データ分析

SEOレポートの作り方|無料テンプレートと実データで埋めた月次サンプル

SEOレポートの作り方|無料テンプレートと実データで埋めた月次サンプル

SEOレポートは、検索からの成果を数字で示し、次に何をするかを関係者と決めるための報告書です。「何を載せればいいか」「どんな形にすればいいか」で手が止まる人のために、この記事ではそのまま使える月次レポートの雛形(Excel形式)を配布し、その雛形を当サイト(scale-basics)の実際のSearch Consoleの数値で埋めた記入例も公開します。

記入例は、うまくいった月ではありません。2026年9月、当サイトのクリック数は前月比で約2割減り、この記事自体の表示回数も8月の347回から9月は13回に減りました。悪い数字をどう書けば次の行動につながるのかを、実データで示します。載せるKPIの考え方はSEO KPIの設計方法、SEO施策全体の流れはSEO対策の全体像で扱っています。

SEO月次レポートの無料テンプレート(.xlsx・空欄シート+記入例シート)をダウンロード

この記事でわかること

結論

SEOレポートは「数値→要因(仮説)→次のアクション」を1セットにし、エグゼクティブサマリーを先頭に置いた固定フォーマットで毎月作ると、悪い月でも次の判断に使える資料になります。

  • 01載せる項目Search Consoleの4指標、GA4の自然検索セッションとコンバージョン、重点キーワードの順位推移、テクニカル項目が基本です。
  • 027セクションの型サマリー、検索パフォーマンス、流入・CV、AI検索、施策の進捗、テクニカル、次月アクションの順に並べます。
  • 03実データの記入例当サイトの2026年9月はクリック190(前月比-20.8%)、表示回数13,094(-1.3%)。この数字で雛形を埋めた例を載せています。
  • 04悪い月の書き方原因が分からないうちは断定せず、仮説・確かめ方・次月のアクションを並べます。悪い数字を隠すと信頼を失います。
  • 05自動化Looker Studioは2026年4月にData Studio(日本語名: データポータル)へ名称が変わりました。既存のレポートはそのまま使えます。
  • 06AI検索の項目Search Consoleの生成AIパフォーマンスレポートの表示回数と、GA4でのAI経由セッション(下限値)を通常の数値と分けて載せます。

SEOレポートとは?目的と社内向け・クライアント向けの違い

SEOレポートとは、一定期間(多くは1か月)のSEO施策の実施内容と、検索からの成果をデータでまとめた報告書です。目的は、成果を示すこと、関係者と現状認識をそろえること、次の施策を決める根拠をつくることの3つです。

SEOレポートの目的

1つ目の目的は成果の証明です。SEOは効果が出るまで時間がかかるため、途中経過を数字で示さないと「何をしているのか分からない」と見られ、予算や人員が削られやすくなります。2つ目は合意形成です。上長やクライアントと同じ数字を見て、「今月は良かったのか、何が課題か」の認識をそろえます。3つ目は次の施策の根拠づくりです。どのページ・どのキーワードが伸びたか、落ちたかが分かれば、翌月に手を入れる場所の優先順位が決まります。

逆にレポートがないと、過去に何をしたかの記録が残らず、同じ施策を繰り返したり、効果のあった施策を説明できなかったりします。

社内向けとクライアント向けで変えるところ

社内向けとクライアント向けでは、載せるデータの骨格は同じで、書き方を変えます。

項目 社内向け(SEO担当・制作チーム) クライアント向け・経営層向け
専門用語 CTR・インデックス等をそのまま使ってよい 初出で意味を添える。巻末に用語集をつける
指標の比重 クエリ別・ページ別の細かい変動 問い合わせ・売上など事業の指標とのつながり
分量 詳細な表を多めに サマリー1枚+要点。細かい表は付録へ
次月アクション 担当・期限まで具体的に 方針と期待する変化。依頼事項(原稿の確認など)を明記

経営層に出す場合は、表示回数やクリック数だけでなく、価値のある顧客につながったかまで触れると伝わりやすくなります(広告の分野での考え方はCFOが本当に見ている広告指標が参考になります)。

SEOレポートに載せる項目・KPI一覧【表】

SEOレポートに載せる項目は、Search Console(検索結果での見え方)、GA4(サイトに来た後の行動と成果)、重点キーワードの順位、テクニカルの4系統です。次の表を基本にし、自社の目標に合わせて増減します。

