順位や流入だけを見ていると施策の良し悪しが判断できなくなります。

ページ数と更新頻度が違う

もっとも扱いが変わるのがこの軸です。ページが数十枚しかないサイトでは、クロールバジェットもインデックス管理もほとんど問題になりません。1枚のページをどれだけ的確に書けるかがすべてです。逆に数万ページを抱えるサイトでは、良いページを1枚追加することより、検索エンジンに読ませる必要のないページを大量に除外することのほうが効きます。

Googleは大規模サイト向けのクロールバジェット最適化ドキュメントに、「304 Not Modified」への対応推奨と、クロール上限は全クローラーで共有されるという記述を追加しています(Googleがクロールバジェット文書に2点を追記した件)。こうした話題が意味を持つのは大規模サイトだけで、100ページのコーポレートサイトが優先して読む内容ではありません。同じ「テクニカルSEO」という言葉でも、種別によって指す中身が違うわけです。

自社サイトがどのタイプかを判断する4つの軸

「うちはコーポレートサイトです」という自己申告は、SEOの設計にはあまり役立ちません。会社案内のページが20枚あって、その下にブログが800記事ぶら下がっているサイトは、実態としてはメディアサイトの問題を抱えています。肩書ではなく、次の4つの軸で実態を測ってください。

軸1: 収益モデル — 売上はサイト内で完結するか

サイト上で決済まで終わるならEC型です。サイトは接点にすぎず、商談・見積もり・応募といった別プロセスに引き渡すならリード型(BtoB・採用)です。自社の商品を売るのではなく、広告収益や他社への送客で稼ぐならメディア/ポータル型です。直接の収益がなく、企業としての信頼を担保するのが役割ならコーポレート型です。

この軸が決まると、ページに求める役割が決まります。すべてのページにコンバージョンとブランド構築を同時に負わせようとするとCRO施策がSEOを壊す、という指摘は「売るページ」と「ブランドを育てるページ」を分ける設計の考え方で整理しています。役割を分けるという発想は、種別判定の出発点でもあります。

軸2: ページ数 — 数十か、数千か、数万か

公開ページ数をおおよその桁で把握します。目安は次の3段階です。

  • 数十〜数百ページ: 1ページずつ人の手で管理できる規模。テクニカルな課題より、情報設計と指名検索の取りこぼしが主課題
  • 数百〜数千ページ: テンプレートと個別ページが混在する規模。カニバリ(同じ検索語で自社ページ同士が競合する状態)と内部リンクの設計が主課題
  • 数万ページ以上: 人の目では全ページを確認できない規模。何をインデックスさせないかの選別と、クロールの効率が主課題

ここで見るのは「作ったページ数」ではなく「URLとして存在しうる数」です。絞り込み条件の組み合わせや並び替え、ページ送りで自動生成されるURLを数えると、想定の何十倍にもなることがあります。実際の数はサーチコンソールの使い方ガイドで扱っているインデックス作成レポートと、XMLサイトマップの作り方と送信手順で送信したURL数を突き合わせると見えてきます。

軸3: 更新頻度 — 何が、どのくらいの周期で変わるか

更新頻度は「記事を追加する頻度」だけを指しません。在庫と価格が毎日変わるEC、掲載案件が入れ替わるポータル、募集期間が終われば消える採用サイト。いずれもページの中身が有効でなくなる周期を持っています。この周期が短いサイトほど、失効したページをどう処理するかが恒常的な作業になります。

掲載終了日が決まっているページには、robotsメタタグやX-Robots-Tagヘッダーで指定できるunavailable_afterというルールがあります。ただしGoogleのGary Illyes氏は、掲載延長で日付を後ろ倒しした場合に新しい日付が読まれるかについて「確認が必要」と回答を保留しました(unavailable_afterの日付を後ろ倒しできるかに関するIllyes氏の回答)。延長があり得るページでこのタグに依存する運用は、現時点では見通しが立ちません。

軸4: 意思決定者 — 誰の承認でページを変えられるか

技術的には10分で終わる修正が、半年動かないことがあります。テンプレートの変更に開発会社の見積もりが要る、会社概要の文言変更に広報の承認が要る、求人票のフォーマットが人事システム側で固定されている。こうした制約は、施策の実行可能性そのものです。