区分 指標 取得元 見るポイント
検索結果での見え方 表示回数・クリック数・CTR・平均掲載順位 Search Console 前月比・前年同月比。表示回数とクリック数のどちらが動いたか
流入と成果 自然検索のセッション・エンゲージメント率・コンバージョン(CV)数・CVR GA4(Organic Search) SEO経由の訪問が成果につながっているか
キーワード 重点キーワードの順位推移、前月比で急増・急減したキーワード Search Console/順位計測ツール 狙ったキーワードが動いたか。想定外の増減はないか
ページ ページ別のクリック・表示回数 Search Console 新規公開・リライトしたページの反応
AI検索 生成AI機能での表示回数、AI経由セッション Search Console/GA4 通常の検索と分けて推移を見る
テクニカル インデックス登録数、Core Web Vitals Search Console/PageSpeed Insights 急な変化がないか。問題なしなら「異常なし」と書く

指標をKGI(最終目標)から逆算して選ぶ方法はSEO KPIの設計方法で詳しく解説しています。

Search Consoleの4指標(表示回数・クリック数・CTR・平均掲載順位)

Search Consoleでは、表示回数・クリック数・CTR(クリック率)・平均掲載順位の4指標を必ず載せます。4つをセットで見ると、変化の場所が分かります。たとえば表示回数が変わらずクリック数だけ減ったなら、検索結果での見え方(順位の位置、タイトル、検索結果画面の変化など)を疑います。表示回数そのものが減ったなら、その検索で表示されなくなったページやキーワードを探します。各スコアの意味と読み方はSEO指標一覧にまとめています。

GA4の指標(自然検索セッション・エンゲージメント率・CV数・CVR)

GA4では、自然検索(Organic Search)からのセッション数、エンゲージメント率、コンバージョン(GA4では「キーイベント」)数とCVRを載せます。エンゲージメント率は、10秒以上継続する・キーイベントが発生する・ページビューが2回以上発生する、のいずれかを満たしたセッションの割合です([GA4] エンゲージメント率と直帰率)。Search Consoleが「検索結果でどう見えたか」、GA4が「来た人が何をしたか」を表すので、両方を並べて初めてSEOの成果を説明できます。

重点キーワードの順位推移と急増・急減KW

全体の平均掲載順位は、表示されるキーワードが増えるだけで下がる(数字が大きくなる)ことがあります。そのため、事業上大事なキーワードを5〜20個決めて、その順位推移を別表で追います。あわせて、前月比で表示回数が急増・急減したキーワードとページを上位10件ずつ書き出すと、サマリーに書くべき出来事が見つかります。

テクニカル項目(インデックス登録・Core Web Vitals)

テクニカルは、Search ConsoleのPage indexing(ページのインデックス登録)レポートでの登録済みページ数と未登録の理由、Core Web Vitals(LCP・INP・CLS)の判定を載せます。良好の目安はLCPが2.5秒以内、INPが200ミリ秒以下、CLSが0.1以下です(web.dev「Web Vitals」)。変化がない月も「確認済み・異常なし」と一言書いておくと、確認した記録が残ります。

SEOレポートのテンプレート(雛形)

SEOレポートのテンプレートは、毎月同じ順番・同じ表で作れるように、セクションと表の列を固定したものです。雛形を決めておくと作成時間が短くなり、月ごとの比較もしやすくなります。

月次レポートの構成(7セクション)

# セクション 書くこと 主な取得元
1 エグゼクティブサマリー 結論1〜2文、主要KPI 3〜5個の前月比、良かったこと・課題、次月の方針 各セクションの要約
2 検索パフォーマンス 4指標の当月・前月・前月比・前年同月比と、変動の要因(仮説) Search Console
3 流入・CV 自然検索セッション、エンゲージメント率、CV数、CVR GA4
4 AI検索での見え方 生成AI機能での表示回数、AI経由セッション(下限値) Search Console/GA4
5 施策の進捗 公開・リライトした記事、その順位とクリック、施策ログ CMS/Search Console
6 テクニカル インデックス登録、Core Web Vitals、クロールエラー Search Console/PageSpeed Insights
7 次月アクション 施策・優先度・担当・期限と、根拠にした数値 このレポートの分析

そのまま使える雛形をダウンロード

上の7セクションをそのまま表にした雛形を、Excel形式(.xlsx)で無料配布しています。Googleスプレッドシートにアップロードしても使えます。ファイルには2つのシートがあります。