SEOの提案書を書く前に、次の3つを確認してください。テンプレート(共通部分)を変えられるのは誰か。個別ページの本文を変えられるのは誰か。robots.txtやリダイレクト設定など、サーバー側を触れるのは誰か。この3つが別々の組織にまたがっているサイトでは、テンプレート改修を前提とした施策は後回しにして、個別ページの本文で取れる成果から着手するほうが結果的に早く進みます。

4軸から6タイプへの対応表

タイプ 収益モデル ページ数の目安 更新の主軸 主戦場
EC サイト内で決済完結 数千〜数十万 在庫・価格が日次で変動 重複URLの整理とインデックス選別
BtoB 商談・見積もりへ引き渡し 数十〜数百 四半期〜半年で情報を追加 検索数の小さい語での網羅と導線
コーポレート 直接の収益なし(信頼の器) 数十〜百数十 年数回、IR・お知らせは随時 指名検索の獲得と信頼性情報の整備
採用 応募へ引き渡し 数十〜数百 募集の開始と終了で入れ替わる 求人ページの構造化と終了処理
メディア 広告・送客・自社送客 数百〜数千 週次で記事が増える カニバリ解消と回遊、記事の更新運用
ポータル・比較 掲載料・送客手数料 数万〜数百万 掲載案件が常時入れ替わる 薄いページの抑制と品質担保

4軸を書き出したうえで、次の順に判定していくと迷いにくくなります。

STEP 1  サイト上で決済まで完結する?
          YES → EC型(在庫・価格が動く前提で設計する)
          NO  → STEP 2

STEP 2  収益は「自社商材の販売」か「他社の掲載・送客」か?
          他社の掲載・送客 → STEP 3
          自社商材        → STEP 4

STEP 3  掲載データからページを自動生成している?
          YES → ポータル・比較型(生成量の制御が最優先)
          NO  → メディア型(記事の質と回遊が最優先)

STEP 4  サイトの主目的は「商材の検討」か「会社の信頼」か「人材の採用」か?
          商材の検討 → BtoB型
          会社の信頼 → コーポレート型
          人材の採用 → 採用型

※ 複数に当てはまる場合は、URLの領域(/products/ /recruit/ /blog/ など)ごとに
   判定し直す。1つのサイトに複数タイプが同居しているのが普通。

6タイプ別の優先順位

ここからは種別ごとに、検索の入口・最初に効く施策・つまずきやすい点の3点で整理します。共通の土台(タイトル、内部リンク、表示速度など)は後半でまとめて扱うので、ここでは「その種別で特に効く」ことに絞ります。

ECサイト — 増やすより先に、インデックスさせないものを決める

ECサイトの検索の入口は大きく2つです。1つは商品名・型番・ブランド名といった指名寄りの語で、これは商品ページが受けます。もう1つは「カテゴリ名+条件」の掛け合わせで、これはカテゴリページや絞り込み結果のページが受けます。どちらも購買に近い位置にあるため、流入が売上に直結しやすいのがECの特徴です。

最初に効くのは次の3点です。第一に、検索されている絞り込み条件をカテゴリページとして持つこと。第二に、商品ページの構造化データを整えること。第三に、色違い・サイズ違い・並び替え・ページ送りで発生する重複URLを整理することです。特に3つ目は、放置すると評価が分散し、クロールの予算も無駄に消費されます。canonicalタグによるURL正規化と重複コンテンツ対策とSEOに強いページネーションの実装が具体的な実装の参照先になります。

つまずきやすいのは、絞り込みナビゲーション(ファセットナビゲーション)で生成されるURLの扱い、在庫切れ・販売終了商品の処理、そしてサイト内検索結果ページのインデックスです。サイト内検索結果ページについては、スパマーに検索窓を悪用されて大量のスパムページが生成されると、Googleがそれをハッキングされたものとして扱い品質の問題になりうる、とJohn Mueller氏とMartin Splitt氏が説明しています(サイト内検索ページの放置がハッキング判定につながる件)。