  • テンプレート(空欄): 7セクション+重点キーワード順位表・ページ別表・施策ログ表・提出前チェック
  • 記入例(scale-basics 2026年9月): 次の章で紹介する当サイトのSearch Consoleの実数で埋めたもの。取得していない項目は「未取得」と書いています

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表ごとの雛形:キーワード順位表・ページ別表・施策ログ表

本文のセクションとは別に、次の3つの表を毎月そろえておくと、数値と施策を結びつけやすくなります。雛形にも同じ列で入っています。

表 列 使いどころ
キーワード順位表 キーワード/当月・前月の表示回数/当月・前月の平均順位/メモ 重点キーワードの動きを追う
ページ別表 URL/当月のクリック・表示回数・平均順位/前月の表示回数/メモ 伸びたページ・落ちたページを特定する
施策ログ表 日付/対象/実施内容/確認した数値/メモ 「いつ何をしたか」と数値の変化を突き合わせる

【サンプル】当サイトの実データで埋めた月次SEOレポート

ここからは、上の雛形をscale-basics.comの実際のSearch Consoleデータ(対象2026年9月・比較2026年8月)で埋めた記入例です。クライアントの数値ではなく、当サイト自身の数値です。2026年10月14日にSearch Console APIで日別データを取得し、暦月に集計しました。GA4・生成AIレポート・Core Web Vitalsの数値は今回取得していないため、空欄(未取得)のままにしています。

エグゼクティブサマリー(記入例)

項目 記入例
結論 検索結果での露出(表示回数)は前月並み、クリックは前月比-20.8%。クリックの減少と、この記事(/seo-report/)の表示回数が347→13回に減ったことを最優先で調べる。
主要KPI クリック190(前月比-20.8%)/表示回数13,094(-1.3%)/平均掲載順位19.2(前月22.8)
良かったこと ニュース記事 /news/google-goto-url-redirect/ が9月にクリック41・表示1,600
課題 サイト全体のCTRが1.81%→1.45%に低下。/seo-report/ の表示回数が8月347→9月13
次月の方針 表示が減ったページの日別推移と対象クエリを確認し、原因の仮説を検証してから手を入れる

サマリーは全セクションを書き終えてから最後に書きます。悪い数字も主要KPIに入れ、どう対応するかを1行で添えるのがポイントです。

検索パフォーマンス:全体KPIと前月比

当サイト全体(検索タイプ: ウェブ)の数値です。前年同月(2025年9月)は今回の取得範囲(120日)の外のため、未取得としました。

指標 2026年9月 2026年8月 前月比 前年同月
クリック数 190 240 -20.8% 未取得
表示回数 13,094 13,269 -1.3% 未取得
CTR 1.45% 1.81% -0.36ポイント 未取得
平均掲載順位 19.2 22.8 3.6改善 未取得

メモ欄の記入例: 「表示回数はほぼ横ばいだが、クリックとCTRが下がった。平均掲載順位の数字は良くなっているが、表示されるページの入れ替わりが大きいため、全体の平均だけでは判断しない。ページ別表で内訳を見る」。なお当サイトの2026年7月は、クリック125・表示回数6,387でした。3か月以上並べると、1か月の増減が一時的なものか傾向なのかを判断しやすくなります。

ページ別表(2026年9月のクリック上位5ページ)の記入例です。

URL 9月クリック 9月表示回数 9月平均順位 8月表示回数
/news/google-goto-url-redirect/ 41 1,600 4.7 0
/news/google-analytics-september-1-data-missing/ 26 294 4.1 0
/news/google-image-search-gallery-homepage/ 15 594 7.0 171
/structured-data-markup/ 13 728 15.7 874
/search-console-sns/ 10 265 7.2 791

この表から、9月のクリック上位はニュース記事が中心で、8月にクリック53を集めていたサーチコンソールのSNS連携の記事は表示回数が791→265に減ったことが分かります。全体の数字がほぼ横ばいでも、中身は大きく入れ替わっていました。

重点キーワード順位表(この記事自体のクエリ)

キーワード順位表の記入例として、当サイトのこの記事(/seo-report/)に表示されたクエリを月別に並べました。

キーワード 当月(9月)表示回数 前月(8月)表示回数 当月平均順位 前月平均順位 メモ
seoレポート 0 104 — 30.1 当月の表示なし
seo レポート 0 88 — 27.2 当月の表示なし
seo レポート 雛形 0 43 — 10.3 当月の表示なし
seo 月次レポート 0 38 — 22.7 当月の表示なし
seo レポート サンプル 0 33 — 24.8 当月の表示なし
seoレポート 作り方 7 0 24.4 — 前月の表示なし