近年はもう一つ、AIエージェント経由の商取引という論点が加わりました。SALT.agency共同創業者のReza Moaiandin氏の調査では、上位小売29社の商品詳細ページ207件(分析対象141件)のうち、priceValidUntilを含んでいたのは18%、shippingDetails.deliveryTimeは13%、hasMerchantReturnPolicy.merchantReturnDaysは11%にとどまり、65%はGTINも欠いていました(上位小売の70%がエージェント型商取引に「見えない」とする調査)。順位の問題ではなく、商品データの整備状況が可視性を決める領域が生まれています。

BtoBサイト — 検索数が小さい前提で設計する

BtoBサイトの検索の入口は、月間の検索数が数十回という語が主戦場になります。ECやメディアの感覚で「ボリュームが少ないから外す」と判断すると、狙うべき語が1つも残りません。キーワード選定の完全マニュアルで扱う優先順位の考え方を、BtoBでは「ボリューム×コンバージョン確度」で読み替える必要があります。

最初に効くのは、課題語・比較語・指名語という3段でページを持つことです。課題語は「業務が属人化している」といった状態を表す語で、まだ解決策を知らない層が入ってきます。比較語は「◯◯ツール 比較」「◯◯ 費用」のように解決策の型が決まった層、指名語は自社名・自社サービス名で検討が最終段階に入った層です。この3段のうち1段でも空いていると、検討の途中で他社に流れます。

次に効くのが、流入した人を次の行動に渡す導線です。BtoBは検討期間が長く、初回訪問でいきなり問い合わせに至ることは多くありません。資料ダウンロードのような中間の受け皿を用意するかどうかで、獲得できるリードの数が変わります。設計の詳細はホワイトペーパーによるBtoBリード獲得の作り方に譲ります。ボタンの文言や配置は効果的なCTAの作り方が参照先です。

つまずきやすいのは、コンバージョンを「問い合わせ」だけに絞ってしまうことと、成果の判定を短期で行ってしまうことです。コンバージョンの種類とGA4計測設定で扱っているとおり、マイクロコンバージョンを定義しておかないと、検討期間の長い商材では施策の良し悪しがいつまでも判定できません。

コーポレートサイト — 指名検索を取り切ることが先

コーポレートサイトの最大の流入源は、多くの場合、会社名やサービス名での検索です。名刺交換の後、商談前、採用応募前、取引開始前。あらゆる場面で会社名が検索されます。この指名検索で自社サイトが1位を取れているか、検索結果に表示されるサイト名・説明文・ファビコンが意図どおりかを確認することが、新しいページを作るより先の作業です。

最初に効くのは次の3点です。第一に、会社名・サービス名での検索結果の見え方を整えること。第二に、事業内容を「顧客が使う言葉」で書き直すこと。社内用語や造語で書かれた事業紹介は、検索でも生成AIの回答でも拾われません。第三に、企業情報(所在地、代表者、沿革、実績)を構造化して整えることです。構造化データマークアップ完全ガイドが実装の参照先になります。

つまずきやすいのは、更新が止まることと、権限の分散です。コーポレートサイトは全社の顔であるため、1行の変更にも複数部門の確認が入りがちです。この構造自体は変えられないので、「四半期に1度、更新すると決めた領域だけを更新する」といった運用ルールに落とし込むほうが現実的です。あわせて、店舗や拠点を持つ企業はローカルSEOとGoogleビジネスプロフィールの最適化を並行して進める必要があります。拠点情報はコーポレートサイト側の課題であると同時に、地図検索側の課題でもあるためです。

採用サイト — 求人検索エンジンと自社応募の二重構造

採用サイトの検索の入口は「職種+地域」「会社名+採用」「会社名+評判」の3系統です。1つ目は求人検索エンジンや大手求人サイトが上位を占めることが多く、自社サイトが直接competeするのは簡単ではありません。2つ目と3つ目は自社が有利な領域で、ここを取り切れているかが実質的な勝負どころになります。

最初に効くのは、1つの募集に対して1つのURLを持ち、求人情報を構造化データで記述することです。加えて「会社名+評判」「会社名+離職率」のような検索に対して、自社サイトに答えが用意されているかを確認します。ここに何もないと、検索結果は第三者の口コミサイトだけで埋まります。