平均順位は、その月の日別の順位を表示回数で重みづけした値です。表示がない月は「—」にしています。クリックは8月・9月とも0回でした。順位計測ツールを使っている場合は、ここに月末時点の順位を入れます。

施策ログとテクニカル

施策ログには、日付・対象・やったこと・そのとき確認した数値を書きます。当サイトの記録から2件を記入例にしました。

日付 対象 実施内容 確認した数値
2026-07-20 サイト全体 ルートで運営していたNext.js製の教材サイトを撤去し、/blog/ 配下で運営していたWordPressのメディアをルートへ移した(記事URLは /blog/xxx/ → /xxx/) インデックス登録 72/110URL
2026-09-05 サイト全体 Search ConsoleのURL検査APIで全URLのインデックス状況を検査 登録 339/356URL

2つの数字は検査した対象URL数そのものが違う(110→356)ため、「登録が追いついた」とは読めません。施策ログでは、比べられない数字を並べるときに分母も書いておくと誤読を防げます。

テクニカル欄の記入例です。

項目 当月の状況 メモ
インデックス登録 /seo-report/ は登録済み(10月14日の検査で Submitted and indexed) サイト全体は9月5日の検査で 339/356URL
Core Web Vitals 未取得
クロールエラー 未取得

表示回数が減った月の考察と次のアクション

悪い月の報告では、事実・仮説・確かめ方・次のアクションを分けて書きます。当サイトのこの記事(/seo-report/)の表示回数が減ったケースを例にします。原因はまだ特定できていないため、断定はしていません。

事実(Search Consoleの日別データ)

  • /seo-report/ の表示回数は、2026年8月が347回、9月が13回、10月(1〜12日)が2回。クリックは各月0回
  • 8月の347回は、8月12日〜24日の13日間に集中していた(1日5〜46回)。6月14日〜8月11日と8月25日〜9月13日は表示の記録がない
  • 減ったのは「seoレポート」(8月104回→9月0回)、「seo レポート」(88回→0回)、「seo レポート 雛形」(43回→0回)など、この記事に表示されていたほぼすべてのクエリ

事実(インデックス検査の記録)

  • /seo-report/ は、8月6日までの検査では未登録(Discovered – currently not indexed など)だった。2026年8月11日のクロール(日本時間では8月12日早朝)の後に初めてインデックスに登録され、表示はその8月12日から始まった
  • 表示がほぼなくなった後も登録は外れておらず、9月5日と10月14日の検査でもインデックス登録済みのまま

事実(同じ時期に表示がなくなった他のページ)

  • /gtm/ は、8月13日に最終クロールされ(8月22日の検査で登録済み)、その直後の8月14日〜17日の4日間だけ表示があり(計193回)、その後は1日1〜3回程度。/seo-report/ と同じく「登録直後の短期間だけ表示」の形
  • /ga4-seo/(7月時点で登録済み)は7月末から8月20日まで、/ga4/(7月31日時点で登録済み)は7月30日から8月24日まで、ほぼ毎日表示があり(/ga4/ は8月9〜11日は表示なし)、その後ほぼなくなった。登録から3〜4週間表示が続いた点で、/seo-report/ や /gtm/ とは形が違う
  • 4ページとも、表示が減ったのは8月中旬〜下旬以降で、9月5日の検査ではすべてインデックス登録済み

仮説と確かめ方

仮説 確かめ方
仮説1: 記事の内容が検索意図に合っていない(上位の記事はダウンロードできる雛形や記入済みのサンプルを載せている) メインキーワードの検索結果上位の構成と比べる
仮説2: インデックス登録直後の一時的な表示が終わっただけ 同じ形の /gtm/ と、新しく登録された他のページで、登録直後に表示が出てから止まる動きが繰り返されているかを日別データで確認する
仮説3: 同時期に減ったページに共通の要因がある、または検索結果の側の変化 4ページの更新履歴・内部リンクを比べ、同じ時期のGoogleのアップデート情報を確認する

次のアクション(記入例): 「まず仮説1〜3を上の方法で確かめる。そのうえで、仮説1に対して上位記事との比較で足りなかった雛形と記入例を追加するリライトを行い、リライト日を施策ログとSearch Consoleの注釈に残して、翌月以降の表示回数・クリック数を同じ表で追う」。原因を決めつけずに、確かめる順番とアクションを書いておけば、翌月のレポートで結果を報告できます。

SEOレポートの作り方【5ステップ】

SEOレポートの作り方は、目的とKPIを決める、データを取って比べる、施策と紐づける、考察と次のアクションを書く、サマリーを先頭に置いて形を固定する、の5ステップです。

STEP1 目的・読み手・KPIを決める

最初に「誰が読み、何を判断するためのレポートか」を決めます。読み手が経営層ならCV数や問い合わせなど事業に近い指標を主役に、制作チームならページ別・キーワード別の動きを主役にします。KPIは3〜5個に絞り、毎月同じ指標を同じ定義で載せます。

STEP2 データを取得し前月比・前年同月比で並べる

Search ConsoleとGA4から同じ期間のデータを取り、前月比と前年同月比を並べます。前月比だけだと、年末年始や年度末のような季節の波を「悪化」と誤読しやすいためです。サイト開設から1年未満などで前年同月がない場合は、「データなし」と明記し、直近3〜6か月の推移で代用します。

STEP3 実施した施策と数値の変化を紐づける

施策ログを見ながら、「いつ・どのページに・何をしたか」と、そのページ・キーワードの数値の変化を並べます。全体の数字だけでは個別の施策の効果は見えません。リライトしたページは、リライト前後の同じ日数で比べると変化が分かりやすくなります。

STEP4 考察と次のアクションを書く(数値の羅列で終わらせない)

数値ごとに「なぜそうなったか」を書きます。分かっている要因は要因として、分からないものは仮説と確かめ方として書き、最後に次のアクションを「施策・担当・期限・目標」で書きます。前章のサンプルのように、悪い月こそこの形が役に立ちます。

STEP5 エグゼクティブサマリーを冒頭に置きフォーマットを固定する

エグゼクティブサマリーは1ページ以内にまとめ、レポートの一番上に置きます。忙しい読み手はサマリーしか読まないことが多いからです。セクションの順番・表の列・グラフの種類は毎月変えず、雛形として固定します。

データの取り方:Search ConsoleとGA4

SEOレポートの数値は、Search ConsoleとGA4から取ります。どちらも対象期間をそろえ、取得日を記録しておくのが基本です。画面ごとの使い方はサーチコンソールの使い方、GA4の基本はGA4の使い方と見るべき指標で解説しています。

Search Console(期間指定・比較・エクスポート)

  1. Performance(検索パフォーマンス)→ Search results(検索結果)を開く
  2. Date(日付)フィルタで対象月を指定し、Compare(比較)で前月(または前年同月)を重ねる
  3. Queries(クエリ)・Pages(ページ)タブで内訳を確認し、Export(エクスポート)ボタンでダウンロードする

Search Consoleのヘルプでは、最新のデータは暫定値で、その後数時間で変動する場合があると説明されています(検索パフォーマンス レポートの概要)。データの反映には日数もかかり、当サイトで2026年10月14日にAPIで取得したときは、日別データは10月11日分まででした。月初すぐに作ると月末の数日が欠けることがあるため、取得日をレポートに書いておきます。クライアントのSearch Consoleを見る場合の権限の渡し方はサーチコンソールの権限付与を参考にしてください。

GA4(Organic Searchに絞る・ランディングページ別)

  1. Reports(レポート)→ Acquisition(集客)→ Traffic acquisition(トラフィック獲得)を開く
  2. Session default channel group(セッションのデフォルト チャネル グループ)を Organic Search に絞る
  3. 日付で対象月を指定し、Compare(比較)で前月を重ねる
  4. Engagement(エンゲージメント)→ Landing page(ランディング ページ)で、ページ別のセッション・エンゲージメント率・キーイベントを確認する

全チャネルを混ぜたままだと、広告やSNSの増減がSEOの成果に見えてしまいます。必ずOrganic Searchに絞った数値を載せます。GA4でSEOの成果を測る設定はGA4でSEO効果を測る方法にまとめています。

当サイトの取得方法:Search Console APIで月次数値を出す

当サイトでは、この記事のサンプルの数値をSearch Console API(Search Analytics)から取りました。使ったのは、当サイトで運用している取得用のPythonスクリプトで、直近の日数を指定して日別の数値を出力します。暦月の指定はできないため、日別で取ってから月ごとに合計しました。