つまずきやすいのは、募集終了ページの処理です。終了した求人ページを放置すれば期待外れの体験を生み、無条件に削除すれば流入とリンクの資産を失います。掲載終了日が確定している募集と、延長があり得る募集とで処理を分ける必要があり、前述のunavailable_afterの制約もここに関わります。

メディアサイト — 増えた記事を管理する仕事に変わる

メディアサイトは記事数が数百を超えたあたりから、性質が変わります。それまでは「良い記事を1本増やす」ことが成果につながりますが、ある段階から「既存記事を整理する」ことのほうが効くようになります。同じ検索語で自社の複数記事が競合するカニバリが起き、内部リンクが放置されて到達できないページが増え、古い情報のまま順位だけ残っている記事が信頼を削ります。

最初に効くのは、既存記事の棚卸しと内部リンクの設計です。SEO内部リンク戦略の設計と実装で扱っているとおり、リンクは記事の追加とは別に設計しないと自然には育ちません。立ち上げ段階の体制づくりやKPI設計はオウンドメディアの立ち上げ手順と運用体制、コンテンツ設計全般はコンテンツSEOの戦略設計から効果測定までが参照先になります。

つまずきやすいのは、量を増やす方向に振り切ることです。Googleは、サイト品質への深刻な懸念がクロール・インデックスの労力低下につながり、結果として未インデックスページが増えると説明しています(サイト品質と未インデックスページの関係についてのGoogleの説明)。記事数を増やしたのにインデックスされない、という状態は、クロールの問題ではなく品質の問題であることがあります。

ポータル・比較サイト — 生成できる量と、公開してよい量は別

ポータル・比較サイトは、データベースからページを自動生成するため、技術的にはほぼ無限にURLを作れます。「地域×業種」「メーカー×車種×年式」のような掛け合わせは、組み合わせの数だけページを生成できます。ここでの最大の論点は、生成できることと公開してよいことが別だという点です。

最初に効くのは、公開の基準を先に決めることです。掲載件数が一定数に満たない組み合わせは公開しない、独自の情報が1つもないページは公開しない、といった閾値を運用ルールとして持つ必要があります。Search Engine Landは、地域ページを増やすこと自体が地域での可視性につながるわけではないとして、実在の拠点・商圏に基づく設計と、公開判断の質問リスト、統合の手順、再発を防ぐガバナンスを提示しています(地域ページは増やすほど弱くなるとするマルチロケーションSEOの設計指針)。この考え方は地域ページに限らず、あらゆる掛け合わせページに当てはまります。

つまずきやすいのは、薄いページの大量公開と、検索結果ページ同士の重複です。ポータルサイトの一覧ページは実質的に検索結果ページであり、絞り込み条件が少し違うだけのページが何万枚も並ぶ状態になりがちです。テクニカルSEO完全ガイドのインデックス管理と、robots.txtの書き方によるクロール制御を組み合わせて、公開範囲を絞り込みます。

種別が重なるサイトはどう考えるか

実際のサイトは、きれいに1タイプへ収まりません。コーポレートサイトの中に採用情報とオウンドメディアがあり、ECサイトの中に読み物コンテンツがある、というのが普通の姿です。この場合、サイト全体で1つのタイプを名乗るのではなく、URLの領域ごとに主従を決めるのが実務的です。

コーポレート+採用

コーポレートサイトの一部として採用情報を持つ形です。この構成では、会社名の指名検索と「会社名+採用」の指名検索が同じドメインの評価を共有できる一方、更新頻度と意思決定者がまったく違うという問題が起きます。会社概要は年に数回しか変わらないのに、求人は月単位で入れ替わる。広報が管理する領域と人事が管理する領域が同じテンプレートを使っている。

この場合、テンプレートを共通化しつつ、更新の権限だけを分離するのが現実解です。求人領域だけCMSの編集権限を人事に開放し、コーポレート領域は従来どおり承認フローを通す、という分け方です。SEO上は、求人の構造化データと募集終了処理を採用領域だけに閉じて設計できるため、むしろ扱いやすくなります。