# サイト全体の日別(直近120日)
python scripts/gsc_query.py --dims date --days 120 --limit 500

# /seo-report/ を含むページの日別
python scripts/gsc_query.py --dims page,date --page-contains seo-report --days 120 --limit 500

出力は次のような形で、1行が1日分です(左からクリック数・表示回数・CTR・平均掲載順位・日付)。

# https://scale-basics.com/  2026-06-14 〜 2026-10-12  (120日) dims=['date']  rows=120
clicks     imp    ctr    pos  keys
     1     111   0.9%   14.9  2026-06-14
     2     161   1.2%   20.0  2026-06-15
     0     184   0.0%   18.2  2026-06-16

月の平均掲載順位は、日別の順位を表示回数で重みづけして平均しました。サイト全体の月次値は、同じ月をAPIで期間指定して取った値とも照合し、クリック数・表示回数・平均掲載順位が一致することを確認しています。手作業のエクスポートでも、日別で取って月に集計する手順は同じです。

SEOレポートを自動化する方法

毎月の取得と表づくりは自動化できます。無料で始められるのは、Googleのダッシュボードツールと、スプレッドシートのアドオンです。考察と次のアクションは人が書く部分なので、自動化で空いた時間をそこに回します。

Looker Studio(データポータル)でダッシュボード化

Looker Studioは、2026年4月11日付のGoogle Cloud公式ブログで、名称が「Data Studio」に戻ったことが発表されました。日本語の公式ドキュメントでは「データポータル」と表記され、「Looker Studio はデータポータルという名称になりました」と書かれています(データポータルのドキュメント)。公式ブログには、既存のレポートやデータソースは利用者が何もしなくても新しい環境に移行されると明記されています(Looker Studio is Data Studio)。

SEOレポートでは、Search ConsoleとGA4をデータソースとして接続し、次のページ構成にすると毎月の数字が自動で更新されます。

  • サマリー: クリック数・表示回数・自然検索セッション・CV数のスコアカード(前月比つき)と月別推移
  • 検索パフォーマンス: クエリ別・ページ別の表、日別推移
  • 流入・CV: ランディングページ別の表

期間の既定値を「先月」にしておくと、月初に開くだけで前月分が表示されます。名称変更の経緯と使い方はLooker Studio(データポータル)とはで詳しく解説しています。

スプレッドシート+アドオン(Search Analytics for Sheets 等)

雛形をスプレッドシートで運用するなら、Search Consoleの数値をシートに取り込むアドオンが便利です。たとえばSearch Analytics for Sheetsは、公式サイトで「Search Consoleのデータを取得し、Googleスプレッドシートに自動でバックアップを作る」アドオンと説明されています。料金や上限は公式サイトで確認してください。取り込んだシートから雛形の表へ参照させれば、転記の手間と転記ミスを減らせます。

SEOツールのレポート機能

有料のSEOツールの多くは、順位や被リンクを含むレポートを自動作成する機能を持っています。順位計測を毎日行いたい場合や、複数サイトを同じ形で報告したい場合に向いています。ツールの選び方はSEO効果測定ツールの比較を参考にしてください。

運用のコツ:頻度・施策の記録・共有のタイミング

SEOレポートは月次で作り、日々の異常は週次で確認するのが基本です。そのうえで施策の記録を残し、定例会の前に共有します。

週次モニタリングと月次レポートの使い分け

週次は「異常がないかの確認」、月次は「振り返りと次の判断」と役割を分けます。週次ではクリック数・表示回数の急な変化、インデックス登録のエラー、重点キーワードの大きな順位変動だけを見て、レポートにはしません。SEOの施策は効果が出るまで時間がかかるため、判断は月単位、四半期単位で行います。

施策の記録(施策ログ)を残す/Search Consoleの注釈機能

施策の記録は、日付・対象URL・やったこと・その時点の数値を1行ずつ残すのが基本です。レポートの施策ログ表に書くほか、Search Consoleのパフォーマンス レポートにもメモ(カスタム アノテーション)を残せます。Search Consoleのヘルプによると、グラフの日付を右クリックしてメモ(最大120文字)を追加でき、1つのプロパティに最大200個まで設定できます。追加・削除できるのはオーナーとフル権限のユーザーで、制限付きユーザーは表示のみです(Search Console のアノテーション)。グラフ上に施策の日付が並ぶので、数値の変化と施策を目で突き合わせられます。

定例の1〜2日前に送る

レポートは定例会の1〜2日前に送り、読んでもらったうえで会議では次のアクションの議論に時間を使います。当日に初めて見せると、数字の説明だけで時間が終わりがちです。送るときは、本文にサマリーの3行を貼っておくと開封されなくても要点が伝わります。

AI検索時代に加えたいレポート項目【2026年】

2026年のSEOレポートには、AI Overviews・AI Modeなど生成AIを使った検索機能での見え方を、通常の検索とは分けた項目として加えます。いずれも「どれだけ見えたか」を測るもので、順位を直接動かすものではありません。

Search Consoleの生成AIパフォーマンスレポート

Search Consoleのヘルプによると、生成AIパフォーマンスレポートにはGoogle検索の生成AI機能(AI による概要・AI モード)でのサイトのパフォーマンスが表示され、2026年8月31日付けで世界中のすべてのウェブサイトに提供されました。ただし、生成AI機能で十分な表示回数がないサイトでは表示されません(生成 AI パフォーマンス レポート(検索))。全世界展開の詳細は生成AIパフォーマンスレポートの全世界展開、クリック数が見られない点は生成AIレポートの全ユーザー開放で報じています。レポートには表示回数を「AI検索での見え方」として、通常の検索パフォーマンスとは別の行に載せます。

AI経由の流入(GA4カスタムチャネル・下限値として扱う)

ChatGPTやPerplexityなどからの流入はGA4で見られますが、GA4標準の「AIアシスタント」チャネルではAI経由の流入が一部しか集計されないと指摘されています。参照元をまとめて判定するカスタムチャネルを作るのが実務的です(作り方はGA4のAI流入を正しく捕捉するカスタムチャネル)。それでもアプリ経由の訪問や、AI Overviewsからの訪問(google / organic に入る)は区別できないため、レポートでは「少なくともこれだけはある」という下限値として書きます。

1位でもクリックが減る前提での説明の仕方

検索結果の画面で答えが分かると、表示されてもクリックされないことがあります(ゼロクリック)。順位が変わらないのにCTRが下がった月は、まず検索結果画面にAI Overviewsなどが表示されているかを確認し、その事実をメモ欄に書きます。クリック数だけを成果にすると説明がつかなくなるため、指名検索の表示回数やCV数など、クリック以外の指標もサマリーに入れておきます。測り方の全体像はSEO効果測定の方法で掘り下げています。

よくある失敗と提出前チェックリスト

SEOレポートのよくある失敗は、数値の羅列で終わる、要因が書かれていない、悪い数字を隠す、長すぎる、の4つです。提出前にチェックリストで確認すると防げます。

よくある失敗

失敗 起きること 直し方
数値の羅列だけ 読み手が「で、どうするの?」となる 数値ごとに要因か仮説を1行添える
前月比だけ 季節の波を悪化と誤読する 前年同月比か3〜6か月の推移を併記
施策と成果が結びついていない どの施策が効いたか分からない 施策ログとページ別表を突き合わせる
悪い数字を隠す 後で発覚したとき信頼を失う 事実・仮説・次のアクションをセットで書く
長すぎる サマリー以外読まれない 本文はサマリー1枚+要点。細かい表は付録へ
専門用語の説明がない クライアントや経営層に伝わらない 初出で説明、または用語集をつける

提出前チェックリスト

区分 チェック項目
基本情報 対象期間・対象サイト・データ取得日・作成者を書いた
サマリー エグゼクティブサマリーが先頭にあり、主要KPIは3〜5個に絞った
データ Search ConsoleとGA4の期間がそろっている。GA4はOrganic Searchに絞った
比較 前月比と、前年同月比(なければ直近の推移)を並べた
分析 数値ごとに要因または仮説があり、悪い数字も載せた
施策 当月の施策ログがあり、対象ページの数値と紐づけた
AI検索 生成AI機能での表示回数とAI経由セッション(下限値)を分けて書いた
テクニカル インデックス登録とCore Web Vitalsを確認した(異常なしでも記載)
アクション 次月アクションに優先度・担当・期限・根拠の数値がある
品質 数値の転記ミス(桁・パーセント)がない