EC+メディア

ECサイトの中に、使い方やコーディネートを紹介する読み物を持つ形です。狙いは購買前段階の検索を拾うことですが、記事から商品ページへの導線が弱いと、流入は増えるのに売上が動かない状態になります。コンテンツマーケティングとSEOの統合戦略で扱う設計を、EC側の商品カテゴリ構造と対応させる必要があります。

もう一つ注意すべきは、記事URLと商品URLが同じ検索語で競合することです。「◯◯ 選び方」で記事とカテゴリページの両方が上位を狙える場合、どちらを主役にするかを先に決めないと、両方が中途半端な位置に落ち着きます。

ドメインを分けるか、サブディレクトリに置くか

採用サイトやオウンドメディアを別ドメインで立ち上げるべきか、という質問は種別をまたぐたびに出てきます。判断材料は、コンテンツの主題が既存サイトと地続きかどうか、そして運用体制を分ける必要があるかどうかの2点です。主題が地続きで運用も同じチームなら、サブディレクトリに置いて評価を集約するほうが有利です。主題がまったく別で運用チームも別なら、分けたほうが管理しやすくなります。

ドメインやURLを移す場合は、リダイレクトの設計が成否を分けます。当サイトも2026年7月にNext.js(SSG)からWordPressへ移行し、旧URLの /blog/xxx/ から /xxx/ へ301リダイレクトで引き継いでインデックス上の問題は起きませんでした。この移行の実装面はSEOに強いコーディングの実装テクニック、リダイレクト自体の仕様は301・302リダイレクトの違いと設定方法で扱っています。

種別を問わず先にやること

種別ごとの優先順位を考える前提として、どのタイプでも土台になる項目があります。ここが崩れていると、種別特有の施策を積んでも成果が出ません。着手前に次の表で現状を確認してください。

確認項目 見るもの 崩れているときの症状
インデックスの実態 Search Consoleのインデックス作成レポート 公開ページ数とインデックス数が大きく乖離している
重複URLの有無 canonicalの指定、パラメータ付きURLの一覧 同一内容のページが複数URLで存在する
内部リンクの到達性 トップから3クリック以内で届くか どこからもリンクされていない孤立ページがある
タイトルと見出し title要素とh1〜h3の対応 テンプレートで全ページ同じtitleになっている
表示速度(INP・LCP) PageSpeed Insightsの実測フィールドデータ 操作の反応が鈍い、主要な要素の表示が遅い
計測の設定 GA4のコンバージョン定義 成果が計測されていない、または重複計上されている

表示速度の指標については、2024年3月にINPがFIDを正式に置き換えており、良好とされる基準は200ミリ秒以内です。LCPの良好基準は2.5秒以内、TTFBの目安は0.8秒以内です。項目別の全体像はSEO内部対策の完全ガイド、技術面のチェックリストはテクニカルSEO完全ガイドにまとめています。

KPIも種別で変える

種別が違えばコンバージョンまでの距離が違うため、同じ指標を横並びで見ても意味がありません。最低限、次のように分けて設計します。

タイプ 主KPI 中間指標 見誤りやすい点
EC 検索経由の売上・注文数 カテゴリページの流入、カート追加率 指名検索の売上を施策の成果と混同する
BtoB 商談化したリード数 資料ダウンロード数、指名検索数 流入数の増減だけで評価してしまう
コーポレート 指名検索での表示回数と順位 問い合わせ、採用ページへの遷移 一般語での順位を主KPIにしてしまう
採用 自社サイト経由の応募数 求人ページの閲覧数、会社名+評判の検索 求人検索エンジン経由と自社経由を合算する
メディア 目的別(広告収益・送客数) 回遊率、再訪率、上位記事の順位維持 PV総数だけを追い、記事ごとの寄与を見ない
ポータル・比較 送客数・掲載主の成果 インデックス率、公開ページあたりの流入 公開ページ数の増加を成果とみなす