このチェックリストは、配布している雛形の両シートの末尾にも入っています。

よくある質問

Q. SEOレポートには何を含めるべきですか?

最低限、エグゼクティブサマリー、Search Consoleの4指標(表示回数・クリック数・CTR・平均掲載順位)の前月比、GA4の自然検索セッションとコンバージョン、重点キーワードの順位、施策の記録、次月のアクションを含めます。2026年からはAI検索での表示回数も別の項目として加えると、検索の変化を説明しやすくなります。

Q. SEOレポートはどのくらいの頻度で作るべきですか?

レポートは月1回が基本です。SEOは効果が出るまで時間がかかるため、週単位でまとめても判断材料になりにくいからです。急な変化に気づくための確認は週1回行い、異常があったときだけ臨時で共有します。

Q. SEOレポートの作成にはどれくらい時間がかかりますか?

かかる時間は、データの取得と表づくりを手作業でするか、自動化しているかで大きく変わります。雛形を固定し、Search ConsoleやGA4の数値を自動で取り込めるようにすると、毎月の作業はほぼ考察と次のアクションを書く時間だけになります。初月は雛形づくりに時間がかかる前提で計画してください。

Q. 無料でSEOレポートを自動化するには?

Googleのデータポータル(旧Looker Studio)にSearch ConsoleとGA4をつなぐ方法が代表的です。公式ドキュメントでは無料のツールと説明されています。スプレッドシートで運用したい場合は、Search Consoleのデータを取り込むアドオンを使い、雛形の表から参照させます。

Q. 順位が下がった月はどう報告すればいいですか?

隠さずにサマリーに入れ、事実・原因の仮説・確かめ方・次のアクションを分けて書きます。原因が分からないうちは断定せず、「何を確認して、いつ報告するか」を書けば十分です。この記事のサンプルでは、当サイトの記事の表示回数が347回から13回に減った月を例にしています。

まとめ

SEOレポートは、成果を示し、関係者と認識をそろえ、次の施策を決めるための報告書です。要点を振り返ります。

  • 載せる項目はSearch Consoleの4指標、GA4の自然検索セッションとCV、重点キーワードの順位、テクニカル、AI検索での表示回数
  • 7セクションの雛形を固定し、エグゼクティブサマリーを先頭に置く
  • 数値には必ず要因か仮説を添え、次のアクションに根拠の数値を紐づける
  • 悪い月は事実・仮説・確かめ方・次のアクションに分けて書く(当サイトの記入例を参照)
  • 取得と表づくりはデータポータル(旧Looker Studio)やスプレッドシートのアドオンで自動化し、考察に時間を使う

まずは配布している雛形の空欄シートで、来月分のレポートを1回作ってみてください。KPIの決め方はSEO KPIの設計方法、測定の全体の流れはSEO効果測定の方法もあわせてご覧ください。

本記事は2026年10月14日に調査・執筆しました。サンプルの数値は、scale-basics.comのGoogle Search Consoleから同日にSearch Analytics APIで取得した日別データ(2026年6月14日〜10月12日、取得時点の最新は10月11日分)を暦月に集計したものです。サイト全体の月次値は、APIで暦月を指定して取得した値と一致することを確認しています。インデックス登録の状況は、当サイトがSearch ConsoleのURL検査APIで全URLを検査した記録(2026年8月4日〜10月14日)です。GA4、生成AIパフォーマンスレポート、Core Web Vitalsの当サイトの数値は取得していません。表示回数が減った原因は特定できておらず、本文の仮説は検証前のものです。データポータル(旧Looker Studio)の名称変更、Search Consoleのアノテーション、生成AIパフォーマンスレポート、検索パフォーマンス レポートの記述は、同日にGoogle Cloud公式ブログ・Google Cloudドキュメント・Search Consoleヘルプを開いて確認しました。AI経由の流入に関する記述は当サイトのニュース記事を参照しています。Core Web Vitalsの目安はweb.dev、GA4のエンゲージメントの定義はアナリティクス ヘルプで同日に確認しました。

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体裁PDF/A4縦・全109ページ
収録図解21点、チェックリスト120項目、90日実行プラン、用語集56語

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SEO基礎おじ
執筆・監修

SEO基礎おじ

フリーランスのWeb制作者/SEO実務者(実務歴3年以上)。HTML・CSS・JavaScript・WordPressを自分で実装する立場から、テクニカルSEO・構造化データ・GA4/Search Consoleの計測設計までを一人で担当しています。当サイトを実験台にして、施策の効果は自分で取った実測データで検証してから記事にしています。「SEO基礎おじ」は筆名です。

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