指標の定義と確認方法はSEO指標一覧と重要度別の定義、測定の全体フローはSEO効果測定の方法、レポートへの落とし込みはSEOレポートの作り方で扱っています。

種別判定でよくある失敗

肩書で判定して実態を見ない

「コーポレートサイトです」と申告されたサイトの8割がブログ記事で占められている、という状況は珍しくありません。URLの領域ごとにページ数を数えるだけで、実態がどのタイプに近いかは判明します。判定は自己申告ではなく、公開URLの内訳で行ってください。

他社事例をタイプを確認せずに真似る

「記事を月20本増やしたら流入が伸びた」という事例は、メディア型のサイトでは再現しうる話ですが、ページ数が数十のBtoBサイトでは的外れです。同様に「絞り込みURLをすべてnoindexにした」という判断は、EC・ポータルでは有効でも、そもそも絞り込みのないサイトには関係がありません。事例を読むときは、施策の内容より先に、そのサイトの4軸を確認してください。

優先順位をつけずに全部やろうとする

チェックリストを上から順に潰していく進め方は、種別特有のボトルネックを最後まで放置します。数万ページのECサイトでタイトルタグの微調整から始めても、重複URLが整理されない限り評価は分散したままです。逆に50ページのコーポレートサイトでクロールバジェットを気にしても、消費するのは自分の時間だけです。4軸で判定した主戦場から着手してください。

AI検索の影響も種別ごとに出方が違う

AI OverviewsやAI Mode、ChatGPTのような生成AI経由の流入をどう扱うかは、いまやどの種別でも避けて通れません。ただし「AI検索対策」として同じことをやればよいわけではなく、影響の出方はサイトの種類で変わります。

ECは順位より商品データが効く領域が生まれた

ECで起きているのは、順位とは別の軸で可視性が決まる現象です。Productriseの調査では、通常検索のPopular productsカルーセルに載っている商品のうち、同じ日の同じ検索でAI Modeにも登場したのは1.28%にとどまり、両方に登場した商品でも1位の売り手が違っていたのは49.6%でした(AI Modeの商品・価格・売り手が通常検索のカルーセルとほぼ一致しないとする調査。なおGoogleはこの数字について「検証していない」と回答しています)。前述のエージェント型商取引の調査とあわせて読むと、ECは商品フィードと構造化データの整備が、順位施策と並ぶ独立した作業領域になったと言えます。

BtoB・コーポレートは「実在性」を伝えられるか

BtoBとコーポレートで論点になるのは、AIが事業者の実在性を検証できるかどうかです。Search Engine Landは、AI検索が事業者を検証できずに情報が食い違う状態を「アイデンティティ・リーク」と呼び、カナダの71事業者を対象にした調査で平均84%のリークが確認されたと報じています(AI検索は事業者を検証できないとする指摘と6つの対処法)。会社名・所在地・事業内容がサイト内外で一貫しているかという、地味な整合性の作業がここに効きます。

メディアは「具体性」が引用の条件になる

メディアサイトでは、AIに引用されるかどうかが可視性の一部を占めるようになりました。焦点を絞った具体的な記事のほうが引用されやすいという見方が広がっていますが、その根拠はSNS上の観察が中心で統計的な検証ではない点に注意が必要です(焦点を絞った具体的な記事はAIに引用されやすいかという論点の整理)。AI検索全般の考え方はLLMOの意味とSEO・AIOとの違い、実装寄りの手順はChatGPT・Gemini・Perplexityに引用されるための手順で扱っています。

計測の限界は種別を問わず共通

どの種別でも共通するのが、AI検索経由の計測が現時点では不完全だという点です。Search Consoleの生成AI関連データはクリック数もクエリも表示されず、AI Overviews内のリンクをすべて1位として扱う仕様のため平均順位が実態を隠す、という指摘があります(Search Consoleの生成AIデータの限界と代わりに見るべき指標)。AI経由の成果をKPIに組み込む際は、この制約を前提に指標を選ぶ必要があります。

最初の90日で何をするか

4軸で自社のタイプを判定したあと、実際にどこから着手するかを種別ごとに整理します。順番を守ることに意味があるので、上から順に進めてください。

タイプ 1か月目 2か月目 3か月目
EC URLの棚卸し(パラメータ・絞り込み・並び替えの全パターン抽出) インデックス対象の選別とcanonicalの整理 商品ページの構造化データとカテゴリページの追加
BtoB 課題語・比較語・指名語の3段でキーワードの空白を洗い出す 空いている段のページを作る 資料ダウンロードなど中間コンバージョンの設置と計測設定
コーポレート 指名検索の検索結果の見え方を確認・修正 事業内容を顧客の言葉で書き直す 企業情報の構造化と拠点情報の整備
採用 求人ページのURL設計と募集終了処理のルール化 求人情報の構造化データを実装 「会社名+評判」系の検索に答えるページを用意
メディア 既存記事の棚卸しとカニバリの特定 統合・リライト・削除の判断と実行 内部リンクの再設計と回遊導線の整備
ポータル・比較 自動生成URLの総数と公開ページ数の把握 公開基準(閾値)の策定と既存ページへの適用 残したページの独自情報を厚くする

どのタイプでも1か月目に現状把握を置いているのは、種別特有のボトルネックが数字で見えないまま施策を始めると、効かない作業に時間を使うことになるためです。EC・ポータルは「思っていたよりURLが多い」、メディアは「思っていたよりカニバリしている」、BtoB・コーポレートは「思っていたより指名検索を取りこぼしている」という結果になることが多く、この最初の1か月で優先順位が組み替わります。

まとめ

SEOの打ち手そのものは種別を問わず共通ですが、着手する順番はサイトの種類で変わります。判定に使うのは、収益モデル・ページ数・更新頻度・意思決定者の4軸です。この4つを書き出せば、自社が6タイプのどこに近いか、そして最初に詰まる場所がどこかが同時に見えます。

大きな分かれ目はページ数です。数万ページ規模のEC・ポータルでは、良いページを増やすことより、検索エンジンに読ませないURLを決めることが先に効きます。数十ページ規模のBtoB・コーポレート・採用では、1ページあたりの情報設計と指名検索の取りこぼしが主戦場です。メディアは記事数が数百を超えた時点で、増やす仕事から管理する仕事へ性質が変わります。

そして忘れられがちなのが4つ目の軸、意思決定者です。誰の承認でページを変えられるかは、実装できる施策の範囲そのものです。技術的に正しい提案が半年動かないくらいなら、いま自分の権限で触れる範囲から着手したほうが成果は早く出ます。複数タイプが混在するサイトでは、URLの領域ごとに主従を決めて、1つのページに2つの目的を負わせないようにしてください。

本記事は、Google検索セントラルの公開ドキュメント、およびサイト内で報じたニュース記事(クロールバジェット文書の追記、unavailable_afterに関するGoogleの回答、サイト内検索ページの品質問題、サイト品質と未インデックスページの関係、マルチロケーションSEOの設計指針、エージェント型商取引の可視性調査)で確認できる範囲の情報にもとづいて構成しています。市場規模・平均コンバージョン率などの推計値は、出典を確認できないため記載していません。当サイトの移行実績(2026年7月にNext.jsからWordPressへ移行し、旧URLを301リダイレクトで引き継いだ件)は運営実体験にもとづく記述です。各タイプの詳細な実装手順は、記事中で参照した個別のコラムをご確認ください。

サイト種別ごとの詳しい解説

種別ごとの実装は、それぞれの記事で詳しく扱っています。自社が当てはまるタイプから読み進めてください。

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Web担当になった人が、90日で自走するための実務書

検索エンジンの仕組みから、キーワード選定・記事づくり・技術対応・効果測定、 そしてAI検索時代の打ち手まで。専門用語の知識ゼロの状態から読み始められるよう、用語はすべて本文中で説明しています。

体裁PDF/A4縦・全109ページ
収録図解21点、チェックリスト120項目、90日実行プラン、用語集56語

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SEO基礎おじ
執筆・監修

SEO基礎おじ

フリーランスのWeb制作者/SEO実務者(実務歴3年以上)。HTML・CSS・JavaScript・WordPressを自分で実装する立場から、テクニカルSEO・構造化データ・GA4/Search Consoleの計測設計までを一人で担当しています。当サイトを実験台にして、施策の効果は自分で取った実測データで検証してから記事にしています。「SEO基礎おじ」は筆名です。

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